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【ザンリーグ観戦記】高い守備力から生まれる紙一重の一打たち【企業リーグ2023グループB#1】

文:億尾ほうこ

Aグループの開幕戦は大波乱となっていました
放送対局に慣れていないとなるとどうしたってトラブルはつきものです

それに対してBグループは昨年度の企業リーグがほぼそのまま残っている形で、ザンルールにも慣れ親しんだプレイヤーも多いです

Bグループの開幕戦は、おなじみの3人が揃いました

アルタイルジャパンより平澤元気選手
カジノ部より高田まさひろ選手
池袋リレイズよりワケベ選手

全員が麻雀を取り扱うYouTuberという凄まじい面子です

麻雀と映像なら任せろといった三者の対決はどう進んでいくのでしょうか
グループBの観戦記では、細かい打牌についても注視していきます



東一局 二人掛かりの国士無双


まずはこちら、南家まさひろ選手の配牌です

花牌で么九牌の9種目を持ってきました

面子手にしようにも索子で一面子と筒子にブロック候補が1つあるものの、残りはどうしようもなさそうな手格好です

国士を睨んだ進行として打🀒とします

序盤から国士無双を狙っていく際には、他の手役と天秤にかけながら進めることが多いです
七対子、全帯、混一あたりですね

基本的には、面子手を破壊する進行になるため、面子を必要としない七対子が第一候補になります
また、字牌を集めていく性質から全帯と混一への移行をすることもよくあります

打🀒として🀛の対子を残しておくことで七対子も天秤に乗せておきました


そして、対するこちら西家ワケベ選手の配牌です

第一ツモで么九牌9種類目を持ってきました

1面子もないどころか両面すらありません
これは迷わず国士に向かえますね

搭子が2つある索子を残し、打🀜とします


さて、南家西家という子方二人が明らかに国士無双を狙っており、中張牌をばらばらと切っているだけです

こうなると、親の平澤選手がのびのびと自分の手を進めていけますね

順調に中張牌を集めて聴牌

この待ちは嵌🀝と普通であればかなり悪い待ちです
特に何もない局であれば、🀃ポンしての🀛🀜への待ち替えや、中ぶくれ🀔のくっつけての両面立直を狙って打🀞なんて選択もありかもしれません

しかし、中張牌を河に並べる係が二人もいるのに🀝が河に1枚も切られていません
七対候補で対子にされている可能性はゼロではないとはいえ、ほとんど山に4枚残っているでしょう
🀃が期待できない上に🀔周辺も結構切られているとあらば、ここは即立直の一手ですね

打🀔として親の先制立直を打っていきます


さあ、ここで難しい選択を迫られるのが国士をやっている二人です

南家まさひろ選手はこの手牌

一発目にあたる手番で🀂を引いたことで、国士無双の一向聴になりました
ただし、🀛を切ればの話です

ワケベ選手の手牌に中張牌がほぼないであろうこともわかるので、場に切られている数牌でワンチャンスなどになっているわけでもないこの🀛を果たして打ち切れるでしょうか?

グループBの開幕戦故にYouTube効率で役満狙いをしても良さそうな場面ですが、ザンリーグでは一発に5000点相当のチップがついてきます

一発では打てないと判断して、打🀇としました
2枚ある牌を切る分には他の么九牌を引いてきての一向聴復活がまだまだ狙えます

冷静ですね


それと同時にワケベ選手も一向聴になります

一発目の手番で🀆を持ってきました

🀙🀐が重なっている一向聴です

ワケベ選手は打🀗として押していきます
この🀗はかなり切りやすい牌です
この🀗は平澤選手の宣言牌🀔の筋でこそありますが、🀔が全て赤のルールで国士が二人いるのに🀔🀖🀘の形から2切れの🀗待ちで立直することはまずありませんね


一発目は無事回避したまさひろ選手は、次巡🀃を引いたことで一向聴に復帰します

一発ではないのならばと、ここから打🀛と押していきます

🀃は生牌で🀃そのものにも高打点放銃のリスクがあるのならば、押してしまいましょう
仮にもYouTuberなら視聴回数を稼げる役満は逃していられません


この🀛に敏感に反応したのがワケベ選手でした

実戦系のYouTubeをやっている以上役満の重要性は重々承知しているはずです
こんな🀜くらい切ってしまいたいですね
🀜を通してしまえば、聴牌時の🀙も切りやすくなります

そんなことは承知の上で🀇切りとします

まさひろ選手の🀛切りによって国士無双聴牌の疑念が生まれたので、国士に放銃しないように現物の🀇を切ります
このまままさひろ選手が平澤選手の立直に押していくのであれば、自分はオリても横移動による無失点で終えられる可能性も高まります

とても落ち着きのある🀇切りでした



すんなりと平澤選手が赤🀝をツモり、立直ツモ赤2花1で満貫の加点となりました


点棒授受が終わると、国士の答え合わせが始まりました

いい雰囲気ですね



東一局 海底からの引き揚げ


続く一本場、まさひろ選手に選択のある手牌

🀗🀚🀡からの選択になるでしょう

順子系の手にするのであれば、孤立牌として🀑🀔🀗🀚🀡と揃っている中から横伸びしにくい🀡を切るのが普通です

まさひろ選手はここから打🀚としました

🀡を残すことで、4対子を維持できるので七対子の二向聴にとることもできます
七対子にするかどうかはさて置いて、七対子の選択肢を消さないというのはとても大切なことですね

では、くっつき牌として🀚🀗の比較はどうでしょうか
索子の形を22345+5と見ることで、孤立🀗は孤立🀔との受け入れが衝突していることがわかります
🀚は対子🀝に対してなので直接のくっつきかぶりはありません
平面的には🀗を切りたいですが、ここで少考しての打🀚なので明らかに🀗に価値があると判断したようです


ここで考えられる要素は二つありそうです

一つは七対子効率です
下家ワケベ選手の河に🀘が置かれています
序盤の端牌の周辺は持たれていないことが多いため、情報の無い🀚よりも🀗の方が山に残っている可能性が高いです
🀡を残して七対子を強く見ていることから、この要素が大きいでしょう

もう一つはオマケ程度でしょうが、ドラ🀖とドラ表示牌🀕の存在がありそうです
ここで🀗切ってドラ🀖を引いた場合には🀔にくっつくので嵌🀕の搭子ができることになりますね
ここはドラ搭子につき外しにくいにも関わらず、ドラ表示の🀕という中張牌の中で最も悪い受け入れとなります
進み方によってはここが埋まらない場合に🀖を中盤にかけて切っていくことにもなり、リスクが高まります
悪い受け入れになって危険度の高い搭子を作ってしまわないように、🀗を残しておくのが良いでしょう


この狙いが成功して、七対子の聴牌になります

と、言いたいところでしたが、この聴牌形ならば七対子の単騎待ちに取るよりも、🀡切っての🀑🀔🀝待ちにした方が良いですね
一盃口赤4花3の倍満からです
立直して🀔か🀝の赤をツモることができれば立直ツモ一盃口赤5花3の三倍満になります

誰かから切られそうな待ちであればかなりダマにしたいところですが、索子の下の方の情報が全くないので出るとも限りません
白ぽっちも見えていないとならば、ここは立直してしまって良いでしょう


親の平澤選手もオリ、ワケベ選手もオリ
これは山との勝負かと思われましたが、最終盤に場が突然動きます

現物を丁寧並べていたワケベ選手、残り2巡のところで聴牌します

🀘を切れば立直表赤花の両面聴牌です

まさひろ選手の立直は子なので押しやすいですが花牌3枚なので押しにくいです
親の平澤選手がオリているので、ドラもまさひろ選手の方が持っていそうに見えますので、ここもオリ要素ですね

それでも、ここで切っていく🀘は🀗3枚見えで両面がワンチャンス、🀘そのものも3枚目なので双碰もありません
まさひろ選手の立直はドラ両面を固定した🀗先切りである可能性は全く否定できませんが、それでも見た目8枚残りの両面なら勝負になるとして立直に踏み込みます

なんとこの🀝🀠待ちは画面に映っている裏向きの11枚の中に3枚も残っていました


勝負の行方は海底牌へ

ワケベ選手の立直ツモ海底表赤花裏裏の倍満の2枚のツモアガリです


今年もめくり合いに勝てないまさひろ選手なのでありました


東二局 仕掛けへの守備が光る


東二局は親番のまさひろ選手が役牌をポンして先行します

嵌🀠の聴牌を入れていたところに、🀞を引いて🀝🀠待ちへ

北赤2表1の素早い満貫聴牌です


この🀠待ちなのですが、なんとワケベ選手の手牌でぽつりと切られる時を待っていました

🀒を引いたワケベ選手の手は、筒子の上へ

放銃かと思われましたが、🀠は切らずに打🀛とします

ちょうど手牌が七対子の一向聴になったことで七対子に決め打ちました
仕掛けが打🀔、🀃ポン打🀛、手出し🀡なので🀠は相当切りにくいですね
ふらっと打ってしまいそうですが、親の仕掛けに対して安直な放銃はしません


ワケベ選手が受けながら手を進めている中、平澤選手も選択を迫られます

副露した親の手出しの数と数牌の質を考えると、聴牌率はそれなりにありそうに見えていることでしょう
自分はドラ3でそれなりに良い手牌とはいえ、辺張残りでもあり形は決してよくありません
無理しない範囲で押しては行きたいところです

平澤選手は一旦ポン出し🀛の外側として🀙を切っていきました

この🀙はかなり通せる牌となります
両面も双碰もかなり可能性が薄いと読める要素がありますね


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