3歳の初恋

私の初恋は幼稚園の頃だった。

年少さんから3年間同じ組だったDくんだ。そんなにたくさん遊んだわけではない。背の順で並んだ時に隣がDくんで手を繋いでいたからかもしれない。かわいい。

小さい頃はオーロラ姫が大好きだったからか、夢で私がドラゴンに捕まっているところをDくんが王子様として助けにきてくれた夢もみた。かわいい。

バレンタインにチョコをパパ以外に初めて渡したのもDくんで幼稚園の頃は唯一の男の子だ。何をあげたかは覚えていないが、ホワイトデーにお返しでもらったディズニーのお菓子は嬉しくて箱が捨てられなかったのを覚えている。

幼稚園の頃は大好きアピール全開だった私だが、小学生になると目を合わせるのがなんだか恥ずかしくり喋れなくなった。小学校は違ったが通っているスイミングスクールが同じだったため時々見かける姿は相変わらずキラキラして見えた。

中学生、高校生では自分のやることに一生懸命だったので完全に頭から抜けていた。電車で偶然見かけたことはあったが手を振ろうや挨拶しようなどは全く思わなかった。「あ、あれそうかもな〜」の程度だ。

そして大学生。周りの友人がどんどん彼氏を作っていて経験のない私は焦っていた。とにかく誰かと出会わなければ…と思ったのがDくんだった。初恋の人が彼氏ってなんだかロマンチックじゃないか。公園でシャボン玉をするようなストーリーを載せちゃう姿だけ確認し、私は意味わからない理由を作ってDMを送った。そもそも返信がくるのかも不安だった。ただわずかな可能性を信じてワクワクしている自分もいた。そんな中で返信がきた!!

…それはそっけないものだった。

そっけないと言ってしまうと相手に申し訳ない。私の質問にはとても優しく返答してくれた。ただ、期待していたものではなくここから恋愛に繋げるのはとても難しいものだった。でも不思議と私はがっかりはしなかった。むしろ返信が返ってきたこと自体がうれしかった。10年以上前にアタックしていた私に「久しぶり!」と返してくれただけで嬉しかったのだ。私の存在を覚えてくれていたこと、幼いながら好きだったかわいい記憶を思い出させてくれたことに感動した。

その後、彼とは全く連絡は取っていない。それでもDMをきっかけにInstagramをフォローさせてもらい見守っている。今はそれぞれ恋人と同棲をしており幸せな生活を送っている。

恋をすることは人生に強烈な記憶を残すことだ。
そしてどんな方向であれ素敵な思い出になる。
人を想う経験はいつだって自分をかわいくしてくれる。

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