『スーツ』と『セットアップ』の似て非なる件
先週、『今こそスーツをちゃんと着たいな』という記事をアップしたら、Facebookの方で親しい友人からいろいろご意見をいただきました。
Facebookで繋がっている男性陣は、どちらかというといろんな意味で意識が高かったり、オシャレ感度も高い連中が多いのですが、この noteではそうじゃないタイプの男性、会社でオフィスカジュアルと言われてもゴルフに行くみたいな格好しか持っていないような層に何かお伝えできれば、という想いで書き綴っています。
実際、そういう層の方はここにアクセスされないんだけど…(苦笑)
『ジャケパンの時に、Ｔシャツはどうよ？』と問われました。
確かに、IT系やアパレル系の方で、ジャケットやセットアップの下に白無地のＴシャツというスタイルはよく目にします。爽やかで、お洒落上級者にも見えますね。
個人的な意見では、首元の後ろにジャケットの襟が直接当たりますので、ジャケットが汚れる（黄ばむ）のが心配です（そこかい！）。
人間の上半身で、汗をかくといえば額と首と脇と胸ですね。このうち、衣類にとって最大の敵は首周りなわけですよ。
ご主人のワイシャツを洗濯機で洗ってアイロン掛けてる奥様、単身赴任で自分でノーアイロンシャツを洗濯してるオジサン、私のように毎週クリーニング店に１枚130円で預けているオヤジも、ワイシャツの襟に『汚れの首輪』ができ易いことはよく知っています。
脇の汗沁みと較べても、襟足の皮脂汚れの方がはるかに強烈なワケです。
ジャケットの下にＴシャツを着ると、その首周りが直接ジャケットの襟生地に接します。せっかくコットンの上質なシャツを着ても、シャツより先にジャケットが汗と皮脂を吸うのです。
お気に入りのジャケットであれば、１ヶ月毎にちゃんとクリーニングに出さないと、１シーズンで変色しますね。
因みにドライクリーニングでは汗沁みは落ちませんから、水洗いできる素材がベターです。
という訳で、ジャケットの下に、ＢＤだろうがワイドカラーであろうがワイシャツは着たくない、と仰るのであれば、『ハイネックシャツ』が賢明ですね。
ハイネック、即ちタートルネックです（さすがにトックリとまでは申しませんが）。この寒い季節限定ですけど…
あ、春か秋なら、スタンドカラーという手もありますね。
冒頭で、『セットアップ』という言葉を使いました。
得意の、UNIQLOのチラシにも頻繁に登場します。
ここでは『セットアップスーツ』を指しますが、それって何？ 『スーツ』とどう違うの？ってことになりますよね。
まず『スーツ』は、共布で作られた上下揃いのジャケットとスラックスのセットです。
で、『セットアップ』も、同じ生地で作られた上着とパンツの上下セットです。
今、さりげなくスラックスとパンツと書きましたが、同じものです。では何が違うのか？
まずは販売単位から。
スーツは必ず上下セットで販売し、バラ売りはありません。上下は同じサイズが組み合わされ、自身の体形が上下アンバランスな場合は『お直し』にてアジャストさせる必要があります。
セットアップは、上下バラ売りです。片方だけ購入するのもアリですし、上下でサイズ違いの組合せも可能です。
次いで、素材や製法の点から。
スーツは、主にウールとポリエステルの混紡。春夏用と秋冬用とでその混紡比率が変わります。
セットアップは、ウールやポリエステルの他、コットンやリネン等、素材や色やテクスチャーのバリエーションが拡がります。
スーツには、そのカッチリした形状を保つ為に、肩パッドやナイロンの芯が用いられます。
セットアップは敢えてパッドや芯を抜いて（アンコン仕立てと呼ばれます）、ナチュラルな、或いはカジュアルなシルエットを大事にします。
スーツでは、ポケットにフラップがあるのが一般的ですが（そのフラップは部屋の中ではポケットに折込むのが正当なマナーとも謂われる）、セットアップのポケットはフラップ無しの貼り付けタイプだったりします。
あと、スーツのスラックスにはベルトを通すループかサスペンダーを留めるボタンが縫い付けられていますが、セットアップのパンツにはスウェットのようにウエストを紐（ドローコード）で縛るタイプもあります（下の大谷選手もそのタイプ）。
次に、着用シーンと上下の合わせ方の違いです。
スーツは、カジュアルには着こなせません。ノーネクタイのスーツ姿は、本来の『オフィスカジュアル』ではなく、『未完成な正装』に過ぎません。
逆にセットアップは、ネクタイを締めてもけっしてフォーマルにはなり得ません。
スーツの上着に別柄のスラックスを合わせても、『ジャケパン』スタイルにはなりません。肩回りやポケットの違和感が、スーツの片割れであることを露呈しています。
上記のような違いを踏まえた上で、オフィスカジュアルを楽しまれてはと思うのです。
ぶっちゃけ、気にしない？
ま、残念ながら周囲もそんなオジサンが多数派ですので、個人の自己満足になってしまいますが…(苦笑)
※トップ画像も、SUPREMO Order Suit よりお借りしました。
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