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【ザンリーグ観戦記】全局参加で焼き尽くす暴龍【企業リーグ2023グループA#14】

文:億尾ほうこ

企業リーグもはや14戦目

折り返し直前で順位状況も気になるところですが、今回は順位状況が吹き飛ぶくらいの注目カード


ドラゴン細井社長VS桑田龍征社長の社長対決

今までの社長激突回でも、社長に豪運があるというのは本当なのではないかと思わせてくれるようなバチバチのめくり合いが繰り広げられていました

この対局でもそれが見られるでしょうか


南家にドラゴン細井よりドラゴン細井選手

「めんたんぴつもどらどらだよ~」と跳満をアガリながら跳躍して入場
南家の跳満によって早くも12000点のリードです

西家にはNEW GENERATION GROUPより桑田龍征選手

「ごばいごばいごばいごばい五倍満」と両手を広げて入場
西家で五倍満は40000点のアガリです
ちなみに、ザンルールに五倍満はありません

そんな社長に挟まれる東家には予想屋マスターよりもも選手

こちらは大人しく入場
社長に挟まれる格好になりましたが奮闘できるでしょうか





字牌落としの重厚手順


東一局、親番のもも選手形の良い一向聴

🀜か🀟を切ると最も受け入れの広い一向聴で、🀃のポンテンも取ることができます
もも選手はここから打🀗

🀗を切ることで失う受入れは🀗の2枚だけで、筒子の4連形が残ることから筒子の好形変化を追うことができます
対子をほぐしていく非常に良い一打です

筒子にくっつけて両面以上にはしたいところですが、持ってきたのはノベタンが重なる🀟

ここでは、🀒を切っておくと🀓の受入れができる分平面牌理では強くなります

しかし、🀒を切ったことで生まれる🀓を引き入れた場合の最終形は🀟と🀃の双碰です
🀟1切れのこの字牌双碰をどう評価するかがこの手の進行に大きく関わっていきます

もも選手は双碰は不服であるとして🀟をツモ切り
筒子部分は両面以上にしないと気が済まないという形です

狙い通り🀠を引き入れて筒子で3面張
ここでも再び選択です
🀒を切ると🀓🀕🀘🀛🀞🀡の一向聴で最も広いです

もも選手の選択は打🀃
ここで🀃を切ることでタンピンの一向聴にすることができます
この選択は打点的に有利であると共に、1枚残った🀃を安牌として使えるようになります

ここで安全な🀃を切っての🀛🀞🀡三面張リーチ
美しい手順でした


さて、ここに対抗したができないのが南家の細井選手

危険牌の🀐を持ってきて現物の🀗

続く巡目に🀐を引いてきての悩みどころ


ここで🀗の外側の🀘を打っておくと🀀のポンテンを取れる形にできます
更には🀘も1枚切れなので最終形が双碰になった際にうれしくありません

🀗🀟からの🀃対子落としという手順では序盤に好形を固定して6ブロックに受けているケースがかなり多いです
そうなると、🀗の外側の🀘と言えど両面にあたる可能性がそれなりにある牌です(実際に🀒🀕🀘はもも選手の入り目です)
それに対して、🀀であれば双碰にしか当たり得ませんし、🀃🀀との双碰を拒否するような🀃より強力な対子が1切れの🀅くらいしか存在しません
となると、かなり安全度に差があるということで、ここは打🀀としました

素晴らしい守備意識です

この守備が光り🀐を暗刻に

両面聴牌したならばリーチですね
🀀を切っての🀛🀞待ちです

これを一発でツモ

リーチ一発ツモ赤裏花で跳満1枚のツモアガリ

守備手順の良さからのご褒美一発となりました


贅沢6ブロック打法

一発ツモで流れと親番を引き寄せた細井選手
この親番は頑張りたいところですが、そうはさせたくないのがもう一人の社長である桑田選手

そんな桑田選手に難しい手牌が訪れます

現状は🀛と🀃という二つの雀頭候補のある6ブロックの手牌
ここに🀛対子の両面フォローである🀚を引いてきました

🀚🀛🀛の形がとても強いので、ここを活かして最も弱い搭子を外していく5ブロック打法にする案が一つ
5ブロック打法にすると裏目が生まれますが、一向聴での形が良くなりやすいのでアガリへの最短距離になりやすいです
落とすなら🀞🀠のドラ受け嵌張か🀑🀒の二度受け両面かの二択でしょう
🀐が2枚切られていることから🀑🀒を切っていくのがメジャーになるのでしょうか

もうひとつの案は🀛切っての6ブロック打法でしょう
こう構えると🀃が雀頭になるため🀃をポンしていく手組はできなくなりますが、🀐🀓引いての一通ルートも🀟引いてのドラルートもどちらも残すことができます

桑田選手の選択はそのどちらでもない打🀚でした
この🀚切っての6ブロック打法は効率の上でかなり不利です
というのも、現状この手牌は「嵌🀟」「🀛🀃双碰」「二度受け🀓」という弱い部分が3か所あります
どれか一つが解消されたとてまだ弱い部分が残ってしまうというのはあまりうれしくありません

ではこの打🀚が全くありえない選択かというと決してそうではありません
ここで🀚を切っておく最大のメリットはドラ🀟と索子の一通を同時に満たせる手順があるということです

つまりはこの手牌の理想形を
🀛🀛🀞🀟🀠🀐🀑🀒🀓🀔🀕🀖🀗🀘という形に設定したということ
この時に🀃の対子は手牌進行と共に安牌感覚で落としていくことができます

理想を追い求める華麗な一打でした


桑田選手が遠回りしている間に、先制聴牌を入れたのは細井選手

ドラ待ちの嵌🀟で聴牌したのですが、ここでは役なしダマ
好形手替わりが🀝しか存在しませんのでかなりリーチ優位です
親のリーチによって他家を対応させて、自分のツモれる回数を増やしていきましょう
どうせツモ専ならばリーチして他家の手を壊しにいっても良い場面です
いままで細井選手は愚形も先制リーチを打ってあがってきた印象があるだけに意外な選択でした


が、この唯一ともいえる手替わりの🀝を引いてきて

🀜🀟待ちでリーチ
最高の手替わりです

しかし、この手替わりを待っている間に桑田選手は🀡🀜と細井選手に対する危険牌を2枚切れています

そして桑田選手が細井選手に追いつきます

🀑切っての🀐🀓🀖三面張立直

一通になる高目🀐はもう4枚切られてしまったのですが、普通の両面立直だと思えば十分に強いです

見事桑田選手の🀚切りからの構想通りの聴牌になりました

この最終形構想をできている桑田選手が引けないわけもなく

🀓をツモ
リーチツモ平和表1赤1裏1で跳満1枚のツモアガリです


フリテンも引けばよい

社長同士の跳満のツモりあい
次なる一手を打ったのは細井選手

ドラ🀆対子の手から🀀🀆と続けざまにポン

あっという間に🀝単騎の聴牌を入れます


細井選手が副露をしていく中で親番桑田選手は

ここから打🀖で両面固定

手牌の形を
🀜🀜🀜+🀝🀞🀟+🀟🀠+🀑🀑🀒+🀕🀖🀖と分解することで、完全一向聴であることがわかります
そうなると🀒か🀕のどちらかを切ると最も広くなります

しかし桑田選手は打🀖
赤🀔受けを固定した形に受けました
裏目は🀑🀖の縦引きを失うのは若干痛手ではありますが、🀑は1切れということもあり河に迷彩をかけていきます

その後、索子と筒子の形が変化して以下の形

今度は雀頭候補が🀝🀑🀒と3つある状態です
ここでも対子を一つほぐして2対子にする完全一向聴がに取るのが最も強力ですね
今回🀑か🀒を切ったとしても🀐🀓受けは残るので裏目が切る牌の縦引きしかないのがとても良いですね

しかし、桑田選手は完全一向聴に取らない打🀖
これは🀔🀗の裏目が非常に痛いです
それでも打🀖とすることによるメリットはあります
それは一盃口と三暗刻という二つの手役です
🀑🀑🀒🀒部分を残すことでそのどちらかが狙えるようになります

手役を追い求める桑田選手らしい一打です

しかし、最終形は以下のような形になってしまいました

🀒切っての🀓🀖振聴オープンリーチです

🀕切ると嵌🀓に取ることができるので閉めリーチが打てます
🀖が目に見えて少ないですし、🀓も見た目で残り1枚なのでリーチに踏み切るのはかなり勇気のいる行動です

このオープンリーチを見た細井選手

🀝が2枚使われていることを確認して打🀝として🀃の地獄単騎にします

🀝も🀃も同じ3枚見え同士
🀝はもも選手が使っている可能性が結構ありますが、まさか🀃を持っていることはないでしょう
つまり🀃の方がアガリ率が大幅に高いです
3人で残り1枚の🀃をツモりに行っているような状態でかなりアガれそう


しかし、ここで引き勝ったのは

親の桑田選手
リーチオープンツモ赤3花1で跳満のツモアガリ

フリテンになろうが、ツモってしまえば関係ありません


黒いデジタル?


連荘した桑田選手、3巡目には最速で聴牌を果たします

ここでどうするかは難しいところ
リーチするかダマテンか、はたまた聴牌を外すか

現状の待ちは1枚自分で使っている🀟待ちで最大3枚
白ぽっちも自分で使っているのでぽっちも狙えません
それでもリーチが強力なので🀚切ってのリーチ一盃口赤2を狙いにいくのが一手

🀚切りダマテンは一盃口の役ありであることを活かして、序盤にふわっと切られた🀟を逃さないようにする構えです
🀞🀠🀡引きで🀆との双碰となるような手替わりがありますし、🀆ポンしての🀞🀡待ちといった手替わりもあります

聴牌外しの🀠切りは手替わり枚数最大です
どうせリーチを打たないのであればリーチが打てる手になる手替わりを最大にしようという作戦です
🀙🀛🀜🀞🀡の5種で両面以上の聴牌、🀚🀝引きでも字牌🀆との双碰リーチが打てます
筒子の1234569の計7種に🀆を加えた8種で良い形の聴牌になります
また、筒子以外にも🀒🀔🀖の索子を引くとより好形率の高いとてつもなく広い一向聴になります

聴牌外しがマジョリティな気はしますが、桑田選手の選択は

🀝切りリーチ!!


一般的に赤🀝切りリーチという戦略は以下の通りです

赤🀝を切るということは他家から見て赤🀝がいらないということです
🀜🀝🀝や🀝🀝🀞のような形から赤🀝を切って🀜🀟や🀛🀞待ちにすることはあり得ませんね
それを逆手に取って37待ちの時に赤5を切って釣りだしてやろうという作戦です

ただ、これが使えるのは🀝の赤ドラが1枚しかない時だけです
ザンルールのような全赤三麻においては🀝が全部赤なので、🀝🀝🀞から🀝切っての🀜🀟になるときは10000%赤🀝が切られます
なので、三麻においては殆ど意味のない戦術となっています

また、実はこの赤切り立直は四麻においても効果は薄いです
なぜなら

今回の桑田選手の聴牌のような🀠🀡という辺張待ちが全く否定されないからです
🀝🀠🀡という聴牌形なら、リーチするとき誰だって🀝を切ります

また、🀝が安牌になることで他家から🀝がぱたぱたと切られて🀝の4枚壁になったとしても、結局辺🀟が否定されないためにおいそれと降りているプレイヤーから打たれる牌ではありません
もちろん🀚を切った時よりは🀟の打たれやすさは異なりますが、そんな些細な和了率の差よりも🀝によって失う1飜の方が多すぎます

目に見えないものを考えることも大切ですが、目の前にあるものはもっと大切です


さて、桑田社長の戦略的赤切りリーチでしたが、これにひるまなかったのが南家のもも選手

この手牌から無筋の🀐をプッシュ
残っている形としては🀇と🀠の双碰と🀙🀜両面です
双碰部分の形がいいとは言えないため、🀐押しはかなり踏み込んだ一打となりました

残り無筋はまだまだたくさんあるので🀐の放銃率だけで言えば大したことはありません
しかし、この手は🀐1枚押しで済むでしょうか?

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