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新宿に浮かぶ飛行船を見て思ったこと

先週の土曜日、霜降り明星のオールナイトニッポンを聴きながらJR山手線に乗っていたところ、何やら空に赤いものが飛んでいる。

よくよく見てみると、スーパードライの飛行船だった。

飛行船なんて見たのはいつぶりだろうか。新宿の街をのんびりとゆるやかに飛んでいるそれは、なんだか異質だった。そして人工物でありながら、都会の喧騒に慣れた鳥たちよりも、よっぽど自由に見えた。

私はなんだか嬉しくなって、周りをキョロキョロと見渡したが、少なくとも周りの乗客たちは気づいていないようだった。性別、年齢は関係ない。みんな手元のスマホに視線を落としている。

青空に飛行船が浮かんでいる所を見た後の車内は、退屈で窮屈に見えた。しかし、どの人も自分の意思を持って、動画やらゲームやら電子書籍やら、何かしらの目的があってスマホを触っている。マスクのせいで無表情に見えるけど、本当は笑いたくて仕方がないのかもしれないし、涙がこぼれ落ちそうなほど感動しているかもしれない。

一方で、悠々自適に見えた飛行船は広告の目的があって飛んでいる。いや、飛ばされている。ずっと飛んでいるということは誰かがずっと操縦しているということだし、この飛行船を飛ばすためにたくさんの人間が考えて、話し合って、動いているのだろう。

自由に見えて自由じゃないことが、本当は世の中にたくさんあるんじゃないかと思った。それは自分自身も同じ。簡単に自由を語っていては、世界が狭くなってしまうような気がした。

あと普通に新しくなったスーパードライの味は気になるので、近日中に買ってこようと思います。広告効果はバッチリです。