社会人大学人見知り学部 3回生

 ここ3年間、オードリー若林さんのエッセイ「社会人大学人見知り学部 卒業見込」を毎年読んでいる。で、先日、その3回目を読み終えた。

 この本を初めて読んだのはそれよりもちょっと前の話で、その時に「本にこんなにも共感できることが書かれてることなんてあるんだ」と強烈な印象を受け、そのままとてつもないスピードで読みきったことを覚えている。心にも思っていないことを行動に表さなければならない社会と、その関わりあいの中での苦しさがありとあらゆる面から書かれていて、「自分自身が社会全体の中でどの位置にいるのか」が明確にわかった一冊だった。文句なしの、自分にとってのバイブルである。

 この本には、ただただ共感できる内容だけが載っているだけではない。若林さん本人が考えに考えた末、にじみ出てきた解決法や気づき、いや、「腑に落ち方」も満載なのだ。この本を通して今の自分の立ち位置と、その対処法を得るのである。
 今年、読んでいて驚いたのが、「あーこう感じた頃もあったな」と思う部分があったことだ。知らないうちに、曲がりなりにも少しづつ成長できているのかもしれない。これは嬉しい。

 これを書いていて思い出したが、この本を初めて読んでいた頃、友達が「芸人が書く本を読んでんのか」と馬鹿にしてきたことがあった。当時は何も言い返さなかったけど、今なら言える。馬鹿はお前だよ。芸人だけに限らない、全てにわたって、「自分なりにうまくいっている」人の裏にどれだけの考えや努力があるのかを、お前はわかっていないんだよ。

 私は社会人大学人見知り学部、3回生。この大学が何年制なのかはわからない。人によって違うから。そもそも卒業があるのかもわからない。というか、卒業しなくてもいいと思う。この本のおかげで、自分のひん曲がった性格がひとつの個性であるのだと、腑に落ちることができたのだから。

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