土木施工管理技士 第二次試験(経験記述)の内容が変わる

 お疲れ様です。

 一般財団法人全国建設研修センターによる令和6年2月28日(水)「令和6年度以降の施工管理技術検定試験問題の見直しについて」に関しまして、今更という気もしますが。
 既に知っている方にも向けまして、私が予想する変わった後の出題傾向4パターンも載せています。当たる保証はありませんが……。

 令和6年6月2日(日)に実施された二級土木施工管理技術検定第一次試験、会場では問題を開いた瞬間に空気が冷えました。周りから「えっ」という囁きが聞こえて来た会場もあったのではないでしょうか。多くの受験者が上のお知らせを確認していなかったという訳ですね。
 何なら私も終わってからお知らせがあった事を知りました。
 土質工学、構造力学、水理学がそれぞれ2問、2問、1問と計5問が必須問題として出題されました。今年の出題を見た限りでは、幸い土質工学は今までの勉強でも対応出来る内容でした。

 上記のお知らせの中には、当然ですが第二次試験の問題についても見直しが行われる旨が記されていました。
 具体的な内容は下の通りです。

・第二次検定:受検者の経験に基づく解答を求める設問に関し、自身の経験に基づかない解答を防ぐ観点から、1級と2級の第二次検定においては幅広い視点から経験を確認する設問として見直しを行う。

令和6年2月28日(水)
一般財団法人全国建設研修センター 土木試験部
令和6年度以降の土木施工管理技術検定試験問題の見直しについて
https://www.jctc.jp/kentei/info/kentei20240226_d.pdf

 単純に考えれば、参考用の経験作文を丸写しする受験者が多かったのでしょう。様々な参考書や対策講座、販売サービスで入手可能とはいえ、経験作文の例文を丸写ししてしまうと、当然ですが採点時に同じ文章が幾つも見付かる訳です。
 幾ら工事名や発注者名を変え、細部を弄った所で文章の大半が被っていれば分かります。
 そうした経験作文の対策として、幅広い視点から経験を確認する、つまりは今までの経験作文では問われなかった実務的な内容が追加されると考えられます。
 今までも工事名、発注者名、工期等、それなりの情報量が求められていましたが、それらでは不十分、実際に経験していなくても書けてしまうという判断がなされている訳ですから、対策は非常に難儀です。

 想定出来るのは、

1.従来の出題の複合タイプ
 今までは「工程管理」、「出来形管理」、「品質管理」、「安全管理」から出題されていました(2級の場合は2種類が出題され、1種類を選択して回答。1級の場合は1種類のみ出題され、その管理項目について回答)。ここを“幅広い視点から経験を確認する”となると、複数提示された管理項目について触れる必要がある、もしくは全ての中から幾つかに言及しなければならないパターン。
 管理項目はそれぞれが独立している訳ではありませんよね、「工程をうまく管理出来れば時間に余裕が生まれ、出来形、品質、安全に十全の時間を充てられるので検討や対策が向上する可能性」があります。
 そうした風に、
・出来形管理の工夫によって生じたと考えられる安全管理への影響
・工程管理の工夫によって生じたと考えられる品質管理への影響
 等が問われる可能性はあります。
 ただこのタイプの場合、上述の4種類の全ての参考用の経験作文を憶えれば実際に経験していなくとも答えられてしまう可能性があり、自身の経験に基づかない回答を取り除くには強制力が弱い気もします。

2.今まで問われる事のない分野で設問が増えるタイプ
 例えば、発注者や協力業者との対応、調整、協議があります。書類の作成に関する質問、簡単な工程表の記載や言及といった現場以外の施工管理としての業務について質問が増えるパターン。
 この場合、長々と記載させられる事は無いと踏んでいますが、従来の
⑴工事名
⑵工事の内容
⑶工事現場における施工管理上のあなたの立場
 に加えて、
⑷発注者と協議した事項
⑷施工計画書を作成する上で留意した事項
⑷経験した土木工事の工程表
 等が増える可能性がありますね。

3.原価管理が増えるタイプ
 施工管理の管理項目と言えば、工程、安全、品質(出来形を含む)、原価だと習った方も多いのではないでしょうか。代表的な管理項目の中で触れられていない原価管理についての記述を求められる、もしくは上記の⑷の様に設問が増えるパターン。
 もっとも、あまり他社のお金に関して具体的な回答を求める事は失礼でしょうから、精々が具体的な金額や利益率ではなく、
・利益を上げる為に出来た事は?
・経費を下げる為に出来た事は?
・費用対効果の改善策は?
 程度の設問なら有り得るかと思います。
 可能性としては低いと考えていますが、やはり幅広い視点という観点から言えば、今まで問われなかった分野の質問が増えるのではないかとも危惧しています。

4.本人の感想を求められるタイプ
 回答した土木工事の経験によって新たに学んだ事やそれ以降の土木工事で実際に活かせた経験を問われるパターン。
 読んで字の如くですが、記述した現場条件に即した経験を元にした自身の施工管理としての成長が問われる可能性もあるのではないかと考えています。世の中に全く同じ現場は存在しない訳ですから、規模の大小や種類に関わらず学び取る事はあります。
 例えば、経験記述で山間部の工事について言及したのであれば、
・天候の変わりやすさへの対処法
・電波の不通による連絡方法の確立
 を学べる事とし、
・以降はライヴカメラを設置してリアルタイムで天候を把握出来るようにした
・電波の通じる位置に連絡要員を設けて連絡要員へは無線で伝える事とした
 等を学習した結果のアウトプットとするパターンが考えられますね。

 当然、いずれも私が想定している限りでのパターンなので、より詳細で複 雑な出題がされる場合や私の想定が一つも当たらない可能性もあります。

 個人的には1番か4番で踏んでいますが、こればかりは分かりません。
 難しい点は、いずれの想定でも「実際に経験していなくとも書ける」という点です。実際に経験を積んでいる方からのレクチャーがあれば乗り越えられなくはない訳ですから、非常に悩ましい所です。

 2級土木施工管理技術検定を受ける方は、忘れずに1級土木施工管理技術検定の今年の出題を確認しておきましょう。
 1級の第二次試験は令和6年10月6日(日)に実施され、2級は令和6年10月27日(日)です。
 2級と1級では管理項目の選択が出来ない、専門性の高い内容の記述が求められる等の差異はありますが、設問の文章自体はほぼ同一です。つまり、1級の第二次試験が先に行われる上、2級の開催までは3週間も猶予がある訳ですから、何を問われるのかが分かり、対策するには充分な時間があります。

 また、今までの経験記述が全く無駄になる様な見直しとは思えませんので、経験記述の対策は従来通りに行い、経験した土木工事についてより深く情報を把握し、また日報等によって工事の始まりから終わりまでを一つの流れとして復習しておくとなお良いと私は思います。

 参考用の経験作文は私のnoteで販売しておりますので、文章の構成や作文の流れの参考になるかと思います。
 2級土木施工管理技術検定 第二次試験
 2級舗装施工管理技術者資格試験 応用試験
 1級舗装施工管理技術者資格試験 応用試験
 のいずれも初受験かつ一発合格を達成したので、文章構成に関しては間違いないかと。

 以上、「土木施工管理技士 第二次試験(経験記述)の内容が変わる」でした。
 お疲れ様です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?