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14歳の少女が辿る人生の第1章、そして始まり~「プリシラ」

徒然に 580

何者でもない10代の頃、彼女の世界は一変する。

「なぜ、ウチの娘なのか?」
10歳以上も年の離れたスターがなぜ娘に関心を持つのかと、
プリシラの両親は訪ねてきたエルヴィスに尋ねる。

エルヴィスは
「話を聞いてくれるから」とこたえる。

脆い自分の心の内を話せる相手がいてくれるだけで救われる、
それがエルヴィスにとって唯一の存在となるプリシラだった。
年齢は関係なく、直感で感じたのだろう。

しかし時代は男性中心に世界が回っていた。
彼の好みの色に仕上げられてゆくプリシラ。
彼の周りにはいつも友人の男たちがいて、まるでガードしているように
プリシラははじかれてゆく。

彼の夢に瞳を輝かせても、
それは彼の夢、あなたの夢は・・・?

プリシラの心の声が聞こえてくるようだ。

黒く染めていた髪はやがて元の自然な色に、
柄のある洋服は似合わないと言われていた彼女は最後に
70年代のサイケ調ファッションに身をつつみ

「この家を出る。 結婚は終わりにしたい」と告げる。

14歳の少女が辿るある人生の第1章。
そして始まりの物語です。



監督のソフィア・コッポラは「マリー・アントワネット」で
悲劇的な王妃の初恋のきらめきを映したように
アメリカで誰もが憧れるスター、エルヴィスの心を射止めた女性、
少女の青春を映し出す。

「人は皆、誰かの影響を受けていますが、そこから抜け出して
本当の自分を見つけたいと願うものではないでしょうか。
私は、人々がいかにして自分の歩む道を見つけ、
アイデンティティを築くかというこということにいつも関心があります。
特に、自分のものではない世界にいて、そこからどうやって脱出するか、に」。

70年代初めという時代、離婚するのは、相当な強さが必要だったはず。
彼女には自分の収入はなく、彼女のアイデンティティは
エルヴィス・プレスリー夫人でしかなかった。
だから決断した彼女は離婚し、家を出て自分自身の人生を始めたことに強い感銘を受けたと。

プリシラはソフィアにこう語ったそうです。

「エルヴィスの好みが全ての中心にあったため、
自分の好みなど知らなかった」と。

14歳の少女が辿った14年間の物語です。





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