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【ザンリーグ観戦記】押し返す準備は、じっくり入念に【企業リーグ2023グループB#10】

文:億尾ほうこ



第9回戦では堀内正人選手が大トップを取って1位に抜け出したライフデザインパートナー
10回戦では桐生颯選手の登場です

ライフデザインパートナーの二枚看板
堀内選手に続くことはできるでしょうか


反対に、9戦目ではトビラスとなってしまったあやじゃん選手の分を取り返したい池袋リレイズ
あーく選手が力強く入場

まだ差は小さいとはいえ、ここで突き放されるわけにはいきません


9回戦の因縁の残るこの第10回戦に紛れ込むはカジノ部ヨーテル選手

画像左の宣材は印象操作なのか、麻雀では全く忍んでいない様子
堂々の入場です


ドラ役牌の扱い


東一局、初めに動いたのは西家の桐生選手

場風の🀀をポンして2対子形の一向聴
筒子の辺張がやや気になるものの、🀇という鳴きやすい牌でポンテンも取れる良い形です


この仕掛けを見て東家のヨーテル選手

自分で1枚切っている🀏を手元に残して、ここからドラの🀃を打ち出していきます

親番の一向聴ということで、ドラだろうが手放してでもかなり押していきたい手牌です
どうせ切る🀃ならばたとえ鳴かれたとしても放銃になる前に切っておきたいですね
この段階で🀃を鳴かれたとしても🀏が安牌として機能するため、鳴かれた後に立ち回りを考えることができます

ここでのポイントの一つとして、前巡に切っている🀘もまた挙げられます
🀘より先に🀃を切ってしまうと🀃を鳴かれた場合に🀘の処遇に困ってしまうので、安牌を引いたこのタイミングこそが最も切るのにふさわしいと言えるでしょう

ドラの切り時を逃しません

このドラ🀃に反応したのはあーく選手

ドラの役牌を鳴いて完全一向聴


ドラを鳴かれてしまったヨーテル選手

🀑を引いて形が若干良くなります

それでもノーテンの段階から🀔を押していくのはコストが高いところ
とはいえこの🀔が切り遅れになってしまうリスクもあります

副露二軒に挟まれて難しい押し引きになっています

自分の手牌価値を考えた際には、ここで🀔を切るとかなり平和のみになってしまって価値がかなり低くなります
それゆえに🀔の縦引きも見ておきたい場面でもあり、安全度と打点のバランスを取る打🀏となりました

そして次巡に聴牌

赤も花も無い四人麻雀みたいな聴牌
実に地味

しかし自信が親番で聴牌したとあらばリーチに踏み切ります
🀝🀠の両面待ちは勝機十分

そして何よりリーチというのは最強の役です

それを証明するように🀠を一発でツモアガリ
裏ドラも1枚乗せます

リーチ一発ツモ平和一盃口裏1で跳満2枚のツモアガリです

真っ黒な手牌ですが、チップ2枚付きの親の跳満
最高の滑り出しとなりました


ヨーテル選手が親番で一発ツモを決めた次局は南家のあーく選手が一発ツモ


一発ツモが2連続で出たことで、チップが飛び交う荒場の気配が俄かに漂ってきます



細い道筋と薄い裏目


さて、ヨーテル選手とあーく選手に立て続けに一発ツモをされて点棒もチップも抜かれてしまった桐生選手

当然黙ってはおらず、東二局では桐生選手が先制リーチ

🀞を切っての🀛🀡の双碰待ち
どちらの双碰も筋ひっかけになっています

しかし、桐生選手は一発ツモならず

そのまま巡目は中盤まで進みます

字牌を切りつつ一向聴にまで手を進めていた南家のヨーテル選手が選択の時

現物の🀘🀜どちらを切っても一向聴を維持できます
ヨーテル選手は打🀜として双碰固定

ここで🀘を切った後に無筋の索子を引いた場合、結局🀜を切ることになり索子がごちゃついたままオリていくことになってしまいます
しかし、🀜を切ることで索子を引いた際には現物の🀏を連打することによって索子3面子による復活が狙いやすくなります

また、この🀜切りは🀛受けがなくなりますが、🀛を引き入れたところで無筋の🀚を押していくのはそれなりに負荷がかかります
🀚を押さずに済むという点でも良いですね

ただオリるだけではない強かさを感じる一打です

押し返しを狙っているのはヨーテル選手だけではありません
あーく選手も筋の🀟を1枚押して聴牌にこぎつけます

🀒か🀕を切っての嵌🀖待ちと、🀗切っての🀝🀕双碰待ちの選択です

桐生選手の🀘🀗切りから🀖待ちはそれなりに優秀に見えますが、🀒🀕はかなりリーチに対して切りにくい無筋です
🀝🀕の双碰待ちは特によくはなさそうですが、それでも切り出す🀗が安牌であるという点が強力です

捲り合いをするなら🀖で待ちたいですが、🀒🀕を切って放銃になってしまっては捲り合いの土俵にすら立たせてもらえません

あーく選手は🀗切っての双碰リーチ


さあ、押し返すつもりだったヨーテル選手
二軒立直に挟まれることになります

ただオリるだけならば🀓🀖🀗🀘🀟といくらでも安牌はあります
それでも二軒立直だからといって安直にオリている場合ではありません
ここから無理せず聴牌を取るには何を切るか

ヨーテル選手は地獄単騎にしか当たりえない🀐を切り出していきます

自分が聴牌した際に振聴になってしまう🀑受けを嫌った形です
運よく🀞が通って🀒か🀚を引いた際には🀝🀠待ちのリーチが打てるように構えました

ただ、この🀐切りにもデメリットがあります
残り2枚の🀑受けが消えるという点ですね
🀞が通らなかった場合に自分が聴牌を果たしたとしても🀞を押すことはないので、2軒に対する現物である🀟を切るという選択肢もありました
🀚🀞を引いた際に🀘をきって🀑のひょっこりツモや、🀑引いての🀚🀞待ち聴牌に構えることができるようになります

どちらにせよ薄い道筋であることに変わりありません

ヨーテル選手が次巡に持ってきた牌は

裏目の🀑

2択を外してしまった格好でこそあるのですが、どちらにせよアガリには結びつかないような形ではあるので結果には大して影響ありません

ヨーテル選手が戦線から一歩後退したところで、この局は決着がつきます

桐生選手が🀝を掴み、あーく選手の手牌が倒されます

リーチ赤4花1で跳満のロンアガリ

あーく選手が親番でさらなる加点に成功しました


やられたらやり返す


なんだか1人だけリーチが成就しない桐生選手

続く一本場でも先制リーチを打てそうな手牌が入ってきます

🀟と🀠の選択で打🀟

🀠が既に1枚打たれているので、見た目枚数だけで言えば🀠を切った方が1枚だけ多いです
それでも、この🀠は他家の現物です
この手は両面や三面張でのリーチを打つことが本線なのですから、フォロー牌にあたる牌はなるべく安全度を重視して選びたいところ
うまく親の現物である🀠を手に留めつつの完全一向聴を作っていきます

そこにやってきた親番あーく選手の先制リーチ

🀁待ちの七対子です


ここで先ほどの桐生選手の🀠残しが輝きます

両面部分の🀞を引き入れて

現物🀠を切って追っかけ立直
🀒🀕🀘待ちの三面張

三面張対単騎は三面張の方が圧倒的に強いです

あーく選手から🀒を一発でとらえます
リーチ一発平和赤2表1花1で跳満1枚のロンアガリ

跳満放銃は跳満放銃でチップの利子付きで取り返します


この半荘はこの後も打ち合いが連続します

桐生選手が先制聴牌

🀐🀓待ちでリーチをしたかと思えば

南家のあーく選手も

🀚🀝の両面待ちで追っかけ立直


卓上で視線が交錯します

火花が見えてくるようです

決着は親番桐生選手のツモ

リーチツモ赤2花2裏2で倍満2枚のツモアガリ

奪われていたチップを裏ドラ2枚で奪いかえすことに成功
持ち点も2局で1万点台から5万点台まで大復活


字牌と数牌のベストバランス


バチバチな二人の打ち合いになんだか巻き込まれて気づけば原点を割ってしまったヨーテル選手

手牌で役牌暗刻が二つできました

残りブロックとしては雀頭含めてあと3つ必要
🀑🀒の両面搭子は使うとしてあと二つ

ヨーテル選手の選択は打🀡

🀞と受け被りをしており、🀡のくっつき牌としての価値はほぼありません

中途半端な数牌を残すよりも字牌を残して索子の混一などの可能性も残した選択です

しかし、手牌は索子へは向かわず筒子で両面搭子ができます

混一にはならなさそうということで、ここからは打🀁とします
端牌だからと安易に数牌を手放さず字牌を処理

🀙から搭子ができた場合には、面子候補を3つ手牌に持つことができます

この狙いが功を奏してツモ🀛

これで嵌張搭子ができました

では、切り出していく浮き牌は🀆と🀖のどちらを選ぶのが良いのでしょうか

ヨーテル選手は

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