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麻雀 イーシャンテンからの押し引き

こんにちは、前回のリーチに対しての押し引きに続き、押し引きシリーズ最終章、イーシャンテンからの押し引きの話になります。

今回は少し情報量が多いので早速本題に入ります。

計算方法の紹介から入るので、時間がない方や結果だけ知りたい方はまとめ以降から読んでみてください!

デシジョンツリー

麻雀は確率や選択によってその後の事象が枝分かれするゲームです。リーチを受けたイーシャンテンの状況を図にしてみると、

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まず押しかベタオリの判断で枝分かれし、押しを選択した場合、放銃、被ツモor横移動、聴牌、、、、と順に抽選を受けるといった形です。

今回リーチに対してどこまで押せるか(一番上の放銃率)を知りたいのでそれ以降(続く被ツモor横移動抽選から)の包括的な期待値とベタオリを比較して均衡する放銃率を求めていきたいと思います。

現在から見た未来の抽選

期待値を求めるにあたって、将来の抽選が何%で行われるのかをまず計算します。例とともに見ていきましょう。

9巡目、両面受け2組イーシャンテンの各巡目別の確率がこちらです。(各事象の影響を受けない個別の確率)

*平均リーチ巡目が8~9ということなので以降の計算はすべて9巡目想定になります。

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*見えやすいように表記は14巡目まででカットしてます。

*各数値を計算するにあたり、みーにんさん、nisiさんの本やブログ等を参考にしました。

この確率は各抽選に到達した時のものなので、時系列の意味合いを加えて修正します。

分かりやすい例でいうと、2人の子どもが10%のくじ引きを交互に引くとします。A君が先に引くとして最初のくじであたりを引く確率は10%。続くB君のあたりを引く確率ですが、時系列を加味すると10%ではなく、(1-10%)×10%の9%になります。A君がハズレを引いたうえでのB君の抽選って考えたら分かりやすいと思います。

そんな感じで本題に戻って修正をすると、以下のようになります。

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現在(9巡目イーシャンテン)から見て、押しを選択→放銃を回避→その後の枝分かれする各抽選確率と思っておいてください。

包括的な期待値

上記の確率に収支を掛け合わせてトータルしたものがイーシャンテンを維持できた際の期待値になります。(以降イーシャンテン維持期待値と呼びます。)

9巡目リャンメン受け2組イーシャンテン、テンパイ時リーチ(40符3ハン)、子のリーチを受けた子。

これらを前提とした各収支がこちら。

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*聴牌時に勝負する牌の放銃率は9巡目の残り筋平均11本をもとに約9%で計算しました。

これに先ほど計算した抽選確率を掛け合わせ、

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合計したものがイーシャンテン維持期待値で、-912になります。いったん図に戻してみます。

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押しとベタオリの期待値が釣り合う放銃率が、

(1400-912)/(5300-912)≈ 11.12%

放銃率が11.12%以下の牌ならベタオリより押したほうが得という結果になりました。

余談ですが、この放銃率に関しての計算式がパッと認識できる方法を別の記事に書いてあるので最後にリンクを張っておきます。

放銃率グラフによる比較

さてここからは実践に使える範囲に落とし込む作業ですが、一先ずテンパイとイーシャンテンでは押しに見合う放銃率にどのくらいの差があるのかグラフにして比較してみましょう。

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こちらは自身が子で子のリーチを受けた際の押しに見合う放銃率です。テンパイ時リーチすることが前提で、X軸は期待得点(打点+供託)になります。32枚や16枚は受け入れ枚数(例:16枚は両面2組)で、続く%表記は聴牌時両面確率です。

先ほどの両面2組40符3ハンイーシャンテンの例ですと、緑のグラフ(16枚100%)の期待得点8500点あたりなので約11%と読み取れます。

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仮に9巡目聴牌してあるのであれば約48%くらい(リャンメンのグラフ)なのでその差は約37%くらいになります。

前回”リーチに対しての押し引き”で紹介した簡易式から37を引くだけなので一応は使える範囲に収まりました。

簡易式等リンクも最後に貼るのであとでチェックしてみてください。

続いて副露を見てみましょう。

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副露時の受け入れ枚数は状況により変化するので読者の予測にゆだねたいと思います。例としてリーチ者が上家で鳴きたい牌が現物の場合、16枚受けが32枚受けとも取れるといった具合です。

テンパイ時と比較をしてみると16枚受けえ約36~37%、32枚受けで約23%の差が読み取れます。仮にその間の24枚を想定するなら30%差くらいかなと大体の予測は付きますね。

以下、子対親、親対子のグラフも貼っておきます。

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まとめ

全体の平均で見てみると、イーシャンテンとテンパイでの均衡放銃率の差が32枚受け入れで約23%、16枚で約36%という結果になりました。

*均衡放銃率=押しとベタオリの期待値が均衡する放銃率

よって前回紹介したテンパイ時の押し引きの簡易式からそれらを差し引くことで大体の予測は可能です。

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愚形含みのイーシャンテンに関しても、リーチ時の愚形と両面での均衡放銃率の差が13%、副露時は10%ということを踏まえれば両面率で割り振ることで予測可能です。

東1局 南家 9巡目 子のリーチを受けている状況

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7pを切ってイーシャンテンに取りたい手牌です。順を追って、押しに見合う放銃率を計算してみましょう。

聴牌時リーチすることを前提に40符3ハンで期待得点が850016枚受け入れの両面率50%です。

仮に聴牌してると想定して、子対子リャンメンリーチの簡易式に当てはめると、

4×8.5+15=49% 

ここから16枚受け両面率50%イーシャンテンということを加味していくと、

49-36-(13×0.5)=6.5%

7pの放銃率が6.5%より低いのであれば押しに見合うという結果になりました。上記のグラフで見比べてみても大体同じような数値が読み取れると思います。

さらに一般化

”こんな計算いちいちやってられない”

まさにその通りで、牌譜を見直す際にわからなかった場面の見直しに使ってもらえる程度でも押し引きのヒントになると思い書いてみました。

最後にもう少し一般化した押し引き基準を紹介します。

子のリーチに対して、

子なら、リーチ想定で3ハン、副露なら2.5ハン、両面2組

親なら、1ハンでもあれば両面2組以上

親のリーチに対しては、

リーチ想定で4ハン、副露なら3.5ハン、両面2組

*安パイ2枚持ち想定

平均リーチ巡目と残り筋を考えて中盤でのイーシャンテン押し引きラインは大体このくらいになります。

あとは、場の状況と安牌の数を考慮してもらえれば実践に生かせると思います。

以上長くなりましたが、イーシャンテンからの押し引きの話でした。

聴牌からの押し引きはこちら

放銃率計算などオッズに関する記事がこちら

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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