田園に死すのうた

ほどかれて 少女の髪に むすばれし
葬儀の花の 花ことばかな

亡き母の 真赤な櫛を 埋めにゆく
恐山には 風吹くばかり

昭和18年の仏さまを
降ろしてください

皆が時計を持ってたら
喧嘩になるでしょう
誰のを信用したらわからないもの

一人で一つずつ時計を持ってる
それで皆 一緒に旅行している

少年時代の私と出会って
私は無性に
腹立たしくなるのを感じた

田園の風景はあんなに
小奇麗なものではなかった

私の少年時代は
私の嘘だったのだ

作り直しの効かない過去なんて
どこにもないんだよ

だが ただの映画の中でさえ
たった一人の母も殺せない 私自身とは
いったい誰なのだ