見出し画像

私の特技(仮)

人よりかなり遅め、大学4年生の4月から就活を始めた時、最初に困ったのは「特技」の欄を埋めることだたった。

【特技】とくぎ
(その人が自信をもつ)特別の技能。

「あのねぇ、特技があったら就活なんてしてないだろ。そんなもん無いよ」と思った。いくつか楽器はかじってきたものの、特別の技能と言える程ではない。「全くできないというわけではない技能」くらいのものである。

さて、ネットで何を書けばいいのか調べてみる。読書だったら年間100冊読んでるって書けとか、バンドだったら〇〇大会出場などと書けとか、全く参考にならない「意識高い系」(くそくらえ!)の特技ばかりが出てきてしまう。

もうこれは大喜利なのだなと思った。ありきたりなことを書くよりも目立って印象に残る方がいいだろう。そこで、私は特技(仮)にフラフープと書くことにしたのだ。

実際、テレビを見ながらフラフープして歯を磨いているのだし、邪魔が入ったりしなければ1時間は回していられる。もちろん、大会などに出たことはないし、そもそもフラフープを回し続ける大会など存在もしていなかった。新体操部の子はきっとフラフープ単体では書かないし、我ながらちょうど良い所を見つけた気がしている。

採用において何か役に立ったかと言えば、恐らく役には立っていない。

「特技はフラフープなの?」
「はい。一度回し始めたら落とさない自信があります」
「すごいですね(苦笑)」

面接に進んだ会社では、こんなやり取りがあっただけで深堀されなかった。

学生の時は人と違うことが特別だと思っていたけど、きっと大事なのは特別という所より自信を持っているかどうかの所なんだろうな。社会人1年目も終わろうとしている。そろそろ本当の特技を見つけたい。