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オールドスクール(Old School Magic)紹介 ver2.0

 初note記事でオールドスクール(Old School Magic)紹介記事を書きましたが、こちらも改稿の必要性を感じたため、新たに書き直してみます。

1. オールドスクール(Old School Magic)とは

 オールドスクール(以下OS)とはM:tG発売初期のオールドエキスパンション収録カードのみでデッキを構築するフォーマットです。一般的には1993年~1994年に発売されたエキスパンションのみを使用するOld School Magic 93/94のことを指します。

 個人的な思いを語らせていただければOSは私にとって非常に思い入れの深いフォーマットです。
 私がM:tG始めたのはHomelands/ホームランドが発売された直後で、その頃は黒単色のウィニーを使用していました。1ターン目《暗黒の儀式/Dark Ritual》からの《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》いわゆる「A定食」や相手のプランをボロボロにする《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》に魅入られていました。これらのカードは現在でもOSで現役です。また、この頃にはすでにオールドエキスパンションのほとんどは使用することができず《ブラック・ロータス/Black Lotus》、《Ancestral Recall》、《Library of Alexandria》等の強力カードは書籍の中でだけで目にする憧れのカードでした。OSは私にとってプレイ初期の郷愁とあの頃には手の届かなかったカードに対する憧憬の双方を満たしてくれる素晴らしいフォーマットなのです。

 ややこしいのが同じOld School 93/94でも複数の異なるレギュレーションがあることです。Channelfireball(以下CFB)、Eternal Central(以下EC)、Atlantic、Swedishと4つのルールが存在します。日本国内ではMagicFestサイドイベントでも開催されていたChannelfireball(以下CFB)のレギュレーションが一般的だと思われます。日本国内でプレイされる場合にはこのCFBルールに準拠していればまず問題ないのではないかと思われます。このルールは下記urlで確認できます。

CFB Old School Magic 93/94
https://my.cfbevents.com/reference/oldschool

他のレギュレーションに関しては以下のurlを参照してください。

EC Old School Magic Rules 93/94
https://www.eternalcentral.com/9394rules/

Atlantic 93/94 Magic Rules
https://sentineloldschoolmtg.com/atlantic-93-94/

Swedish 93/94
http://oldschool-mtg.blogspot.com/p/banrestriction.html

2. CFB Old School Magic 93/94ルール

 デッキは下記のセットに収録されたカードで構築される必要があります。
・Alpha・Beta
・Unlimited
・Collector’s Edition
・International Edition
・Arabian Night
・Antiquities
・Legends
・The Dark
・Fallen Empire
・1994 Book Promos(《Arena》《Sewers of Estark》)Foilやプロモを含む上記セットからの再録カード。

 禁止カード:全てのアンティに関するカード。

 制限カード:下記のカードは1枚ずつのみデッキに入れることができます。
・Ancestral Recall
・Balance
・Black Lotus
・Braingeyser
・Channel
・Chaos Orb
・Demonic Tutor
・Library of Alexandria
・Mana Drain
・Maze of Ith
・Mind Twist
・Mox Emerald
・Mox Jet
・Mox Pearl
・Mox Ruby
・Mox Sapphire
・Recall
・Regrowth
・Sol Ring
・Time Vault
・Time Walk
・Timetwister
・Wheel of Fortune

 再録カードに関する方針ですが以前は「第8版より前の枠(いわゆる旧枠)、オリジナルと同じイラスト、Foilではない」が使用可能な再録カードでしたが、2019年7月24日に更新されて「Foilやプロモなどを含む、これらのセット(OSで使用可能なセット)からの再録カードを使用しても良い」と変更されました。
 この変更はOSならではの懐古感をスポイルするものであると同時に新規参入の間口を広げるという相反する面があり、なかなか悩ましいものではあります。ただOSの歴史を振り返るとフォーマット制定初期はα、βの黒枠のみが使用可能で後にUnlimited等白枠の再録カードも使用可能になったという経緯があり、個人的にはこの変更も必然のものだと考えています。

 また、OSでは古のルールである「マナ・バーン」が適用されます。

When a step or phase ends, any unused mana left in a player’s mana pool is lost. That player loses 1 life for each 1 mana lost this way. This is called mana burn. Mana burn is loss of life, not damage, so it can’t be prevented or altered by effects that affect damage. This game action doesn’t use the stack.

 各ステップやフェイズの終了時、各プレイヤーのマナ・プールに残っている使用されなかったマナは失われる。この方法で失われたマナ1点につきそのプレイヤーは1点のライフを失う。これをマナ・バーンと呼ぶ。マナ・バーンはライフの損失であり、ダメージではないので軽減することはできない。これはゲームの行動でありスタックを用いない。

3. エラッタ

 OSで使用される一部のカードにはルールグループによりエラッタが出されています。そのうちの一つはM:tGの歴史でも珍しい、物理要素が関係する《Chaos Orb》です。

Chaos Orb
{2}
Artifact
{1}, {T}: Choose a nontoken permanent on the battlefield. If Chaos Orb is on the battlefield, flip Chaos Orb onto the battlefield from a height of at least one foot. If Chaos Orb turns over completely at least once during the flip and rests touching the chosen permanent, destroy that permanent. Then destroy Chaos Orb.

Chaos Orb
2
Artifact
(1), (T): 戦場にあるトークンでないパーマネント1つを選ぶ。《Chaos Orb》が戦場にあるなら少なくとも1フィート(約30cm)の高さから《Chaos Orb》をはじく。《Chaos Orb》が少なくとも一回転し、選ばれたパーマネントに触れたならばそのパーマネントを破壊する。その後《Chaos Orb》を破壊する。

 CFBルールには存在しませんが《Falling Star》と《Ring of Ma’rûf》にもECルールではエラッタが出されています。

https://www.eternalcentral.com/updated-errata-and-wording-for-falling-star-chaos-orb-and-ring-of-maruf/

 これらのカードを使用する場合にはこのECエラッタに従うのが妥当かと思われます。

Falling Star
{2R}
Sorcery
Choose any number of non-overlapping creatures on the battlefield. Flip Falling Star from at least a height of one foot. If Falling Star turns over completely at least 360 degrees during the flip, it deals 3 damage to each chosen creature it lands resting on. Any creatures damaged by Falling Star that are not destroyed become tapped. (Note: Falling Star chooses upon resolution, but does not target.)

 戦場の重なっていない任意の数のクリーチャーを選ぶ。少なくとも1フィートの高さからFalling Starをはじく。Falling Starが少なくとも360度完全に回転していたなら、Falling Starはそれが上に乗った選ばれたクリーチャーそれぞれに3点のダメージを与える。Falling Starによりダメージを与えられ破壊されていないクリーチャーをタップする。

上記ECのページからいくつかQ&Aを抜粋してざっくり訳。
Q:《Falling Star》はトークンクリーチャーを選ぶことができますか?
A:はい。《Falling Star》をはじく前に選ばれたトークン・クリーチャーそれぞれを表すために別のカードを使います。

Q:《Falling Star》のコントローラーは《Falling Star》をはじく前に選んだクリーチャーを並べ替えることができますか?
A:はい。《Chsos Orb》と同じようにあなたは選んだクリーチャーを動かすことができますこれが「重なっていない」という語句が妥当で重要な理由です。

Ring of Ma’rûf
{5}
Artifact
{5}, Tap, Exile Ring of Ma’rûf: The next time you would draw a card this turn, instead choose a card you own from exile or from your sideboard, and put it into your hand.

Ring of Ma’rûf
5
Artifact
(5), (T), Ring of Ma’rûfを追放する: このターン、次にカードを引くとき、代わりにあなたがオーナーであるカードを追放領域、あるいはサイドボードから選び、それをあなたの手札に加える。

4. おまけ(サンプルデッキ)

 OSは前述のように強力な(そして現在では高価な)カードを使用するフォーマットであるため取っ付き難さを感じる方もいるでしょうが、それらのカードを使用せずとも十分に渡り合うことも可能です。そういったデッキを一つ紹介します。

Mono-Black Weenie:
16 《沼/Swamp》
4 《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》
4 《露天鉱床/Strip Mine》
4 《黒騎士/Black Knight》
4 《Order of the Ebon Hand》
4 《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》
1 《凄腕の暗殺者/Royal Assassin》
3 《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire》
4 《暗黒の儀式/Dark Ritual》
1 《精神錯乱/Mind Twist》
2 《麻痺/Paralyze》
1 《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
2 《生命吸収/Drain Life》
4 《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》
2 《恐怖/Terror》
1 《土牢/Oubliette》
1 《強欲/Greed》
1 《氷の干渉器/Icy Manipulator》
1 《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》

4 《Aeolipile》
2 《破裂の王笏/Disrupting Scepter》
4 《憂鬱/Gloom》
1 《土牢/Oubliette》
1 《凄腕の暗殺者/Royal Assassin》
1 《強欲/Greed》
2 《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》

 Moxや《ブラック・ロータス/Black Lotus》が無くとも《暗黒の儀式/Dark Ritual》のマナ加速により対戦相手のデッキより先んずることが可能です。《精神錯乱/Mind Twist》や《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》で対戦相手の手札をボロボロにできれば勝利は目前です。


 それでは良きオールドスクールライフを楽しまれんことを!!

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