オールドスクールデッキ紹介: Turbo Stasis ver.2.1
この記事は以前書いたTurbo Stasisの記事を添削さん主導で作成しているオールドスクール同人誌に寄稿するため書き直したものになります(note用に若干手を入れてます)
○デッキ概要
Turbo StasisはM:tG黎明期のロックデッキとして名を馳せました。青単色でも構築可能ですが、多くの場合、相性が良い呪文や各種除去を擁する白が足されます。
序盤は手札を補充しながらコントロールデッキとして振る舞い、その後《停滞/Stasis》をプレイしてアンタップを阻害、最終的には《黒の万力/Black Vise》等でのダメージやライブラリアウトで勝利します。
このデッキの特徴は冠する「Turbo」の由来《吠えたける鉱山/Howling Mine》であり、これで毎ターン《島/Island》を引いてくることにより《停滞/Stasis》を維持することを目指します。ただ、オールドスクールでよく見られるTurbo Stasisはデッキ中の青マナ比率がそこまで高くないため、ロックを継続するために一旦《ブーメラン/Boomerang》でバウンスしたり《解呪/Disenchant》で破壊したりして再度《停滞/Stasis》をプレイしなおすこともままあります。
○サンプルデッキ
○個別カード解説
メインデッキ:
《真鍮の都/City of Brass》《Tundra》
土地構成は《停滞/Stasis》の維持コストに必要な青マナを供給できる土地が大半になります。その中でも白マナと青マナの両方を供給できる土地は重要です。《Tundra》は問答無用で4枚、それに加えて《真鍮の都/City of Brass》が2~3枚入ります。
《Library of Alexandria》
初手キープを左右するほど強力な土地です。これで複数枚ドローできれば勝利は大きく近づきます。
《露天鉱床/Strip Mine》
主にコンロトールの《Library of Alexandria》、アグロの《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》を破壊するのに使用されます。こちらの島を守るためにタップ状態の《露天鉱床/Strip Mine》を破壊することもあります。
《The Tabernacle at Pendrell Vale》
このカードは《停滞/Stasis》を維持できていれば0マナの《神の怒り/Wrath of God》となり、《停滞/Stasis》をプレイする前であれば対戦相手に土地をタップさせることができます(そしてそれは《停滞/Stasis》ロックを容易にします)
《停滞/Stasis》
言わずと知れたこのデッキのキーカード。これを維持することでアンタップを阻害しロックします。ただしこれだけではソフトロックであり、次の《宿命/Kismet》を組み合わせることで対戦相手を完全にロックできます。
《宿命/Kismet》
(3)(白)とコストはやや重いですが、対戦相手がコントロールする土地、クリーチャー、アーティファクトがタップ状態で戦場に出るようになるため《停滞/Stasis》との組み合わせで対戦相手を完全にロックすることができます。
《吠えたける鉱山/Howling Mine》
Turbo Stasisの心臓部とも言えるカードです。追加ドローで《島/Island》を引いてきて《停滞/Stasis》を維持し、対戦相手の手札を増やして《黒の万力/Black Vise》でダメージを与えます。
《ブラック・ロータス/Black Lotus》各種《Mox ~》《太陽の指輪/Sol Ring》
《吠えたける鉱山/Howling Mine》や《宿命/Kismet》などを1ターンでも早くプレイするために投入されています。手札を素早く展開することにより《天秤/Balance》や《Timetwister》も強く使えます。
《黒の万力/Black Vise》
このデッキの勝利手段の一方です。ロック後《吠えたける鉱山/Howling Mine》で対戦相手の手札をいっぱいにしてダメージで勝利します。
《フェルドンの杖/Feldon's Cane》
こちらのライブラリを修復し、墓地のカードを再利用可能にするとともにもう一方の勝利手段であるライブラリアウトをサポートします。
《Ancestral Recall》《Time Walk》《知識の噴出/Braingeyser》《回想/Recall》
青いコントロールデッキの基本パッケージです。中でも《Time Walk》は特に重要です。複数の《吠えたける鉱山/Howling Mine》が戦場にある状態では《Ancestral Recall》より強くなりますし、(1)(青)を残して《停滞/Stasis》の維持を止め《Time Walk》をプレイ、追加ターンで土地をアンタップして安全に呪文(そう《停滞/Stasis》も!)をプレイすることもできます。
《魔力消沈/Power Sink》
このデッキにおいては土地をタップする《枯渇/Mana Short》効果が重要なため《対抗呪文/Counterspell》より優先して採用されます。
《ブーメラン/Boomerang》《解呪/Disenchant》
ロックが決まるまでの間、脅威となるカードを排除するとともに《停滞/Stasis》を維持できなくなる前にバウンス/破壊して自分の土地をアンタップするために使用します。
《Remove Enchantments》
詳細についてはMTG Wikiを読んでいただくとして、このデッキにおいてはおおむね「あなたがコントロールするエンチャントを手札に戻す」だと思っていただければ良いでしょう。ときどき対戦相手の攻撃クリーチャーにエンチャントされている《不安定性突然変異/Unstable Mutation》や《動く死体/Animate Dead》を破壊することもあります。《ブーメラン/Boomerang》よりも軽く、《停滞/Stasis》の維持に使用できないマナでプレイできるのが利点です。《Copy Artifact》も戻ってしまうことには注意してください。
《天秤/Balance》
ほぼノンクリーチャーのこのデッキにおいては2マナの《神の怒り/Wrath of God》となります。
《Chaos Orb》
効果に物理的操作を含むオールドスクールならではのカード。これを投げたくてオールドスクールをやってる、という方もいるのではないでしょうか。万能除去ですが命中させるには練習が必要です。
《秘宝の障壁/Relic Barrier》
対戦相手のアーティファクトをタップすることもできますし、《吠えたける鉱山/Howling Mine》がタップ状態では「オフ」になることを利用してこちらだけ追加ドローを得ることもできます。
《Copy Artifact》
状況に応じて《吠えたける鉱山/Howling Mine》《黒の万力/Black Vise》等、もしくは対戦相手の有用なアーティファクトをコピーします。
《Time Vault》
《Time Walk》の項で述べたような使い方をします。《停滞/Stasis》を維持できなくなりそうになったら《Time Vault》の能力でそのターンを飛ばしこれをアンタップします。あなたのターンは飛ばされ対戦相手のターンが始まりますが、まだ《停滞/Stasis》は機能しており対戦相手はパーマネントをアンタップできません。次のあなたのターンには《停滞/Stasis》は生け贄に捧げられあなたの土地はタップアウトしていますが、ここで《Time Vault》を起動することで追加ターンを得て土地をアンタップしてから手札の《停滞/Stasis》をプレイできます。
ロック完成前に引いてきた《停滞/Stasis》もこれがあると使い捨てで時間稼ぎに有効利用できます。また《停滞/Stasis》を維持できている状態でもライブラリアウトを早めたり、《黒の万力/Black Vise》でダメージを与えるために対戦相手にターンを渡すこともできます。
《Timetwister》
墓地のカードを再利用、手札を補充するとともに対戦相手に《黒の万力/Black Vise》でダメージを与えます。
サイドボード:
《時の精霊/Time Elemental》
サンプルデッキはメインデッキにクリーチャーは採用せず、サイドボードに《時の精霊/Time Elemental》1枚だけ入れています。もし対戦相手がクリーチャー除去を全てサイドアウトした場合、この厄介な精霊に対処することはできないでしょう。
《青霊破/Blue Elemental Blast》《赤の防御円/Circle of Protection: Red》
赤を含むデッキに対してサイドインします。
《黒の防御円/Circle of Protection: Black》
黒ウィニーなどに対してサイドインします。
《象牙の塔/Ivory Tower》《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《The Tabernacle at Pendrell Vale》
主にアグロデッキに対してサイドインします。《セラの天使/Serra Angel》が採用されているとロックを決めても負けてしまうため、その場合はコントロールに対しても《剣を鍬に/Swords to Plowshares》はサイドインします。
《Moat》
飛行を持たないクリーチャーをシャットアウトします。飛行を持たないクリーチャー中心のアグロデッキに対してサイドインします。
《City in a Bottle》
アグロデッキの中でも《密林の猿人/Kird Ape》《セレンディブのイフリート/Serendib Efreet》《アーナム・ジン/Erhnam Djinn》等を採用しているデッキに対してサイドインします。自分の《真鍮の都/City of Brass》《Library of Alexandria》も除去される/プレイできなくなることに注意してください。
《解呪/Disenchant》《塵は塵に/Dust to Dust》
《塵は塵に/Dust to Dust》はThe Deck、Robotsの様なアーティファクトを多用するデッキに対してサイドインします。
《解呪/Disenchant》は苦手な《地獄界の夢/Underworld Dreams》デッキに対して特に重要です。またTroll Disco等が使用する《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》は1枚でこちらの盤面を壊滅させるため絶対に除去したいカードです。これに対しても《解呪/Disenchant》をサイドインします。
○採用候補カード解説
ここでは今回のデッキには不採用でしたが採用候補だったカードをいくつか紹介します。
《セラの天使/Serra Angel》
飛行と警戒を持つため《停滞/Stasis》や《Moat》が戦場にあっても攻撃することができます。メイン、サイドボードのどちらでも採用を検討する価値があります。また言い換えればこのデッキに対する天敵でもあるということでもあります。
《神への捧げ物/Divine Offering》
《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》を使用してくるデッキが多いようなら追加の《解呪/Disenchant》としてサイドに用意します。
《Transmute Artifact》
《吠えたける鉱山/Howling Mine》や《黒の万力/Black Vise》など状況に応じて必要なアーティファクトをサーチできます。
《イス卿の迷路/Maze of Ith》
対アグロ用カード。サンプルデッキに採用した《The Tabernacle at Pendrell Vale》とは一長一短です。こちらは確実に1体の攻撃をシャットアウトします。
CFBルールでは1枚制限、ECルールでは非制限であることに注意してください。
《氷の干渉器/Icy Manipulator》
(4)というコストはやや重いためサンプルデッキでは不採用ですが、アーティファクトだけでなく土地やクリーチャーもタップできるため有用です。
○キープ基準
Turbo Stasisは対戦相手の脅威を捌きつつ土地を伸ばしていき、十分なマナと追加ドローが得られる状態での《停滞/Stasis》プレイを目指します。そのために3枚以上のマナソース(《吠えたける鉱山/Howling Mine》を含むなら2枚でも)、《吠えたける鉱山/Howling Mine》をはじめとするドロー呪文、カウンター呪文もしくは除去呪文、これらが揃っている初手が理想です。
例外的には《島/Island》×2《Mox Pearl》《黒の万力/Black Vise》×2《Timetwister》《何か》の様な初手があります。この初手は1ターン目に《黒の万力/Black Vise》2枚をプレイ、2ターン目には《Timetwister》をプレイして手札を補充するとともに対戦相手へダメージを与えることができます。
○廉価版サンプルデッキ
《Tundra》4枚は所持、P9は未所持の場合のサンプルデッキです。所持しているカードがあれば先のサンプルデッキを参考に適宜入れ替えてみてください。
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