若者の酒離れとSNSの関係性について

「最近の若い人はお酒飲まないよなー」という話は飲食店関係者であれば耳にタコができるほど聞いているでしょうし、どうすれば飲んでもらえるのか、ということに頭を悩ませる方も少なく無いはずです。

現に、the HELLでもノンアルコールの注文数はかなり多いです。フルーツに合わせて炭酸やトニックで割ったりして提供しています。数年前から騒がれている「若者の酒離れ」の原因はどこにあるのか気になったので、ノンアルコールを頼まれるお客さん複数名に直接聞いてみました。

1番多かった理由は「飲まなくても楽しいから」という回答でした。つまり、「飲む必要性がない」ということです。

「若者の酒離れ」について、その背景にはSNSの普及が関係していると言うのは、我らが立命館アジア太平洋大学の筒井久美子准教授。

"お酒は古来から、他者との関係を深めるために使われてきました。
緊張を解いて、相手の本音を引き出し、自己開示しやすくなる効果もあることから、「酒なしでは円滑な社会生活は送れない」と表現されるほどです。
ですが現在、人との交流や情報交換は直接会うだけではなく、インターネットでもできるようになりました。
例えば、SNSでは自分が好きな時に話したい人を選び、興味のある話題を自分のペースで話すことができます。飲み会に行き、相手を気遣いながら話すよりも、ネットでの気軽な交流を好む方が多いのではないでしょうか。
つまり、お酒の利点だった「緊張をほぐす、本音を言いやすくする、自己開示しやすい」といった効果が、ネットで代替できるようになったのです。"

他者との関係を深めるためのツールに「お酒」だけでなく「SNS」が加わったということですね。確かに世代の違いを表す上でSNSというのは非常に分かりやすいですね。

では、そんな時代における「お酒」に求められる価値って何なんでしょうか?
そして、そんな「お酒」をメインに扱う私たちバーに求められる機能とは一体何なんでしょうか?

僕は、お酒の価値というものはこれからも大きく変化することは無いと思ってます。「他者と関係を深める」となった時に、お酒が先に来るのか、SNSが先に来るのか、の違いだと思っていて、フラッと寄ったお店で出会った人とその場でSNSでわざわざやりとりしないですよね。でも、そこでお酒で緊張が解けて色々と深い話ができたり、今後も続くような関係性になれたりと、その場におけるお酒の価値っていうのは、変わらないものなんだろうなと思います。

「お酒を飲みに行く」という目的で遊びに出る人が減った今だからこそ、バーとして求められてくるのは、いかにお酒とのいい出会いを演出してあげるか、というバーテンダーとしての原点なんじゃ無いかなと思います。もちろん、最初にバーという場所に足を運んでもらう努力は昔よりも必要だと思いますが、「お酒を飲んだことで色々と深い話ができた」、「素の自分で接することができて楽しかった」、「あ、お酒って美味しいな」などと感じていただけるお客様を少しでも増やせるよう、今日もバーに立とうと思います。

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