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【ザンリーグ観戦記】ただ速いだけに非ず、故に神速【企業リーグ2023グループB#9】

文:億尾ほうこ

相対速度という概念をご存じでしょうか

簡単に言うと、自分から見て相手がどれくらい速いかという速度です
並走する電車が殆ど動かないように見えたり、すれ違う電車がとても速く見える現象はこの相対速度によるものです

麻雀も相対速度のゲーム

自分と相手が同巡にリーチした場合には相手が特別速いとは思えませんが、自分が二向聴の時にリーチが飛んできたならば相手のことがとても速く見えることでしょう


速度を体現したような打ち手の登場です

ライフデザインパートナーより堀内正人選手

三麻では打点も身に着けて速い高いの神速で攻めてきます


堀内選手に立ち向かうのはこの二人

池袋リレイズよりあやじゃん選手

理想の聴牌形を目指して打つタイプ

そしてアルタイルジャパンよりシバター選手

大物手を狙いに行くタイプ


打点派の二人が堀内選手の速さに負けずに叩きあえるかに注目です


いざ闘牌



遠回りと追い越し

東一局、親番あやじゃん選手の3巡目

あやじゃん選手はここから打🀚
ここで🀚を切ってしまうと🀛引きによる両面搭子を逃します
既に数牌で面子候補が4つあるとはいえうち一つは🀐🀑の辺張搭子です
🀐🀑には一盃口という打点価値もありますが、🀚という浮き牌にも一通という打点価値もあります

それでも今最も欲しいのは雀頭ということで、字牌の🀄も残しての進行としました

そして軽い裏目を引きます

持ってきたのは🀛
両面搭子を逃した格好です
これに動揺したのか、ここから打🀕としてしまいます

筒子が🀝🀝🀞の形で🀝雀頭になっていますので、索子で3面子つくることができると赤を切らずに済むのでとてもうれしいです
🀕を切ってしまうと🀔🀖の両面ロスが非常に痛いですね
また、🀛を切ったとしても🀜を受け入れて面子が作れる形になっています
もちろん、🀛を残しておくと🀜引きで筒子がとても良い形になりますので、🀛も残しておきたい牌なのは間違いありません


この進行がツモとまったくかみ合いません

河に🀕🀖🀗と面子が並ぶことになってしまいました
何かが違えば今頃は🀝雀頭の平和聴牌になっていたはずです

かなり遠回りしてしまうことになりました

親がのんびりしている間に、西家のシバター選手はのびのびと手牌を育てています

🀐をポンして打🀀
清一色の一向聴にとりました
打🀑とすると🀒🀓🀔🀕🀘🀀の混一の一向聴で、打🀀とすると🀒🀕🀘の清一色一向聴です
速度は落ちてしまいますが、浮き牌🀀が安全牌としてつかえることからこの巡目の一向聴としてならいい持ち方と言えるでしょう

さて、あやじゃん選手とシバター選手がじっくりと手牌を作っているとなると、手牌はあまりよくなかった3人目の選手が追い付いてきます

南家堀内選手、嵌🀓待ちで先制リーチ
シバター選手が索子の混一なので🀓はいい待ちとはあまり言えませんが、それでもドラ6の役なし聴牌をリーチしないわけにはいきませんね

そして、このリーチは非常に強力な効果を発揮します

清一色の聴牌になったシバター選手の手がとまります

索子を引いて聴牌したのはいいのですが、この🀞をいったいどうするか
切ることができれば嵌🀖の聴牌です

しかし、堀内選手の捨て牌にはそれなりに数牌が切られています
残っている筋は🀛🀞🀡、🀝🀠、🀓🀖、🀕🀘の5本です
赤🀔が先に切られていることから、🀓🀖が若干薄まっており実質4本程度とみていいでしょう
となると、残り筋4本のうち2本にかかる🀞の放銃率は相当高いです
愚形聴牌もありうるので50%とまでは言いませんが、それに匹敵するくらいの危険度があります

シバター選手はこの🀞を押さずに打🀗で一向聴に戻します

とても冷静な押し引きを見せてくれましたが、それこそ堀内選手の思惑通り

最後の1枚の嵌🀓をツモ
リーチツモ赤2表2花3で倍満のツモアガリです


またもや追い越し

東二局、南家シバター選手の配牌がいまひとつよくありません

9種10牌
国士を狙うのも手ですが、筒子で1面子できており索子の両嵌もあります
🀔がダブドラになっており🀔さえ引ければ戦える手に急成長しそうです

シバター選手は打🀗として国士とドラ受けと筒子混一と全てを追っていきます

そして、手牌は全帯の方向へ

🀇が暗刻になったことで、🀘が槓子の一向聴です
前巡に慌てて槓することなく、一向聴まで進んだこのタイミングで🀘を暗槓していきます

そして、なんとあの配牌から聴牌一番乗り

辺🀟待ちでの先制リーチです

四麻であれば、チャンタドラ1の3飜80符なので満貫ありますが、ザンルールは符計算がないためリーチしないと4000点止まりです
良いリーチ判断ですね

たとえ愚形と言えども先制リーチの効果は絶大です

先ほどは先制リーチによってシバター選手を降ろした堀内選手でしたが、今回はシバター選手のリーチによって堀内選手が降ろされる番です

降り方にも工夫があるのが堀内選手

ここから打🀕として索子の面子を崩します

🀖も通りそうなので打🀖とした方が一向聴はより広いですが、筒子が非常に切りにくい河をしているため、筒子を吸収して聴牌を組みなおしやすい七対子や四暗刻に寄せていきます
🀙🀚🀟🀡を引けば七対子の一向聴維持
🀔🀠引けば七対子の聴牌なので🀜1枚押しが見合います
また🀛🀞引きは四暗刻一向聴なので、これもまた聴牌時に🀠を押すことが見合います

非常にバランスの良い打🀕です

そして四暗刻の一向聴に漕ぎつけます

🀟引いて聴牌

しかしこの聴牌は四暗刻ではありません

それでも筒子はかなり押しにくいですが、堀内選手は

打🀞としてリーチに踏み切ります

実は、シバター選手の河をちゃんと見ると、かなり混一が否定できます
リーチ宣言牌が1枚切れの🀏になっていますね
安牌として持っていた牌だとすると、前巡の2枚切れの🀅と矛盾します
安牌としては🀅の方が優秀なので🀅を持っておくはずです
つまりは、🀏は手牌で使おうとしていた牌だということがわかり、刻子手やチャンタのような手牌が想像できます


ペンチャン対シャンポンのめくり合い


堀内選手、リーチツモ三暗刻花2で跳満のツモアガリ

倍満親跳満と連続でツモって大きなリードを築きます


大きなトップ目にたった堀内選手が最も躍動したのが東二局の一本場

九種急旋回


配牌は9種10牌

堀内選手はここから手なりで打🀁
あくまで最速のアガリを目指します

最速を目指しているので、2巡目に打たれた🀆を

当然のようにポン
ここまでバラバラだと鳴いたところで他家との速度勝負に完全についていけないため鳴かずに雀頭や安牌として使うプレイヤーが多そうです

それでも、アガらなければ失点するのが麻雀と言うゲームの常
たとえどんなに遠かろうともアガリに向かいます

捨て牌二段目に入ったところで2つ目のポン

ここまでやってようやく一向聴です

しかし、辺張二つの一向聴で受け入れはたった2種
アガリまで遠いどころか聴牌までも遠い一向聴です

堀内選手の手牌を見ているとただの弱い一向聴にしか見えないのですが、同卓している選手たちからしたらそうではありません

親が役牌とドラ🀝のポンです
花牌も抜いているので概ね跳満クラスの聴牌が入っていてもおかしくありません

先ほど🀝を切った混一進行中のシバター選手ですが

この🀜を真っすぐに切り出すことができずに打🀐で一旦様子を見ます


🀆ポンから発進したことで他家の手順を歪めています


堀内選手の仕掛けに誰もが屈したかと思いきや、あやじゃん選手が立ち向かいます

🀚をポンしてタンヤオの聴牌
索子はシバター選手の混一の色なのでかなり厳しくはありますが、聴牌していないよりずっと良いです

暗刻の🀠を槓子にして

これを槓
聴牌なので積極的にアガリ抽選を受けに行きます

嶺上から赤🀔を持ってきて

双碰に受ける打🀒

なんとこの🀒

堀内選手のアガリ牌でした

白花1赤3で満貫のロンアガリ


堀内選手がさらに突き抜ける展開に

二本場にはダメ押しのぽっち裏裏

3枚オールです
これ、トップ1回分

このまま堀内選手の二人とばしで終了かと思われましたが、あやじゃん選手もシバター選手も1度ずつ上がって点数を戻していきます


逆走

東三局一本場はなんだか不思議な選択が飛び出します

まずは南家のあやじゃん選手

ここから🀚を切っていきます

もちろんくっつきの強度でいえば🀔🀕🀖とくっついている🀒が非常に強力なので、🀒に頼って🀚を切る選択ももちろんあるのですが今局では🀚の価値が通常よりも上がっています

その理由は

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