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音楽とサブスクとレコード会社

 配信を中心とした音楽ビジネスはCDの代替には成り得ない。まず参入する絶対量が比較にならないほど多いので、ゼロサムのケーキは限りなく薄く切り分けられる。全体の5%に売上が集中し、それ以外は討ち死にする。その5%の中に入ろうとして必死なデスレースが続けられるが、そのレースに勝つ方法は確立されていない。数打ちゃ当たる的に打席に立ち続けるだけ。ま、それも一つの手法ではあるが。ただ、ゴールに向かう道が確立されていない中、闇夜を懐中電灯も無く歩き回るかのようだ。ファストパスのような裏技もなく、馬鹿正直にタマを出し続けるだけ。以前であれば既得権益チームだったレコード会社テレビラジオ新聞雑誌の「メディア互助会」が互いの食い扶持を支えあう構造があった。お互いがおいしい思いをするためのファストパス的なものがあった。「音楽産業の分け前は我々互助会だけで独占するから外部の参入はさせないよ」という構図。だが、肝心のテレビもラジオも新聞も雑誌もネットの登場でその価値暴落した。レコード会社自体も、ネットを通じて自由にコンテンツを世に出せる時代になって価値が暴落した。今までのヒットの作り方という手法は完全にリセットされたのだ。完全リセット後の世界でどうやってヒット商品を作るか。今のところSNS戦略も別にバズる手法が確立されているわけではない。そもそもSNS戦略って何だ。出し物自体に面白さがある事が前提の話じゃないのか。ゴミを売ろうとしても売れるわけがない。河原で石を売るようなものだ。コンテンツが面白い事が大前提じゃないのか。大前提のコンテンツも面白くないものを、SNS戦略という、まるでつかみどころのないものに委ねて売ろうとする危うさ。すべてがふわーっとし過ぎだろう。SNS戦略の専門家という、輪をかけてふわーっとした人が口八丁で儲けるだけだ。結論、今までの構造がリセットされたから、いろいろ無理なんだよ。新聞だって廃刊になるし、テレビ全体だって視聴率は下がる。ラジオなんて誰も聴いていない。本屋も無くなるしレコード店も無くなる。ひと昔前の時代では独占されていた価値や利権が他の分野に分散されたんだね。新規参入は認めない!なんていくら主張したっても無駄で、現実はいつも正解だから。

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