見出し画像

【考察】どうしてWotCは「アルケミー」を作ったのか?

※本記事はおよそ10000字あるそこそこな長文記事となっておりますので、お時間あるときにご覧いただければと思います。

2021年12月3日、日本時間7:30、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストはTwitch上の生番組でMTGアリーナ上に「アルケミー」という新フォーマットを設立することを発表しました。


この前情報に違わぬ「ビッグニュース」の発表にプレイヤーは騒然、コメント欄は非難の声であふれかえりました。
(勿論肯定的な声も見られましたが大半は否定的な声で、記念すべき発表の場でありながら罵詈雑言が飛び交う事態になっていました…)


今回の記事では、そもそも今朝発表された「アルケミー」とはどのようなフォーマットなのか?なぜ炎上してしまったのか?をおさえつつ、WotCはなぜアルケミーを設立したのか、その背景を考察していきたいと思います。



そもそも「アルケミー(Alchemy)」ってどんなフォーマット?

アリーナ限定のカードが使えるスタンダード

アルケミーを説明する言葉としては、「アリーナ限定のカードが使えるスタンダード」というのが一番しっくりくると思います。

以前、ヒストリックフォーマットでのみ使用できるデジタルカードが追加されたことがありましたが、「アルケミー」とはそれをスタンダードでもやろうとする試みのようです。

山札に《稲妻》を4枚生成する速攻クリーチャー。普通に強いですね!


限定カードの入手経路はパックとワイルドカードで、『アルケミー:イニストラード』というパックが販売され、そこからアルケミー限定のカードは入手できるようになるのだとか。

コモンカードは『イニストラード:真紅の契り』のものが封入されるそうですよ!



一部カードはカードパワーが調整される

アルケミーは、所謂ナーフ(弱体化)が入るフォーマットになるとのことです。

調整されたカードは、調整前のカードと別のカードとして扱われるとのことですが、片方のカードを入手するともう片方のカードも同時に入手できるようになるとのことなので、その点は心配しなくて大丈夫そうです…!
(すでに入手しているカードが調整された場合も同様に、調整後のカードを新たに入手できます)

《エシカの戦車》にはトークン生成を1体に、搭乗を4→2にする変更が加えられるとのこと。
逆に強くなっているのではないかと話題に。



競技プレイで採用される主要フォーマットである

もはや言うまでもなく察しがついていた方もいるかと思いますが、アルケミーは主要フォーマットで、競技プレイに必須の存在になります。

具体的には以下の通りで、このことがアルケミーが設立された重要な理由の一つでもあり、炎上の火種の一つでもあるわけですね…

また主要フォーマットとして、競技イベントでもアルケミーを採用します。12月のランク戦シーズンで参加権利を得られる予選ウィークエンドは、アルケミーで行われる予定です。1月にはアルケミーのアリーナ・オープンも開催予定です。引き続きスタンダードやヒストリックの競技イベントも行いますが、アルケミーも定期的に採用されるということです。

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0035646/



私個人のスタンス

以降の内容に言及するまえに私の個人的なスタンスを明らかにしておくと、「自分の中でも賛否両論」です。
私の中でもアルケミーは魅力的に思えるし支持したい気持ちがある反面、「そりゃあ非難をあびるだろうなぁ」という気持ちもあります。

経営や運営の都合からこうした施策を取らざるを得ないと判断したWotCの気持ちも大いに分かるので、こうして筆を取った次第です。


とはいえ、この「一見中立っぽい」スタンスは決して真の意味で中立的であるとは言えないと思います。

というのもMTGはゲームであり、その体験主体はプレイヤーです(至極当然のことですが…)

そうである以上、MTGのコンテンツとしての価値はプレイヤーの感情を楽しく興奮するように揺さぶる体験にあるわけですから、プレイヤーの多くが激しく憤慨したり失望したりする発表を擁護するのは根本的に無理筋です。


それでもWotCと今回の発表を批判しつつも擁護する記事を書くということは、根底として私自身がかなり信者サイドの立場にいることに他なりません。

そのバイアスを自覚していながら記事を書くのはいかがなものかと思われるかも知れませんし、実際あまりよろしくないのですが、(信者サイドの)バイアスがかかっているとはいえ双方向からの視点に言及した記事を書くことに一定の意義があると考え執筆いたしました。

「それでもかまわないよ」という方はおつきあいいただければと思います。



アルケミーはなぜ炎上したのか?

いくつか理由があると思います。

Twitterなどで目についた意見を箇条書き形式でまとめてみました。

  • テーブルトップのMTGにない要素が受け入れられない。

  • 競技プレイの負担が増大した。

  • そもそもそんな施策望んでない / 余計なことされた感がある。


ひとつの目の「紙のMTGにない要素が受け入れられない」という意見

これについては、「(コロナ・田舎などの問題で)テーブルトップのMTGを遊ぶ機会が得難いがためにデジタルのMTGアリーナで遊んでいるのだから、アリーナをテーブルトップのMTGとすっかり別物にされては困る。」、「MTGアリーナからハマってテーブルトップの方も始めた。テーブルトップで遊べない時にはアリーナで練習といったプレイサイクルで楽しんでいるのだから、テーブルトップとアリーナを別物にして欲しくない」という意見がありました。

あるいは長くMTGをつづけてきたコアなプレイヤーで、DTCGはアリーナしかやってないので、DTCG的な挙動をするカードが生理的に受け入れられないという意見も…

同じくテーブルトップではありえなかった「バランス調整」という処置が受け入れがたいという方もいるみたいです。


「ならテーブルトップだけで遊べばいいのでは?」という意見もあるかと思いますが、アリーナが競技プレイの登竜門に位置づけられるなど、現状のMTGにおいてテーブルトップとアリーナは切っても切り離せない関係にあります

MTGばかりやってきたという方からの不満が噴出するのも当然だろうなという印象です。


また、そもそもテーブルトップのMTGでパイオニアが追加された際には、パイオニアとモダンとで競技人口の取りあいになる事態が発生してしまいました。
(パイオニア設立直後はモダンもパイオニアもというプレイヤーが多かったのですが、今はモダンの方が圧倒的に優勢です…)


多くのプレイヤーが新フォーマット設立それ自体に嫌悪感があるわけではないようですが、「また人口の奪い合いにならないか?」という懸念を表する方もいらっしゃいました。

一度起こったことは再び起こるでしょうから、もっともな意見だと思います。



競技プレイの負担が増大した

すでに「ヒストリックとスタンダードとの両方を追うことはできない…」という意見をよく目にする状況なので、そこにアルケミー追加はしんどいのかもしれませんね。

特にヒストリックはメタの回転速度が尋常じゃないのですが、アルケミーもカードパワーの調整によって流動的なメタゲームになる可能性があるので、競技プレイに追いつくのに体力のいるフォーマットになることが予想されます。

これに関しても同情できる反面、競技である以上日々難しく困難になっていって然りなので、個人的には「競技プレイヤーにはがんばっていただくしかないな」という気持ちです。


「そもそもそんな施策望んでない」という意見

アリーナへのパイオニア実装を切望するプレイヤーから落胆の声が上がっているのはとりあえず置いておいて、多くのプレイヤーから「そんな施策望んでなかった」という意見が多く見受けられました。


冷静に考えてみれば奇妙な話です。

コンテンツに新しいアップデートが加えられるという発表がなされた際に、「そんなことしろなんて言ってない」と実装される前から非難轟々なのは、あまり他では見られない状況なのではないでしょうか?

そもそもコンテンツが飽和した現代においては、日々何か新しい施策を打ってユーザーへの訴求力を高めなければユーザーは減っていく一方ですし、開発者に「何もしないこと」を求めるのは無理な要求です。


これはMTGのプレイヤーに極度に保守的な傾向があるから起こった反発なのでしょうか?

私にはそう思えませんし…というか絶対違うと思います。


WotCのここ数年の施策にプレイヤーを「新しいものアレルギー」にさせてしまう危うさがあったのだと私は考えています。

その危うい施策の中でも代表的なのが、「モダンホライゾン2」と「ジャンプスタート:ヒストリックホライゾン」

どちらも下環境のメタゲームを、もっと言えばゲーム性すらも激変させてしまう劇薬で、プレイヤー間で賛否両論を巻き起こした代物でした。

これらの問題点は、ローテーションがなくメタゲームの変遷がゆるやかなために好きなカードやデッキを長く使うことができるのが魅力の下環境で、プレイヤーが大切にしていたカードやデッキを一気に過去のものにしてしまう強烈なカードパワーにありました。

端的に言えば、これら二つの施策は下環境というプレイヤーにとっての安全圏を直に脅かす、プレイヤーの不安感をあおるものでした。

もちろん、スタンダードのセットから輩出されたカードが愛用の下環境デッキをダメにしてしまう可能性も十分あるわけですが、そのリスクはマジックプレイヤーなら重々承知のはずです。

問題は、意図していないところから安全圏(だと思っていた領域)を直に触られて歪められてしまう不快感でしょう。


この問題をもうちょっとマクロな捉え方をするならば、「コンテンツへの信頼が着実に失われている状況」であると言えるでしょう。

カードはローテーションしたらスタンダードでは使えなくなる。けれどもスタンで強かったカードのうちいくつかは下環境で数年間現役でいてくれる…というカードを集める行為への信頼感

それが今現在進行形で壊れていっているのですから、まぁまぁ危機的な状況なのではないかと思います。
(これは長らくモダンをつづけてきた方なら、ヒシヒシと肌で感じていることだと思います)


今回のアルケミー専用カードも当然ヒストリックで使用可能ですから、またヒストリックはゲーム性激変の憂き目に遭うかも知れません。

「新しいヒストリックも楽しめるようになってきた」というプレイヤーの心労は想像に難くありませんね…



なぜWotCは「アルケミー」を設立するのか?

スタンダードの競技性を維持するのは最早困難だから

最近のスタンダードのメタゲームは、イゼットが圧倒的に幅をきかせた異常な状況が続いています。

この問題についてWotCの開発能力不足を疑う声もありますが、私個人の考えとしてはむしろMTGアリーナがプレイヤー間にすっかり普及してしまって、それがスタンダードの環境解明速度をこれ以上ないほど速くしてしまっているのではないかと考えています。

あるいは、スタンダードの狭いカードプールではアリーナによる解明速度に耐えられないという捉え方の方が妥当かもしれません。

現に下環境のヒストリックではすさまじい速度でメタゲームの流転が続いており、多様なアーキタイプが「すくみ」の関係を築くことができています。


何にせよ、今のスタンダードでの異常事態の責任をWotCのゲームデザイン能力に着せるのは違うと思います。限られた人数のゲームデザイナーのチームと、絶え間なく研鑽する世界中のプレイヤーの集合知、競ってどちらが勝つかは自明でしょうから。

こうした事情を踏まえると、WotCの今回の施策を合理的に解釈できるような気がします。


バランス調整で強引にメタゲームを流転させたい

現状のMTGアリーナでは、強すぎるカードへの処置として禁止(BAN)しかありません。

理想を言えば、スタンダードのメタゲームが異常な状態になれば、速やかに強すぎるカードを禁止にしてしまえば良いのですが、WotCにはそうできない事情があります。

昔からWotCがショップに経済的打撃を与えないように、中古市場でのカード価格が暴落しないよう気遣っているのは有名な話ですが、トップレアから禁止カードを輩出してしまうとショップは間違いなくダメージを受けます。


なので「スタンダードから禁止を出さずに、スタンダードのメタゲームで強すぎるカードを制限するにはどうすればいいか?」という課題に対して、「じゃあもう一個スタンダードを作って、そっちではバランス調整を柔軟にできるようにしたらいい」というトンチみたいな答えを出したのではないでしょうか?

これまで以上のフットワークでWotCが直に環境に干渉できるようにして、強引にメタゲームを回転させるというのがWotC側の目論見ではないかと考えています。

事実WotCはアルケミーを競技プレイで使用する主要フォーマットとして扱うことを明言していますから、アルケミーが事実上の新スタンダードとしての扱いを受ける可能性は高いと思います。


“Draft“などデジタル限定ギミックが環境解明までの時間を長くするかも知れない期待

「アルケミー」の発表と同時に公開されたカード《血母、イシュカナ》は、15種類のカードの内から3枚を提示し、その中から1枚を手札に加える「ドラフト」という新しい能力を持っていました。

競技プレイヤーは当然この「ドラフト」で提示されるカードすべてを把握しておく必要に迫られるでしょうし、その上で状況に合致したカードが「ドラフト」によって手札に加わる見込みはどれくらいあるのか都度考えなければならないでしょう。

こうしたテーブルトップにはない挙動のカードによって、ゲーム上での駆け引きを複雑にし、環境が解明されるまでの期間を延ばす目論見もあるのではないかと思います。


収益化モデルを整理したかった

もうひとつの可能性として、MTGというコンテンツの収益化モデルを再構築したかったということも考えられます。

アリーナ以前のMTGの主たる収益源は、「ブースターパック」でした。

  • WotCはショップにブースターパックを売る

  • ショップは中古カードをプレイヤーに売る。

  • スタンダードプレイヤーは主にブースターパックを、下環境のプレイヤーは主に中古カードを購入する。

という比較的シンプルな収益化の体制がありました。


しかし、これがMTGアリーナのオープンβ以降少しずつ崩壊していくことになります。

MTGアリーナそれ自体は素晴らしいアプリで、これまでのどんなMTGアプリよりも洗練されたUIをもち、テーブルトップに遜色ないテンポ感でプレイできる代物でした。

加えてMTGアリーナは、テーブルトップへの巨大な送客口とされていたのか、あるいはDTCG開発の定石の則ったのか、無課金でもコツコツデイリーをこなせば不自由なく強いデッキを組むことができました。


そうした状況下で徐々に表面化していったのが「テーブルトップのスタンダードを遊ぶ必要性が無くなった」という状況。


こうした状況下で、WotCは「ブースターパック」からではなく、他の収益源を模索するようになります。

ひとつは下環境プレイヤー向けにカードを作って販売する「モダンホライゾン」、もう一つは「シークレットレア(SECRET LAIR)」に代表されるセット商品。殊に「シークレットレア」は受注生産ということもあり、ショップを介さずにプレイヤーにカードを直売するという、これまでにない性質の製品でした。

こうした製品開発の裏側には、「中古市場で魅力的なカードが売買されているように、WotCもブースターを売るのではなくカードそのものを売る施策が必要なのではないか」という思惑があったのかもしれません。

シークレットレアは「隠れ家」という意味だったり。
「秘密のレアカード」というニュアンスをかけたおしゃれなダブルミーニングです。

現状「シークレットレア」を熱心に集めていらっしゃるプレイヤーが散見されること、そして多くのプレイヤーが「シークレットレア」の新製品発表に関心を寄せている状況から、「シークレットレア」の取り組みは上手くいっているのではないかと思います。

「シークレットレア」の受注生産というスタイルも功を奏してか、ショップが「シークレットレア」の影響で打撃を受けているという話も聞きません。この点からもやはり巧みな販路開拓だったのかなという印象です。


スタンダード製品のかつてない不人気と火に油を注いだ「モダンホライゾン2」

先ほど「シークレットレア」と並べて新しい施策としてあげた「モダンホライゾン」ですが、その2作目である『モダンホライゾン2』がMTGの収益化モデルに大きな遺恨を残すことになってしまいました。

具体的にはスタンダード向けのブースターパックがますます売れないようになってしまったのです。


醒めない悪い夢ー

そもそも先述した「アリーナが充実しているからテーブルトップでスタンダードを遊ぶ必要性が無くなっている」問題のために、「スタンダード=アリーナ、テーブルトップ=下環境(主にモダン)」という構図が出来上がってしまっていました。

とはいえ、一定数の下環境プレイヤーがモダンなどでも強力なカードを求めてブースターパックを購入していたので、スタンダードの人気が落ちようともやはりブースターパックはある程度売れていたわけです。

そこへ『モダンホライゾン2』によって大量のパワーカードが投下され、『モダンホライゾン2』のカードが下環境のメタの中心に居座るようになると、通常のブースターパックから出たカードが下環境のメタに食い込むことが難しくなり、下環境のプレイヤーすら通常のブースターパックを剥くことがなくなってしまうという八方塞がりな状況ができてしまいました。

その結果、ここしばらくの「通常ブースターパックのかつてない不良在庫化」という現象が発生しているのだと思われます。


この状況下から「モダンホライゾン」でない通常のブースターパックの下環境プレイヤーへの訴求力を高めるには、今後発売するすべてのブースターパックを「モダンホライゾン」的にする必要がありますが、そんなことをしてしまえばあっという間にMTGというコンテンツの寿命は焼き切れてしまうでしょう…

しかし、その施策はWotCによって試された形跡があります。

それが『イニストラード:真夜中の狩り』に収録された既存有名カードの上位互換たち。

殊更に有名なのは《考慮》、インスタントのドロー呪文でありながら墓地肥やしもできてしまう《選択》の実質的な上位互換です。

下環境でも大活躍してますね!

マジックのセットは複数のものが数年かけて並行して開発されているので、時系列的には「テーブルトップのスタンダードはもう売れないから、《モダンホライゾン2》を筆頭に下環境向けのカードを積極的に作るようにしよう」という指針が打ち立てられていたとみるのが自然かもしれません。


しかし、この『イニストラード:真夜中の狩り』も定価割れを起こしており、売れ行きは芳しくないようです。

下環境向けのカードを作るとかそういったミクロな対処ではなく、もっと根本的な対応をいよいよWotCは迫られていました。


「アリーナでスタンダードを遊ぶ」を見直す決断

そこでWotCはMTGアリーナで最も主要なフォーマットをスタンダードではなくアルケミーにするよう誘導することで、スタンダードをテーブルトップのものに戻したいと考えているのではないでしょうか?

しかし、ここで疑問が生じます。

「そんなことしても意味がないのではないか?結局アリーナでスタンダードができるのであれば、皆スタンダードをつづけるのではないか?」という疑問です。


しかし先ほども触れた通り、MTGにはモダンとパイオニアというコンセプトの近いフォーマットが食い合った過去があります。

これに加えて、WotCはアルケミーを競技用フォーマットにすることを明らかにしており、アルケミーでのイベント開催が頻繁であれば当然競技プレイヤーはアルケミーに熱視線を送るようになるはずです。


MTGアリーナの中で、最主要フォーマットの座をスタンダードからアルケミーに譲位させることそれ自体はそんなに難しいことではないと思いますし、近いフォーマットは食い合うので、アルケミーが最主要フォーマットになればアリーナ上でのスタンダードが一気にマイナーになる可能性は十分にあります。

WotCのねらいはそこにあるのかも知れません。

つまり「アリーナをスタンダードを遊ぶものではなくする」という施策として、アルケミーを設立したかも知れないということです。


一旦まとめ

要点を振り返ると、WotCには次のような考えがあったのではないか?というのが私の考えです。
もちろん両方ともがWotCの目論見であった可能性もあります。

  • バランス調整を柔軟にできるスタンを作りたかった?

  • アリーナをスタンダードを遊ぶものではなくすることで、テーブルトップのスタンダードの需要を回復したかった?

仮に上記のことが正しいのなら、「デジタルならではのマジックを作りたい」というのはWotCの本懐を隠すためのコーティングなのでしょうね。


考えてみれば当然のことかもしれません。

MTGアリーナが群雄割拠するDTCGの中で他のタイトルを圧倒しながら成功をおさめられたのか、あるいは凋落するDTCG界のなかでなぜ力強く生き残ることができたのか、その秘訣はテーブルトップに立脚した一周り高度な戦略性にあることは間違いないでしょう。

私の周囲のMTGプレイヤーの多くがMTGアリーナからMTGを始めているので、MTGアリーナの成功にMTGのブランドが寄与したというよりMTGアリーナがMTGブランドの周知に貢献したという感じがあります。


そのことをWotCが把握していないはずがありませんし、それなのに今更DTCG然としたカードの開発を進めるというのには何か裏がないとあり得ないからです。


仮にそうだとしたら

ここまでの話はほとんどが私の想像にすぎません。

私の想像にすぎないのですが、仮にそうだとしたら「WotCのここしばらくの暴挙は受け入れるしかないな」というのが私の率直な所感です。

プレイヤーを怒らせないで現状のMTGが直面している問題にどう対処すればいいのか、もっと言えば「アルケミー設立」みたいな方法を用いないで如何に現状に立ち向かうのがいいのか、私には全然思いつきませんでした。

色々考えを巡らせて、結局こうするのが最善手だったのかな…という考えに至りました。


私個人としては複数のDTCGタイトルを好きで遊んでいた身ですし、MTGアリーナにナーフの制度が必要だと感じていたので、アルケミーの導入には肯定的な立場です。また上記の通り、「そうするしかなかったんだろうな」という考えもあります。しかし一方で、プレイヤーのWotCへの感情がまた一段と悪化してしまったことへの憂慮もあります。

もちろん、WotCに不信感を募らせるプレイヤー側に非があるわけではありません。むしろプレイヤーはある種の「裏切り」に遭い続けてるわけで、感情悪化は免れぬ事態だとさえ思います。

WotCとMTGの熱心なフォロワーのひとりとして、今後どのように事態が転んでいくのか見守っていきたいと思います。どう転んでも自分がMTGをやめることはないのですが。



さいごに

ここまで長らくおつきあいくださった読者のみなさま、誠にありがとうございました。拙文ではありますが頑張って書いたものなので、こうして皆様にご覧いただけたことが大変励みになります。

ちょっと…というかかなり宣伝くさくて恐縮なのですが、ブログ(Blogger)の方でも記事を執筆しておりまして、そちらではモダンの格安デッキなどをゆるーく紹介しております。

よろしければそちらもご覧いただければ嬉しいです…!!

ここまでご覧いただいた読者のみなさま誠にありがとうございました!

\ブログはこちらから!/




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?