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ついにタルコフスキー「ノスタルジア」

さて「ノスタルジア」である。何回も観ている、それもいろんなメディアで、もちろんはじめはフィルムだった。そのあとVHSやDVDでも見た。シアターキノでは29席の日本一小さな映画館だった時と現在のシアターキノで共に上映している。フィルムだった。そしてついにデジタル修復版ではじめて観ることになる。4Kではあるが、シアターキノは2Kなので、それは我慢してほしい。こうやって様々のメディアやいろんな映画館、いろんな映写条件で見ているからかもしれないが、いつも何か発見がある。というか、映画体験が違うのだ。


そうだ、タルコフスキーは映画を観るというより、タルコフスキーを体験しているのだ。あの水や火、光と闇、その音の数々、詩的な空間と哲学的内容、登場人物と一緒に体験していく感覚、物語だけを追っていくと難解なのかもしれない。ゆっくりとした映像が睡魔を呼ぶだろう。それも含めての体験なのだと思う。やはり、映画館という空間でしか、これは体験できないだろう。タルコフスキー自身も含め評論などのタルコフスキー本もどれだけ出版されているのだろう。その中でも好きなのはタルコフスキーが撮ったポラロイド写真集だ。ポラロイドなのに、観るとすぐにああタルコフスキーだとわかる。本当に唯一無二の映画作家だ。


80年代に出会って、映画に関わっていて本当に良かったと思った。現在のシアターキノを作る時、あらゆる経費をぎりぎりに押さえてもらったが、中島ひろみと二人での、唯一の贅沢な想いをさせていただいたのが、3条通り階段にある巨大な「ノスタルジア」の写真だ。シアターキノの出発点がここにある。新しいデジタル修復版ではどんな体験になるだろう。
 ★上映は5/4(土)~10(金)毎日15:45~です。

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