17.06.29 YOUR SONG IS あいおえ@PLANET K
ベガ
ハダカ
さよなら(新曲)
忘れな草
シリウス
セトリ抜けてる気がする…
出だしのギターの音がやたら耳に刺さり、その曲がベガだと気づきつつ耳が痛いと思ってたら、今度は稲葉さんのベースの音がでかい。
なるほど今日は稲葉デーなのね…!と自分に言い聞かせる。後に知った話によると、この日は持参アンプだったとのこと。歌詞始まるくらいには音のバランス戻ったけど、やはりセトリあってる気がしない。集中力が足りなかった。
この日は偶然にも彼らのプロデューサーとライブ場所がほぼ近くのため、リハの時に挨拶に行ったところ、先輩バンドマン達の腰の低さと穏やかさに感動したのだそう。吉田さんがサポートメンバーを見ながら「〇〇さんにも会えてよかったねえ」としみじみ振り返るその某ギタリスト、数時間前のライブのときに●ッキーさん(from夢の国)のTシャツ着ていて鼻血出そうになったわ…って思い出した。
"ハダカ"演奏後は、近頃の話に。連載しているジャングルライフ最新号では、ハマノさん(ex.野狐禅)と対談しているとのこと。→http://www.jungle.ne.jp/serial_post/yoshidakenji_20170609/
そのあとは新曲"さよなら"をお披露目。
メロディが鳴った瞬間、その温かさに涙腺が緩んだ。「書けるじゃんか!」って。
新曲が出来るたび、これほど自分のことじゃないのに「嬉しい」と思わせてくれるバンドマンは、おそらくこの音楽くらいであろう。悔しいけれど何年も変わらない事実だから、リスナーとして幸せなことだ。
プロフィールにもあるように、彼はふてぶてしい、無愛想だと思われがちな傾向にある。だけどその心の奥は繊細で、そのアンバランスさから嘘なく真摯に紡がれるメロディも、それを伝える歌声も。すべてが繋がっている。
一曲が好きか嫌いかとか、そういった枠組みではない。ただ必要な音楽であることを、いつも痛感する。それがいつも負けてるような気持ちになって、むかつく時もあるけれど。笑
言い換えれば、毎回むかつくほど良いもの作り続けている証拠でもある。
少し前にとあるバンドマンにも伝えたけど、「シンガーソングライター」って言葉が嫌いだった私を変えてくれたのは、彼の作ってきた音楽だ。
まだ上記の曲は未完成状態とのことだったけれど、吉田さんの場合は「書く」よりも「描く」がイメージに近い。どんなメロディになっても、彼が描くとすべての景色が一つに繋がっている。
その情景がかすんだり見えなくなった時が、この音楽を観なくなる時なんだろうな。
"伝えないことなんて多くはなくて
ただ君だけの風に"
サビ前のこのフレーズに目頭が熱くなった。
大好きな'23"や"夢のかけら"、他の曲のエッセンスもしっかりと残っていて。だけどメロディは今までよりも普遍的に、というイメージ。
これほど伝えたいことが不器用で、聴き手が信じたくなるほど、弱さや後悔も抱えた嘘のない音楽をやっている。そんなSSWの存在は稀有だ。
この場所に来ると、どうしてもつらい過去を思い出すから。この日改めて感じたこと。
ライブハウスやメンバーに守られながら音楽を作ってきた吉田健児の音楽に一番足りないものは、評価じゃない。ただただ純粋な、許容そのもの。
少なくとも、脇見出来ないほど葛藤して、努力の傷も楽曲の中に残してきた、シンガーソングライターの吉田健児の。どこのバンドよりも繊細な音楽の中にある「あるがまま」の強さが、私の音楽人生には必要だ。
そんなリスナーが、もっと増えてほしいと願っている。
この先、どんなに自分の道を見つめることが苦しくなっても、曲は足跡でもあるだろうから。吉田健児には、吉田健児だけが作ってきた音楽が、ちゃんとあるよ。
その光は、他のどんなに有名なバンドの、どんなに知られている楽曲の中にも無いものだから。
これからは信じることしかできないけど、これまで観てきたものは、いくらでも守れる。それを忘れないために、今この文章を残してる。
そんな気持ちを「ファン」と呼ぶのなら、いつか自信を持って、この音楽にもらってきた大事な気持ちを守れるようになりたい。
世の中の作品を紡ぐ職人たちが、「頑張れ」なんて言わなくても頑張っているのは知っている。痛みは分からなくても想像はできる。その想像から逃げたら、人は優しくもなれない気がする。
だからせめて、言わない分だけ大事にする。
今までも、これからが変わっても、きっと変わらない。わたしが「一番出会えてよかった音楽」は、とっくの昔にこの音楽にくれてやった。
返してほしいなんて思わないし、それ以上に返しきれない感謝がいっぱいある。
だから願わくばどうか、これからもずっと私にとって大切な音楽でいてほしい。
こんなにひねくれたリスナーでごめんね。
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