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ニーハイと妬み

ニーハイが流行りだしたのは、小学生のときだったと思う。第一次ブームかどうかはわからないけど、確かにあのとき、ちょうど10年前の2012年頃の平成はニーハイが流行っていた。

ジーパンか半ズボン(しかも男物)しか持っていなかった当時の私に、ニーハイを履く余地は皆無。だがしかし、クラスの中にはいたのだ。ショートパンツにニーハイを合わせて来る「おしゃれ女子」が。中でも印象的なのは、黒髪ロングのキッコちゃん。髪がつやつやで、目が大きい。おっとりした喋り方で、ランドセルは赤紫だった。今じゃ顔よりもニーハイを履いていた印象の方が強く残っている。小さな櫛を持ち歩き、タイル張りの女子トイレの鏡では必ず前髪を整える。可愛いハンカチを持ち歩いているから、服でパンパンッと拭いたりはしないのだ。

キッコちゃんとは、小学5~6年生でクラスが一緒になり、友達の友達みたいな感じで、放課後にたまに遊ぶこともあった。ポテチは全然食べないくせに、いちご味のポッキーは何本も食べる。小学生のくせに、「女」として生きているところが、いけ好かないと思っていた。一度気になりだしたら、全部が演技がかっているように感じられて、「誰のためにやってんだ」と、ひねくれた目で見ていた。でも、キッコちゃんは本当に「良い子」だったので、キッコちゃんが苦手なんてことは口が裂けても言えない。女子にも男子にも愛されていたから。冗談でも悪く言えない雰囲気だったのだ。

今思えば、キッコちゃんに悪いところなんてひとつもない。私はなにも迷惑被っていないのに、勝手に苦手意識を持っていただけだ。モッサモサでパサパサよりは手入れされた髪の方が美しいのだし、トイレの後はちゃんと手を拭いた方が良いに決まってる。私の醜い妬みでしかない。

きっと彼女は今頃メイクもバチバチで、髪を巻いたりなんかして、結構充実した毎日を送っているんだろう。でもなぜか、できれば会いたくはない。

※キッコちゃんは仮名です。