【こころ #15】時間をかけて寛解したと思えた先に
森野 民子さん(中編)
(前編から続く)
高校を卒業してやっと息子さんを家で安静に過ごさせられると安堵した。と同時に、森野さんには怖さもあった。「この病気は自死をすることがある。自分が留守のあいだに息子に何かあるんじゃないか」。仕事で家を出るときは愛犬に「頼むね」と声をかけた。仕事から帰る時は「どうか何もありませんように」と祈りながら家の扉を開けた。ゴロンと寝転んでいる息子を見てただただ安心した。
ゴロゴロ寝ていた息子さんにも、1年ぐらい経ったころだったろうか、少し