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口笛と、特急と、

 みなさんにここだけの告白。わたしは最近、口笛の練習をしている。本気ではないし我流なので、披露しようという魂胆とか、吹いてみてと言われても一切やるつもりはない。今までの人生の中で口笛を吹けた試しはなくて、事実そのものを忘れてずっと過ごしてきたが、柴田聡子さんの曲「はやいスピード」の冒頭にある口笛を真似してみたくって、まあ練習というか、ごり押しで音を鳴らしてみるといった所業である。

 この曲「はやいスピード」の冒頭の歌詞に聞き取れない部分があり、調べてみると、「はやいスピード 移動の欲」と歌っていた。移動の欲!?とんでもない歌詞。度肝を抜きつつ、やわらかいワードセンスが欲しい。

 で、口笛話に戻るんですけど、この歳になってどう口笛を鳴らすかについて向き合うことなど無いかと思いますので、情報共有を。口笛は、「音を鳴らしたい」という意思を口の中に空気の塊として宿して、それを一気に外に出すイメージ。小さい頃から口笛を鳴らせていた人たちはこのような感情を通ることなく無意識に鳴らしていただろうから、このような感情を持ちながら口笛を鳴らせることには、少し優越感を感じる。

 そんな話は置いといて、去年の4月からの話。予定はたくさん入れても体調だけは崩すまいという必死の思いで、特に遅くなった日の帰りの移動手段にはいとめを付けないこととした。その結果、近鉄特急さまに大変お世話になることに。これには幾度とない英断がありつつも、幾度とない怠惰の結果もある。ある日、どうしてもライブに間に合わないと、観光特急しまかぜに飛び乗ったことがあって、どう見ても観光で胸が踊っている人にしか渡してはいけない記念カードを渡され本当に情けない気持ちになったことを強烈に覚えている。

 はやいスピードで動くことは、移動の欲。その欲を頼って怠惰がこちらを覗く。カーテンを閉めりゃあいいのに、いつも閉め忘れている。というか、怠惰を少し心待ちにしている。

 こんな抽象的な話は置いといて、R-1の話ですが、1回戦で落ちてしまいました。去年から一年間、規定に沿ったネタは片手でかつ数える指が余るぐらいの数しか作っておらず、11月からかなり焦っていた中での今回。そんなことを言いつつも、周りの方々がネタを固めて行く中、オノ・ヨーコさんの楽曲を使ってネタを作っていたのですから当然の報いかもしれません。

 でもやっぱり「合わせて作る」ことに対してはとても抵抗があって、今後もその関係で勝負に出せるネタは絞られ続けるのですが、自然に「やりたい」と思ったものの中で勝負したいと思っています。たくさんの励ましの言葉をいただき本当にありがたかったのですが、やはり事実として通っていないとどうしてもこちらから出る言葉は言い訳になってしまうので、悔しがるものほどほどに、次次!という気持ちです。

 というかそもそも、この活動のスタイルで、勝負をしたいと思えたり周りの方々からその意図を汲んで声をかけて下さることに感謝しかありません。意識の強さについて、引け目を感じつつ活動を続けることが多かったのですが、どんどんそれ以上に「芸人として勝つ」ことへの感情が強まってきました。これは楽屋Aの劇場メンバーに所属させていただいたり、応援してくださる方々がいると感じるようになって以降より一層強まった気が。ありがとうございます。無理なくという点は変わらずに、行けるところまで行きたいと考えていますので、よろしければどうか引き続き見守って下さい。

 それとR-1のネタについて必ず触れておきたいのは、11月と12月にお邪魔した中岡フェニックスさんのネタ見せ会。ここで改善を重ね、最終的にほんとうに納得できる形で本番を迎えることができました。頭が上がりません。一人では確実に不完全燃焼になってました。ありがとうございます。今後とも、お世話になります!

 言いたいことは山々で、でも忘れてしまっていることも山々なので、この辺りで。最後に、ここまで読んでいただいたみなさんに、さらにここだけの告白を。この年末年始で今年の仕事の予定の調整をするため各月のカレンダーを見ていたのですが、なんと、今年、気持ち、祝日が多いです。(気持ちね。)

今年もどうぞよろしくお願いします!

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