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ここでしかできないことを未来へとやり続ける~「至福のレストラン 三ツ星トロワグロ」

徒然に 270
朝早くのマルシェでの買い出し。
手で触れ匂いを嗅いでお店の人と会話する
「朝もいできたんだ、それぞれ形が違う」というと「美しい、彫刻のようだ」。
毎日の日課で長いお付き合いであることがわかってくる。

ワイズマン監督の作品にはナレーションも音楽も一切ない。
その場の空気感が、被写体となる人たちとまわりの世界が一体となって伝わってくる。
眺めているだけでこうなのかな、ああなのかな、などと思いを巡らしたりしながら
私たちはその時間を楽しむ。

考えてみればその会話に参加できないけれど、
私たちの日常の感覚そのまま。
そこに作り手の意図は入ってこない。

監督はじっとながめることで
その場から伝わってくるものを感じることがすごく好きなのだと思う。
そこから知らなかったいろんなことを学んでいる、と。

「至福のレストラン 三ツ星トロワグロ」上映が始まりました。
4時間に及ぶ作品(途中休憩がございます)。
見るシーン見るシーン、携わるスタッフたちの顔が見えてくる。

「昨日見て、面白くて、今日もまた見に来ました」と言ってくださった方も。
とても嬉しいです。

そしてもうひとつ嬉しいことを。

トロワグロで修業されてきたシェフの館岡武士さんにいち早く観ていただきまして
素敵なお便りをいただきました。
ご紹介しますね。

・・・

拝見させて頂きました、大変感慨深いものを感じました。
 
僕は2009ー2010年の1年間、以前のロアンヌ駅前のメゾントロワグロで
働かせて頂いておりましたので、街並みやマルシェ、教会など懐かしく思い
すぐに15年前にタイムスリップした気分で、懐かしくさえ思いました。
 
当時の僕は食材やテクニック、三ツ星とはこういう仕事、
三ツ星レストランで僕がどれだけ通用するか、
戦力として必要とされるか?
等を、挑戦、意識、学ぶために働いてましたが
15年が過ぎ僕もお店を経営していると視点がかわり、
料理の内容よりもシェフミッシェルが移転に関して思ってた事や、
食材に真摯に向き合ってる姿、何を大切にしているか?
お客様に何を感じて喜んでほしいか?
が感じ取れました。
 
時代に寄り添い、若い人達の意見を受け入れ、
これからのシェフセザールやレオの為に新しいステージを用意し
次の世代にバトンを渡す事。
55年間三ツ星を取り続けてるレストランしかできない事を
やり続け挑戦し続ける事が本当に素晴らしいと思いました!
 
そして何より85年も3世代に渡り以前のロアンヌ駅前の場所を守り続けた店を閉めて、
移転を後世の為に決断した事がとても胸を打たれました。
 
この映画は料理人であれば働いてる気分にさえなり、
お客様としても行った気分にもなれるノンフィクション映画でした。
 
いゃー、僕が働いてる時に2つ星にならなくて良かったと改めて思いました笑
 
この度は貴重な機会ありがとうございました!
 
シェフ 館岡武士 
TATEOKA TAKESHI




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