清水邦夫『狂人なおもて往生をとぐ』、鈴木忠志『劇的なるものをめぐってⅡ』、別役実『不思議の国のアリス』、秋浜悟史『おもて切り』

『狂人なおもて往生をとぐ』(担当:辻村優子)

初出:『テアトロ』1969年3月号
初演:俳優座第九十一回公演 1969年3月9日~29日 俳優座劇場
スタッフ:演出・西木一夫、装置・安部真知、照明・染谷幸典、効果・田村悳(トク)、衣裳・若生昌
キャスト:永井智雄、原田芳雄、古谷一行、村瀬幸子、清水良英、片山真由美

<あらすじ>
出(いづる)とはなは娼館を経営し、そこには善一郎や敬二ら常連の客がやってくる。
が徐々に狂ってしまった出のために娼館の客と店の女という設定のごっこを家族で演じている事が明らかになる。
二幕では次男敬二がフィアンセのめぐみを連れてくる。未来の家族ごっこをしている内に秘められた一家心中の記憶が
呼び起され、父の秘密が明らかとなる。三幕では一家は崩壊し、狂った出と愛子、フィアンセを殺した上で兄姉に取り残されることを恐れた敬二が家から出て行き、善一郎とはなが取り残される。

作者の清水邦夫は1936年生まれ(新潟県出身)なので、この作品を執筆したのは33歳。
安部公房氏の紹介で、俳優座に『狂人なおもて往生をとぐ』を書く。また、桐朋学園大学演劇科のゼミを手伝うことにもなる。(清水邦夫全仕事磨り硝子ごしの風景Ⅰー自作解説にかえて より)

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14,772字

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