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《十勝 実地研修レポート》


The CAMPusの実地研修は、農業を“仕事”として体験するのではなく、“農的くらし”の中にある「生きる喜び」を実感してもらうことを大切にしています。今回は、北海道・十勝エリアで2018年3月3日から3月5日の2泊3日で行われた実地研修をレポート。

テーマは、「ヒット商品を生んだ、環境に負荷をかけない放牧酪農を北海道で学ぶ
十勝の3月はまだまだ雪深く、厳しい冬と向き合いながら農を生業としている方々と直接触れあうことができました。農家さんの農法は、それぞれの哲学を表現しています。同じ作物や乳製品をつくるのでも、農家さんによってやり方が異なります。いろいろな農家さんのお話を聞くことで、比較の中から学びを得ることができました。

「かっこよく・たのしく・もうかる」を実践している『農』に携わる分野の逸材たちがThe CAMPusの教授です。農法だけに留まらず、生き方やはたらき方、地域との関係性など、全体性を持って『農』の魅力を体現されている方々から学びます。今回の実地研修の中心人物となる教授は、十勝しんむら牧場、新村浩隆さん。北海道・十勝に曾祖父が開拓に入ってから4代目になる農家さんです。

当日は、ほとんどが東京から参加した生徒さんでした。帯広空港に到着後、帯広駅に移動してさらに車で一時間弱かけて「十勝しんむら牧場」へ。早速、教授の新村さんが牧場を案内してくれました。

食料自給率1200%の広大な大地を体感

約80haの土地にさまざまな動物が放し飼いにされています。これは「放牧酪農」という酪農法で、牛はもちろん豚やヤギなどといった動物が敷地内の里山を自由に動き回っています。その様子はインパクト絶大。生徒さんもその様子に驚きを隠せません。

濃密なリアル講義 

牧場を見学した後は、牧場主である新村さんによる講義がありました。若くして放牧酪農に挑戦するものの、うまくいかずに挫折を経験。新村さんが試行錯誤の末、導き出した答えが、健康な「土」でした。

土を分析し、健康な土壌に改良していくことで、ゆっくりと環境の循環が生まれたそうです。土に変化を与えたことで、搾乳量の上昇など放牧酪農は成果をあげます。

しかし、その次に起こった課題は売上をつくる「ヒット商品」を生み出すことでした。独自の商品開発の視点や、マーケティング戦略で「ミルクジャム」がヒット商品として話題を呼びました。北海道知事賞・農林水産大臣賞を受賞するなど、北海道を代表する人気の商品となっています。

フリップを使い、新時代の農業経営を丁寧に説明してくださる新村さん。次々と生徒からは質問が投げかけられました。

開拓者に思いを馳せながら、雪の中で過ごす

講義の後は、北海道の自然を満喫。外に出ると、雪原にアメリカインディアンが利用するテント、ティピが設置されていました。マイナスの気温の中、野菜や肉を頬張りながら、火のありがたさと暖かさをしみじみと感じるひとときでした。

ゆっくりと沈む夕日を眺めながら、焚き火でじっくり温められたお湯で淹れたコーヒーをを手に、教授とナビゲーターと生徒が一体となって、その地域にあるそのままの暮らしを実体験しながら至福の瞬間を味わいました。夜はスウェーデントーチと焚き火による暖かな炎に包まれながら皆んなで1日を振り返りました。星を眺めながら未来を語り合い、ストーブで十分に暖められたティピの中で就寝。しっかりと着込めば雪の中でも快適に眠ることができました。

「放牧酪農」とは異なる酪農スタイルも視察

2日目は、朝から新村さんの案内でしんむら牧場とは異なる牧場経営を視察します。

北海道の一般的な酪農の現場は、パーラーと呼ばれる機器に牛が繋がれています。少人数での管理がしやすいことで知られている現代的なシステムの一つです。

放牧酪農とはまた一味違った現場を視察することができ、農業経営の奥深さや何を価値軸として取り組むのかによってやり方は無限大にあるんだということを学ばせてもらいました。

十勝の人気農家3名と本気のトークディスカッション

その後、帯広市内にあり地元のクリエイティブな人々が集うホテル「NUPUKA」へ。そこでもまた刺激的なトークセッションが繰り広げられました。

特に、反響が大きかったのはThe CAMPusの教授にもなっている、「やぶ田ファーム」薮田さんです。彼は、独自の哲学を持ち、トマトやカブをはじめ、数十種類の野菜を日本国内に例を見ないほど大規模な自然栽培を行っています。トーク終了後は、質問する人が列をなすほどの盛況ぶり。次世代農家の在り方を模索する時間となりました。

自然と共生する暮らし方を体感

夜は「スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド」 へ。新国立競技場などの設計をはじめ、世界的建築家「隈研吾」氏が設計した話題のモバイルハウスJYUBAKO”住箱”に泊まりました。

ポロシリキャンプフィールドのテントに、地元の人気寿司店の店主が出張しれくれました。美味しい料理には美味しい会話が必須。北海道の海の幸による最高の料理で もてなしてくれて、夜が深まり気温も下がりながらも皆で熱く語り明かしました。

翌朝も各自が学んだことをシェアして締めくくり

各々が2泊3日の実地研修で感じたことや変化を語り、それぞれが学んだことをシェアしました。
参加した生徒さんからは「酪農は自分にとってどこか遠い世界にあるイメージだったけど、今回の研修を通じて自分ごとして考えられるようなった」と意見をもらったり、「冬だからこその北海道の農的くらしの魅力をダイレクトに感じることができた」という声もありました。

これら実地研修のプログラムを作成するにあたり、当初、運営スタッフの中では、『マイナス15度を下回る凍てつくような寒さの中でのBBQ、テントでの宿泊などは生命の不安さえあるから、生徒さんたちは楽しめるのだろうか?』といった不安の声が大半を占めていました。しかし、終わった後の生徒さんの感想からは「極寒での体験は想像以上にオモシロく、全ての体験が感動的だった」という声がありました。農村には、そこで暮らす人々では気付かない、魅力的な体験コンテンツが数多くあります。それらを丁寧に引出しながら、これからもより多くの人々に農的くらしのオモシロさを伝えていきたいと思っています。


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