演劇親父になるにはまだまだ

昔、下北沢のミニシアターで観た映画『ざわざわ下北沢』

当時の下北沢の喧騒や町の雰囲気が充満してた映画だったと記憶する、ストーリーはいまいち覚えてないけど、今は無き下北沢駅前市場の中からピーコック前の道を歩く人々を撮ったシーンは今も脳裏に貼り付いている

その映画で一番魅力的だったのは原田芳雄さん!

原田芳雄さんが演じる演劇親父(ベテラン役者役)が着物着てスズナリの劇場前に座り若手役者に殺陣の指導をしているシーン


当時演劇をする為に下北沢に引っ越して来たものの先の見えない生活で下向いてばかりで、しかも下北沢に来て日が浅かった僕は町にも馴染めず腐ってた日々でしたが、その映画を観て『あんな格好良い演劇親父になりてーなー!』って目標を持てた気がしました

あれから月日が経って、毎年毎年数え切れない回数の演劇公演を打って来ました、ただ、憧れの演劇親父にはまだまだ遠いように思えます。

2020年、日本は未曾有の疫病災害が起こりました

下北沢の劇場が軒並み活動を停止しました

信じられない事ですが演劇の街が演劇を停止しました

とんでもない災害です

約3ヶ月、役者やスタッフも活動停止、関連の企業や販売業者も停止、芸術という分野に大きな打撃が与えられました

長い長い自粛期間の中で役者は色々工夫して表現し続ける者もいます、役者や作家はしぶといのでなんとか考えてあれこれやって少しでも生活と表現を守っていける者もいますが、スタッフさんは大変です!劇場が動かない以上働く場所を失います、客席数の制限がある以上は運営側もスタッフさんを雇いたいのに雇えない状況が続きます、本当に恐ろしい災害です。

何よりも一番僕が恐ろしいと思った事は

この3ヶ月の間、表現したいのに出来なかった若手役者達です

気持ちが折れてしまったり、後ろ向きになったり、自分自身に意欲を見いだす事が出来なかったり、親や親類の意見等で自分の気持ちが維持できず、結果何もしていないまま辞めて行く若手達が多くなってきているということです

ある日突然居なくなる

長い自粛期間、先の見えない業界への不安、外出自粛で劇場やライブハウスに行く事への罪悪感から刺激を一切貰うことが出来ない現実

若手が夢を諦めるキッカケの多さが一番怖い

若手や新人というのはどの世界でも宝です!苦しくても辛くてもお客様の笑顔や拍手が目の前で起こる奇跡を体験したからこそ我慢も辛抱も努力も出来る

今はそれが難しい

宝がどんどん居なくなるんじゃないか?という不安が今の僕を席巻してます。

スズナリの前に座り若手役者に殺陣指導していたあの演劇親父ならこんな時なんて言うのかなぁ

と思いを馳せながら

リモートで演技指導をしている今の自分の現状を皮肉ってみたりする

久しぶりに長めの文章でした。















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