「自宅で展覧会をつくる」プロジェクト・ル・ボスケ開始。 コンビニネットプリントを利用して鑑賞者がつくる展覧会。
概要
Project le Bosquet(プロジェクト・ル・ボスケ)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行によりほとんどの文化施設が閉鎖されたことをきっかけに、どのようにすれば私たちと芸術表現との出会いを生むことができるのか?を考え実践するためのプロジェクトです。
同プロジェクトは最初の試みとして、コンビニネットプリントを利用して「誰もが自宅で展覧会を作れる仕組み」を作りました。これは、①プロジェクトに賛同するアーティストの作品データをコンビニネットプリントに登録 ②プロジェクト参加者(鑑賞者)はその中から気に入った作品データを購入し、コンビニでプリントする ③作品データに付属する指示書にしたがって、自宅で作品を展示することで参加者それぞれの家で展覧会が開催される というもの。2020年6月8日から7月1日までにProject le Bosquetのwebサイトから参加を呼びかけました。
[ ka / kou / shi ] 大谷陽一郎
参加方法
今回は、同プロジェクトのArt Sticker版として、前回から引き続き参加している9人のアーティストの新作データを購入することができます。以下に、自宅で展覧会を作るための流れをご説明します。
①作品選定:出展作品から、あなたの家での展覧会のための作品を選びましょう。
9人のアーティストの中からあなたの家の空間を活かせる数の作品を選んでください。出展作品に対して370円以上のスティッカーを送ると、コンビニでプリントするのに必要な印刷番号が送られてきます。
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②作品搬入:送られてきた印刷番号を控え、お近くのセブンイレブンで作品データをプリントアウトしてください*
*別途、コンビニでプリントする際に作品データのプリント代がかかります。
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③作品設営:作品データに付属する指示書にしたがって展示をしてくだい。
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これであなたの展覧会のはじまりです。
ぜひ、自宅で自分だけの展覧会を楽しんでみてください。
【会期は、2020年7月16日(木) ~ 7月31日(金)になります】
《I(We) am(are) making a line #2 》久保田智広
※プリント期間は全2回となります。発行された印刷番号は各期間内のみ有効です。
1回目:7月16日(木)~ 7月23日(木)23:59
2回目:7月24日(金)~ 7月31日(金)23:59
印刷に際してご不明な点がありましたら、下記までお問い合わせください。
Project le Bosquet 企画・奥誠之、小山維子
MAIL: projectlebosquet@gmail.com
なお、このプロジェクトについてより詳しく知りたい方はProject le Bosquetのwebサイト(https://project-le-bosquet.info/)をご覧ください。こちらでは2020年6月8日から7月1日までに行われたプロジェクトの記録集も販売しています。
参加アーティスト
(写真左上から)
奥誠之、小山維子、黒沢聖覇、吉村真
大谷陽一郎、大橋鉄郎、久保田智広、関根ひかり、花沢忍
このプロジェクトでは、アーティストのみならずキュレーターや美術史家もが「アーティスト」として参加しています。日頃ジャンルの異なる分野で活動をしている9人の、コンビニプリントという制約の中で生まれた作品と指示書をお楽しみください。
Le Bosquet(ル・ボスケ)とは
画家ピエール・ボナールが1926年に購入した南仏ル・カネにある家の名前で、フランス語で「茂み」という意味。その名のとおり、棕櫚やミモザの茂みに囲まれた山の上の一軒家。
《ミモザの見えるアトリエ》
ピエール・ボナール
1939-1946年 ポンピドゥー・センター蔵
ステイトメント
「プロジェクト・ル・ボスケ 〈茂み〉のなかでの遊び方」
吉村真
なんらかの例外的な状況の到来によって行動の範囲や機会が著しく制限されたとき、 アーティストにはどのような活動が可能で、また人びとはどのように作品と出会うことができるだろうか。たとえばピエール・ボナールの場合、その問いへの答えは身近な環境の探査として絵を描きつづけることであり、一方彼の作品を見たいと望む人びとにとっては状況改善をひたすら待つことしかできなかった。
1939年9月に第二次世界大戦が勃発すると同時に、ボナールは南仏ル・カネの山の上に建つ家「ル・ボスケ」(仏語で「茂み」を意味する)にこもった。以来1945年まで、パリを占領したナチスと彼らに協力した政権への妥協を拒んだ画家はみずから発表の機会を禁じて、家での制作に専念した。それまで妻のマルトとともにフランス各地を数ヶ月置きにめぐりながら制作するというノマディックな生活を送っていた画家にとって、戦時下の生活はなかば軟禁に近い隠棲であっただろう。開戦から約一年後に同じく南仏ニースに籠っていた友人マティスに宛てた手紙で、彼は「そんな状況でも君にとても会いたい。というのも日々の暮らしと将来の不安にひどく悩まされていて、精神の自由を失い、自分が絵画から置き去りにされるのではないかと恐れているからだ」 と書いている。行動が制限されただけでなく、開戦時すでに72歳であったボナールにとって、その頃は妻のマルトや多くの親しい者たちを老齢と病のために喪い、孤独を深めた時期でもあった。
しかしながら、孤独で不自由な隠棲は画家にひとつの家とひとつの土地、彼をとりまく身近な環境の徹底的に探査する長い時間をもたらもした。「朝の散歩中、わたしは風景のさまざまな概念を定義して楽しんでいる」 。あるいは「部屋に飛びこんだ途端に一目で見えるものを提示する」 。その名のとおり棕櫚やミモザが生い茂る庭に囲まれたル・ボスケのなか、または周りで、マルトがいる(いた)部屋や浴室、窓の眺め、近所の風景を幾度も手帖にクロッキーしながら、ボナールは見慣れた景色を日ごと生まれ変わるものとして見る実践をしていたように思われる。そして、それらのクロッキーをもとに何年も加筆しつづけた油彩画のなかで、思いがけない記憶の甦りや知らずのうちに見過ごしてきたものの再発見、身近な場所に潜んでいる意味の「開かれ」に彼は立ちあっていたに違いない。
フランスがナチスから解放された年の7月(日本の無条件降伏によって終戦を迎える一月前)、ボナールがル・ボスケにこもった6年間に描いた絵画たちの一部がようやく展示されたとき、人びとはどのような気持ちで会場に訪れ、何をそこからもち帰っただろうか。喪失や不安、解放への期待だけでなく、おそらく〈茂み〉のなかで遊ぶ楽しさ、〈茂み〉を探索することへの誘いかけさえを感じとった人もいたはずだ。
詳細
プロジェクト・ル・ボスケ「自宅で展覧会をつくる」Art Sticker版
会期:2020年7月16日(木) ~ 7月31日(金)
会場:鑑賞者それぞれの家
出展作家:大谷陽一郎、大橋鉄郎、奥誠之、小山維子、久保田智広、黒沢聖覇、関根ひかり、花沢忍、吉村真
企画・運営:奥誠之、小山維子、黒沢聖覇、吉村真
ロゴデザイン:鈴木健太
ArtStickerのダウンロードはこちらから
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