見たアニメの感想(カードファイト!!ヴァンガードwill+Dress編)要は後編

はじめに

 だいたいライカくんの話です。
 ユースベルク環境でも大活躍ですごいですねぇ……。
 新シリーズの主人公とかのビジュもでたので後編は忘れないうちに書くのだ。
 先に言っておくと、今回は1期、2期と書くが前編ではもしかしたら律儀にseason1,season2にしているかもしれない。でもそこきっちり校正すると読み直しと書き直しが発生しまくるので書き散らし感薄れちゃうよ~~~
 あとヴァンガードを知らない個人的な知り合いが見る可能性も含めてやや用語解説を挟んでいるが、知ってるよって人は都度飛ばしてください

カードファイト!!ヴァンガード will+Dress編の感想

 カードファイト!!ヴァンガードoverDress(以後本文内oD)は主人公であるユウユとサブ主人公であるダンジが互いに何かを託されること(託すこととするとやや適切でないかもしれない)で主人公を交代し、2期からは新リーダーである「江端トウヤ(殆どの場合で以下トウヤ)」も主人公の1人としてお話を回すことで、自分にできることをヴァンガードファイトで表現する作品であると言える。
 oDの最初、はじめに使ってみたいカードを選ぶ重要な場面でダンジから《トリクスタ》(他の多くのファイターが基本的なヴァンガードの到達点であるグレード3を相棒に据える中で、ユウユだけはグレード0のこのカード、知らない人も読むだろうからものすごくざっくり説明するとカレーライスのライスの部分のカード)を託されることで、非日常体験のヴァンガードファイトへ足を踏み入れ、主人公になったところから始まった作品であるからだ。

 そういう意味ではダンジは物語のごくごく最初の部分ではまだ主人公だったというべきだろう。
 1話序盤では特に色濃く彼を中心に人物が映されることでユウユとダンジ以外の主要キャラの紹介を兼ねており、彼を中心にしたコミュニティにユウユが入っていくこと自体は、今よく考えてみればこの部分はまだダンジ主体のお話だったんだよという解釈が可能で割りと俺の解釈の中ではいい部分だと思う。

 これに対してwill+Dressシリーズ(以下wD。必要がある場合1~3期とつける)は、一貫して「近導ユウユ」が主人公であり、更に2人の主人公「狐芝ライカ」「羽根山ウララ」(以下名前のみ)を通して、別に馴れ合いがすぎるわけでもない、それぞれ強くなるために別行動を取ることが多い、チームとはまた違う形のヴァンガードファイターを描くことにテーマを移す。

 wDではユウユがブラックアウトのリーダーとなっており、ウララをチームに迎え入れるところから本筋の話が始まる。
 しかし託される物語であったoDとは違い、wDは主人公たちが答えを見つける物語となっていると私は考えている。

こっから本当にwill+Dressの感想

カードファイト!!ヴァンガードwill+Dress

 2022年夏より隔クール、1年と3ヶ月に渡って3シーズン放映され、先日最終話を迎えた「カードファイト!!ヴァンガード(Dシリーズ)」のアニメーションである。

 キャッチコピーは
「答えはいつも、ファイトの中にある」
 ほんとうにこのコピー通りに走り抜けたカードアニメ界の秀作であると、先んじて結論づけさせてもらう。

 今作の大まかな流れとして「デラックス」というヴァンガードのカードゲーム大会が開催され(1期)、アメリカのデラックス上位者とのエキシビションマッチをしながら、デラックスという「大会に隠された別に陰謀ってほどじゃない秘密」を追い(2期)、それぞれの主人公が最終決戦に向けて「ファイトの中に答えを探していく」(3期)といった感じ。

 ややカードアニメではなかったoDに対してちゃんとカードアニメしててよかったです。カードのパワーとか効果とか、ほぼイメージ映像になってたヴァンガードのプレイシーンをきちんと流している。

 また前作がチーム、カードゲームは自己表現というところに重きを置いていたのに対して今作は個人、カードゲームは競技であり対話というところに重きを置いていると解釈している。
 無論前作のテーマを軽視したわけではない。自己表現のためのヴァンガードというのは主人公3人にとってはある意味前提になっている。
 
 途中からはユニフォーマーズという対立組織が現れ「AIによる無個性で一元化された強いだけのファイト」と「そうじゃない、個性が可能性を生み出すファイト」の対立もテーマになっている。
 自己表現の手段でもあるカードゲームで、勝つために己を捨てるか、貫くかの対立でもあるのだ。

軽く用語解説

 1期で特に顕著だがヴァンガードファイトの表舞台、企業所属やプロ選手、公式大会に参加して栄光を目指すフロントファイター、並びにヴァンガードのアンダーグラウンド、フロントファイターとは異なり表舞台には姿を表さずそれぞれの旗のもと徒党を組んだ在野チームや無所属選手を指すカウンターファイターという概念が存在し、まあこれらを含めた最強を決めようってのがデラックスってわけ。

今作のダンジ

 デラックスの陰謀を探るため日本最強プレイヤー廻間ミチルの依頼でアメリカ版デラックスに飛び入り参加していた。2期からはでてくるけど基本そんなに本筋に絡んでくることはなくなった。

3人の主人公

近導ユウユ

 今作から高校生。背丈も5cm伸びてチームメイトのメグミちゃん(女の子)に追いついた(oDではブラックアウトメンバーの中で最小だった)けどメグミの露出がやや減ることや周りの年上比率が更に上昇したこともあり、後述のウララちゃんが加わらなければ相変わらず画面の中で一番小さいキャラを守り続けるところだった。

 成長したのは背丈だけではない。トウヤからブラックアウトのリーダーを引き継いだ。(この辺の話はゲーム「ディアデイズ」で補完されている)

 公式サイトの紹介文も

 勘が良く気遣いができる反面、イヤと言えない性格。
 
から
 気遣いができる優しい性格(以下なし)。

 とoDを超えて彼の欠点を克服した。

 使用するライドラインは「ニルヴァーナ」から「ニルヴァーナ・ジーヴァ」に変更。キーワード能力「オーバードレス」だけでなく「クロスオーバードレス」も使用するようになった。

 商品展開的なもんもあったんでしょうね、ロイパラゴルパラ程遠くはないがサポートもあんまり共有できずコストもデカい(当社比)ので大は小を兼ねる関係ではない。

 このキャラに関してはねえ、ムズいんですよ。
 oDに比べたら主人公やってんなとは思うけど結局大事なとこしか勝たないし、ダンジみたいな強さとかライカの勝ちへの執念みたいな圧倒的な長所がないなあと思いながら見ていた。カードゲームで相手とわかり会えるだけのキャラになっちゃってoDの彼のふわふわした扱いがややそのまんまの状態。結局はリアガードのカードを主軸に据えたせいで答えがパワカすぎるのがやや浮き、オーバードレス、特別ではあるけど主役適性がやや謎に感じてるところはoDからの引き続きやね。

 けど感想を書きながら見返すと、ひとことにパワカと言っても彼の最後の切り札「武装焔聖剣 ストラヴェルリーナ」はいろんな個性(プレアドラゴン)を自分(トリクスタ)と最大限重ね合わせたことで最大限の力を発揮するカード。ユウユの強さへの手がかりはやっぱり、積み重ねの中で新しい自分を纏うことだと思うし。
 最終決戦が始まったときは、勝つことへの執着しかなくなって、眼の前の相手を打倒したいがために今まで積み重ねてきたことが見えなくなっていた、後ろ(リア)を振り返れなくなっていたダメな先導者(ヴァンガード)なんだけど、表現者になったザクサとのファイトで自己表現、自己実現。
 つまり自分だけが知っている己の強さを引き出せるようになった彼から学んだことで、何者にでもなれる「トリクスタ」に認められた、最高のファイターでもある。

 彼の答えは「誰かと一緒に強くなっていく自分の可能性を信じ、これまで積み重ねてきたものを信じ、大好きなファイトを全力で楽しむ」なんだと思う。
 だからまあ、あの場面で受けトリガーが乗ったのも展開の都合だけでなく、ダンジの死な安プレイングを最後の特訓で自然と物にできたとも言える。
 だから「誰かの可能性を信じず、ただ無機物的に積み重ねたデータを勝手に解釈し、ファイトを楽しむ心がない」ギィにちょっとだけやっぱり運が絡んじゃうヴァンガードの可能性、で打ち勝った。
 これが結局運だなみたいな勝ち方したギィ戦の好意的な解釈。

羽根山ウララ

まんまるでかわいい。基本的にちっちゃいので可愛いんですよね。ちっちゃ可愛い枠をユウユから託された主人公なのか?

 ガチでちっちゃいです。カードゲームアニメなので(謎文脈)クソガキキャラみたいなのはいるんだけどそいつと同じサイズなのは流石にすごい。まあでも中学一年生やからな。
 靴のサイズとか22.5ないくらいでしょ?そのくらいで成長が止まった女の子が一番良いんですけどこの子はまだ中学生なので守備範囲外。

 彼女は吹奏楽部に所属していて、集中すると周りが気にならなくなるというか、やや欠点もあるけど楽器吹くならまだしもカードやるなら便利な過集中のような個性(恐らく現代何かを書くに当たって欠点にもなりうる長所を表す際最も便利な言葉)と音でヴァンガードファイトの命運を感じ取れる共感覚を持ちます。
 内気な性格←こいつについてはやや訝しげな顔で見逃します。

 使用するライドラインは「リアノーン」。彼女と同じく音にまつわる、楽団長です。ほしかったのはこういう「ややキャラ設定のとユニット設定が寄ってる」くらいのキャラでしたね、過去作品の多くで今はなきストイケイアの青い部分(メガラニカ)の使用キャラが割り振られがちなポジション。
 2回も過去シリーズをスタン落ちさせておきながら歴史や伝統、というかお約束みたいなものを大事にするのがヴァンガードアニメシリーズなので過去の踏襲みたいなことは普通にしてきます。

 1期はまだ主人公としての影は濃くなく、ややふらふらしているが彼女はファイトの中での学びを人間関係や日常生活に活かして順当に成長していく。
 ブラックアウトに加入した割に、ティルナノーグユースで学んだり、はたまたユニフォーマーズに入ってみたり。所属とか、何を選ぶかとかがふらふらしている。
 けどその全部が彼女にとってはかけがえのない時間だった。彼女はヴァンガードのルールも少し前では知らなかったような、中学一年生でまだまだ未熟な女の子だ。けど眼の前の相手は、そんなカードゲームで始めてできた友達。
 だからこそ彼女は、友達のハロナと仲直りがしたい、そのほんの小さな一歩のために、これまで積み重ねてきたものを全部賭けられる。
 それは彼女もヴァンガードファイターで、勝利に向かっていく主人公だから。

「私らしいファイトと、勝つために全力を尽くすことは違わないから!」
 正直これが個人的に一番刺さった名言
です。
 ここからハロナとの長い問答が幕を開けるわけですが 
「選んだことで発生する、選ばなかったことだって捨てたわけじゃない」
「全部うまくやらなくったって、ありのままの自分を受け入れてくれる場所はある」
 と続ける彼女は、ちょっとキャラ特性的にはダンジと逆か、そのものに近い存在なのかもしれないな、そりゃあ主人公足り得るわけだ、と思ったわけ。

「欲張りなんだ、だって私はブラックアウトで、ティルナノーグユースで、ユニフォーマーズ。みんな大好きだって良いんだ」
 眼の前のファイトを、そして欲張りに私らしいこと全部を、上手くなくたって、完璧にならなくたってやってみる。
 そもそもがヴァンガードという未知に挑む挑戦者であるところから始まった彼女は、もはや蕾ではない。
 ユニフォーマーズ以外は無価値だと、己の価値観を縛って決めつけていた、ヴァンガードには年相応とはいい難いほどストイックなハロナを揺るがす、完璧じゃない可能性の開花。
 バスで乗り過ごしたって、出会いがあるかもしれない。ドロートリガーのダメージ上昇が消されたって、完全ガードを引き込んでくれるかもしれない。ヴァンガードを通して人と出会って、それまで出会ってきた人たちにも再発見されるような彼女の、失敗や回り道も含めた、全ての可能性を愛するヴァンガード。

 彼女の答えは「ありのままの自分に、全てを賭ける」こと。
 
それによって新しい私を発見した主人公、羽根山ウララの最後の切り札「爛漫の総行進 リアノーン・ヴィヴァーチェ」は「欲張りで完璧じゃなくても、可能性全てが私を後押ししてくれる」。もう攻撃が終わっていても、ブーストが本来できなくてもいい。全部を受け入れて、全部で背中を押したら、自分でももう1回立ち上がれる、くらいの力は手に入るみたいな効果のユニットです。
 元のリアノーンが「可能性を広げる(運とパワーによって成功の確率を上げる)」効果なのに対して「可能性を広げる(皆それぞれに出来なかったはずのことも出来るようになる)」と進化するのが良いですね。

 最初はちょっとこのキャラの軽さが気になってたんですが、なんだかんだで自立して、立派なファイターになりましたね。
 素晴らしいキャラだと思います。

狐芝ライカ

 こいつだけで2000字くらいかけるレベルなんだよな。will+Dressが面白い理由である理想の2号ライダー
 最強ファイターとして紹介される廻間ミチルに憧れを持つ、ユウユの高校の先輩で、企業チーム「ティルナノーグ」のユースチームに所属しており、今作で最もフロントファイターとしてカウンターファイターを蔑視している。
 基本的にカウンターファイターそんなに嫌いなのこのキャラくらいなので1期はこのキャラとユウユたちカウンターファイターとの対立と和解、というのが主軸となって描かれている。
 もう1人の主人公。騎士を使う感じからシオンのキャラ配置なのかなと思ったけど背景ストーリー的にユースベルクはゴルパラっぽいね?(シオンはロイパラ)これもうわかんねえな
 使用するライドラインは「ユースベルク」。天をも落とさんとする騎士のカード。殴った後にフォームチェンジしてもう1回攻撃する特性があり、ガスト、ゼスト、テンペストと語感よく色んなフォームが登場していく。
 ライドする時の「天を堕とす時が来た」という台詞といいフォームチェンジするとメガネを外してちょっと荒っぽくなる、一人称が俺になるところとかのクセといい往年のカードアニメの痛さをも既得な強者。
 2号としてはギャグとか出来ないタイプのお硬いキャラで、信頼度は高い、同じ相手には負けない2号。

 1期ではユウユの壁として2度立ちはだかり、最後には眼の前のユウユも信念や理想は違えど、確かにヴァンガードファイターだと認め合うことで、激戦の後には偏見を解消した。
 そして2号ライダーなので仲間になった。2号ライダーは最初ちょっと対立するくらいが良いってよく分かってるよね。
 
 だが2期では突然ユウユ達と離れて行動。現地でデラックスの裏を探っていたダンジのサイドで行動することに、その中で相手方のファイター、要は敵幹部ってところのソフィー(ブシロード関連作品ならどこにでも現れる三森のうち、ヴァンガードDシリーズに出演した際の姿)と勝手に因縁を作りながら負けイベをやって、こいつが負けた辺りから負けイベを積み重ねるいつものカードゲームアニメの感じで負けイベが一通り始まる。
 最終的に彼の憧れでありデラックスの裏にいるユニフォーマーズを調べろってダンジに命じたはずのミチルが何故かユニフォーマーズ側におり(本人曰く強くなるにはこっちのほうが良いらしい)、ミチルを救うためにファイトするが救いきれずミチルは電脳世界から帰ってこなかった。

 で3期ではユニフォーマーズの流行を、意にも介さずとまでは行かずとも、彼を慕うティルナノーグユースメンバーたちがいたのでやや損傷軽微だった。
 そんな中でユニフォーマーズとの最終決戦が近づいていき、ミチルが残した彼のファイトモデルと電脳世界でファイトを積み重ねることで最終的に1度は彼を超え、自分にとっての憧れを超えたことで強さへの答えに自らたどり着いた。2号ライダー強化回はサクサク進んだほうが良いってよう分かっとる。

 そして最終決戦。
 ソフィーという人間は天才ゆえに薄っぺらく、ちょっとなんかやけにエッチなんだけど何事にも本気になれないタイプなのでやっぱガチってるライカを煽りたがる。
 試合開始前からバチバチのライカ。
「くだらない揺さぶりはやめろ、僕は必ず勝つ」「遊びじゃない、ファイトだ」
 と強い言葉と(基本的には作中でぶつかる中で強くなった)確固たる意志でしなやかな言葉のムチをいなしていく。
 ユウユが負け、ウララが勝ち、ギィへの挑戦権を得るには彼が勝つしか無い。ここまでまだ最終決戦の説明をしていなかったが要は3-3のチーム戦だ。そのチーム名が「ウィルドレス」、まあ良いと思います。
 相手であるソフィーに対して「貴方には勝利への渇望も、敗北への恐怖もない」「どうでもいいんでしょ?全てが」とめちゃくちゃ煽ります。1回負けた相手の再戦と展開的に視聴者は負けないと思ってるけど、こいつの中では最大限の勝利への渇望と最低限の敗北への恐怖がある。
 自分にとって最も大事なこと、誇りある戦いとしてのヴァンガードを取り巻くユニフォーマーズの侵略が、ヴァンガードなんてどうでもいいと思っているであろうソフィーという人間に負けることで達成されるわけにはならない。

 それに彼は自分以上にヴァンガードを大事に思っていたであろうミチルの思いをも受け継いでここに立っている。
 展開の都合とか、メタ的なことを抜きにしたって、ここまでヴァンガードを誇りに思う彼が、ヴァンガードをどうも思わないソフィーという「ファイター未満」に負けるわけがないのだ。

 ユウユやウララと違って、彼は結果こそが正義の世界で生きてきた。だからこそユニフォーマーズも正しいと思う。だが一元化は理想とは違う、ミチルが体現してきた最強、誰かのイメージには収まらない、想像を超えたファイターこそがライカの理想。
 それだけじゃない。
「俺の理想とは、誰かに憧れの火を灯し、未来へと導くもののことだ!」
「停滞する唯一の正解に、憧れたりはしない」
 先に進む意志、自分が強くなる理由。
「俺はファイターだ」
「貴方も、ファイターに成ったな」
 ヴァンガードファイター
の彼にできること。眼の前の相手やヴァンガード向き合って、本気でファイトすること。
 そしてこれまでのやり取りの全てが、何もかもどうでも良かったソフィーに火を灯す。きっとこの火は憧れではないのだろう、もっと、原始的で、本能的なもの。普通の人なら誰もが持っているものに、彼女は憧れたりはしないだろうから。

 ライカはヴァンガードという運要素が大きいゲームであっても、運ゲーと呼ぶ人間を心底軽蔑している。
 運を理由にして、眼の前の相手に真摯でなくなるような言い訳をしたくないのだろうと私は思う。だが彼の実力は高く、ソフィーの実力は更に高い。
 ユースベルクのレヴォルドレスのタイミングは攻撃後、即ちドライブチェックという運要素で増えた手札でも出来る。
 
 カードゲームをやったことがある人ならば、運を味方にする、というのを正しい意味で感じたことがあるのではないだろうか。もはや実力だけでは届かない眼の前の勝利にだけは、公開されている情報と自分のデッキの把握、相手のデッキへの知識でもって「今、ここから勝てる割合がどれだけあるか」を自認し、その上で「確率は低いがその時点では目に見えない、架空の道のり」に向けて歩を進めなければならないこともある。
 それはターン開始時のドローであったり、ドローが出来るカード。或いはデュエル・マスターズやワンピースのようなゲームなら相手の攻撃によるトリガーでの逆転要素。
 割合でもって正しく知覚するのと、何となく「どうにか逆転の1枚を」と思って引くカードでは重さが違うのだ。
 負ける覚悟をしてから勝ちに行くこともある、カードゲームの難しさ。

 ライカは言う。「逆転のための可能性はここまで一枚も見えていない。このドライブチェックで出る可能性は十分にある」と。ゲームの展開や効果の処理的にせいぜい2~3割か、高くて3割5分くらいだろうか。
 これまでもライカは、1期などでカードゲームアニメではありがちなご都合ドローで勝ち進んだ回がある。
 だが彼に関しては俺は間違いなく言える。引いたら勝てると信じてるし、結果が全てのユースチームで場数を踏んできた分、引いたカードに答えるだけのファイターだ。
 本編じゃ強いばかりだが、ヴァンガードは運要素が強い。場数をこなせばこなすだけそれなりに負ける。だから負けていた試合を勝ちにする部分では、彼もまた運のもとに居る。
 ゲーム全体が運ゲーなのではなく、局面で運は絡んでくる。その度に負ける恐怖を先に予測するのだ、彼がずっと本編通して勝ちへの渇望が強いのは、この回数が多いからなんじゃないかと俺は思う。

 だからカードも彼に応える。
 今作で一番好きなキャラクターである狐芝ライカを、好きになった理由。他カードゲームに手を出しすぎて結局どれも中途半端な俺に、それでもユースベルクを組みたいと思わせた、フィクションでありながら俺の想像を超えた、彼が放つ憧れの火。
 狐芝ライカの答えは「俺は俺を、永遠に超え続ける」
 
ミチルの宿題を突破し、なおも彼はずっと強くなり続ける。そして仮面を被ったマスクスユニットを使うユニフォーマーズに対して、ユースベルクは反対に仮面を取る。
 「紅蓮ガスト」「疾風ゼスト」「翠嵐テンペスト」を束ねた彼の最後の切り札は「ユースベルク“反抗黎騎レヴォルフォーム閃煌フルブラスト

 うーん格好よし語感よし効果良しと三拍子揃って非常にいい。なんというかゼロワンの不破さんがランペイジバルカンになる回を思い出してこいつ2号ライダーだなと思ったんだよね。
 
 ここで初めてユースベルクがアストロアの上から攻撃するのだ。天を堕とし、なおも高く。星をも撃ち堕とすべく、狐芝ライカとユースベルクは飛翔する。彼にとってのこれまでの到達点、ミチルと同等の強さを持つ星天の魔女、ソフィーをも更に上回ると。
 そしてここまでの勝ち筋を紡いだライカには当然、トリガーも味方し勝利する。

 そして新しくファイターになったソフィーをカードゲーマーの流儀、対戦ありがとうございました、と言って歓迎する。

 もう最高、カードゲーマーとは何かっていう概念を、俺は「バトルスピリッツ」のダンさんに教えてもらってて。彼は覚悟を決めること、カードに向き合うこと、カードに裏切られないためにカードを裏切らないこと、みたいなややデッキとかカードに対する部分と、内面的な強さの部分が大きかった。特に有名な「ブレイブ」の時点ではもう最強だったからだ。
 だが狐芝ライカはこれから、ファンタジー要素のないDressシリーズの世界で、誰に選ばれてもいないはずの彼のまま最強になっていく。
 これまでのカードアニメのキャラクターとは別角度からリアリティ、そして誰もが経験する部分の強さを持つ彼に風穴を開けられる3クールだった。

終わりに

 この作品は9月末くらいに「そろそろ終わるし見るか」みたいな感じで見てみたのと好きな配信者がDDやってたので興味が湧いたので触れました。
 たくさんの出会いと前編にスキを押してくれた人、そうじゃない人にも感謝を。
 それから新主人公ということで、アニメの作り方もまた変わっていくだろうから、また楽しみにしています。
 今はとりあえずあれだな、3期最終話でDDっぽい画面にリヒターが映ってたので13弾まで、あわよくばリリモナしちゃうぞっまでDLC出してください!オナシャス!
 流石に新主人公になるんだしDDを一回ユウユ編完結ゲームにしてほしいという欲望があるんだよな。
 マサノリとトウヤについて触れてないけど許せよ。あそこに触れんのはなんかこう、逆に友情を安くする気がするんだよな。デッキ持ってないってのもきっと「ここで決着がついたところで俺たちの決着は本筋にはなり得ないんだから焦るなよ」みたいなことだろうし、そういう空気感が良かったですね
 あと廻間ミチル役の声優有名なアイドルの方なんですってね、ダウナー系の演技であえて、って感じなんだと思ったら逆だったワ、まあ合ってましたよ。

点数

 3クールあるので300点満点で

 250/300(減)

 ちょっと3クール目はお決まりの展開になっちゃってたかなってところとジンキとシンギとギィの感じ、あと究極の一戦っていうユニフォーマーズの最終目標があまりにもふわふわし過ぎてたんだよな。どうせ阻止されるから関係ないやとは思ってないんだろうけど、ウエイトはあえて軽くしたよね、あれ。
 AI差別するわけじゃないんだけどAIが考える理想が必ずしも人間の理想にはならないんだからカードゲームさせるための人格が必要だったかというところ。

 後これはずっとなんだけどDシリーズってメグミ主の番外でも作るんですか?ってくらいメグミがやや浮きなんだよな、カードゲームアニメで恋愛はしてもええけどお前は恋愛が主題じゃねーか担っていて好感が持ちにくかった。進藤さんは上手く演じてたと思うけどね。
 
 OPEDについて話すと正直謎すとぷりは嫌いじゃないよちなみに、すとぷりが何なのか分かってねえからな俺。歌い手とも違うし配信者とも違うしアイドルがやや近いのかなみたいな面白そうなコンテンツので履修するかもしれない。
 ED2に関しては全ヴァンガード作品の中でもトップクラスに良かったと思うし、やっぱりArgoとかgyroって曲の感じ良いなっていうのとやっぱめばちって神なんだよな。
 流石に1万字超えたのでこの辺で。

次の更新について

 次の更新では「機動戦士ガンダム 水星の魔女」辺りを題材にしつつ、主人公論「それっぽいこと」をしている人が「それでも」と言って「そうじゃなくなる話」みたいなのをやります。
 どこかでもう似たような話ししてるやつめっちゃいそうやけどもそれはそれとして俺の考えをまとめておく必要があるくらい熱いんだよな。

 4000字くらいからもう重くて仕方ないぜ!
 ありがとうございました。

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