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大伯父の自伝を読んで感じたこと。

私の祖父は6人きょうだいの末っ子。(1人は生後まもなく亡くなっているようなので祖父の認識は5人兄弟だったと思うが)

姉は2人いて、そのうち下の姉は近所に住んでいて、小さい頃からよく知っている。
1番上の兄は戦死している。
もう1人の上の姉は私が小3の頃に亡くなっているようだが、私は葬式も参加していないし、記憶にもない。
もう1人、2番目の兄が、タイトルにした大伯父である。

大伯父は、離れたところに暮らしていて、
私は顔も知らないし、話をしたこともない。
向こうも私の存在を知っているのかどうか定かではない。

ただ、小さい頃に、我が家の家系のルーツを大伯父が調べたようだ、という話は聞いていた。
「○○県までは辿れたらしい」ぐらいしか、私の耳には入らなかった。

ところがだ。
用事があり実家に帰ってきたところ、なにやら謎の冊子がある。
タイトルは「私の人生経路」。
今から約30年前に、大伯父が自作した自伝である。
大伯父が送ってきて、祖父がしまい込んでいたものと思われる。
祖父が亡くなって父親が家の整理をしたために出てきたようだ。

コピー用紙らしき紙に、タイプライターかワープロで印字して、自分で製本している。
インクがプリントゴッコのインクみたいで、一部ペタペタと貼り付く。
透明のビニールカバーをかけてある。

祖母は字を書かない人だった(書かないのか書けないのかは不明)。
父と伯父は日記すら書かない。
祖父はなんやかんや書くことはあったが、非常に実用性のあることしか書かない。

なので私としては、自分の生い立ちやしてきた仕事などの人生経験を書き綴って製本して家族に配布するという、この会ったこともない大伯父は、うちの家系としてはとても面白い人だな、と思った。
ちなみに大伯父は、家系のルーツを推測した資料も作成し、他の同姓の方にも配布したようである。アグレッシブすぎる。

ちなみに自伝は約100ページ。
自伝なので基本的には自分語りであるが、
戦争体験は当事者ゆえの話が書かれているので興味深かった。
大伯父がシベリア抑留されていたこと、戦死した祖父の兄は沖縄戦で亡くなったことを今さらながら知った。

自伝を読んだ限り大伯父は、
「こんなん書いて誰が読むんだ」などとは思わないタイプと推察されるが、
例え「こんなん誰が読むのよ」と思っても、
こうして書き物を残してくれる、というのは有り難いことだな、と私は思った。

10人読んで、例え9人にとってはどうでもいい文章だったとしても、1人にとっては大きな刺激になることだってある。
その刺激を受けた1人が、なにか行動を起こしたら、またそこに刺激を受ける人が生まれるかもしれない。
バタフライエフェクト的な?

「発信する人は多くの人に影響を与えていきる」
「あなたの生き様が人の人生を変えることを意識しよう」
と、立花岳志さんがあるセミナーで仰っていました。

この自伝は、ブログなどに比べれば非常にクローズドで、親族の範囲内のみに発信されたものであるが、発信した、ということに変わりはない。
祖父や父たちにとっては、興味深いものではなかったのかもしれないが、私や私の夫は、この自伝の存在に心を動かされたのは事実だ。

だから、私は大伯父がこの自伝を作ってくれたことに、とても感謝している。

現時点(2022年8月)では、私は今までどこか他人事だった沖縄戦について、これからはもっと知ろう、と思ったし、
自伝で出てきた、”満蒙開拓青少年義勇軍”については存在さえも知らなかった。
平和祈念展示資料館にも、足を運んでみようと思っている。

大伯父がまとめた自伝は、こうして私の意識を変えて、私の行動も変えるかもしれない。
それによって、私の人生は思わぬ方向に転がるかもしれないし、転がらないかもしれない。


2022.8.14追記
よよパパさんの「読む習慣 #9」にて、この記事をご紹介いただきました。

大伯父に「あなたの自伝はこんな風にいろんな人に伝わっていますよ」と教えたい気もしますが、なにせ直接会ったことがないのでなかなか勇気がでません笑
でも、伝えたらきっと喜んで、その体験を新聞に投書しそうな気がします笑
さすがに100歳でnoteをはじめるまではしないと思うけども…。

この記事では肝心の自伝の内容には触れていませんが、戦時中の話などは文字起こしできたらな、と思っています。
もしかしたら、大伯父が戦地で出会った人のお孫さんなりと、ネットを通じて繋がるかもしれないので。




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