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2020年からのタイ語ブームを振り返る

どうもこんにちは、でんいちです。

日本人にタイ語を教える仕事を始めて、
もうかれこれ20年になります。

ただ、日本ではずっと、タイ語学習者の数は、そんなに多くなかったんですよね。

だから、タイ語教師を20年やっていても、ずっと生徒がたくさんいるというわけじゃなくて、
本当に生徒が少ない中で、細々とやってるっていう、そういう状態がずっと続いてたんですよ。

で、その状況がガラッと変わったのが2020年からなんです。


● 2020年から生徒が急増した?


それまでは、タイ語学習の問い合わせなんていうのは、あっても月に4, 5人もいればいい方でした。

でも、2020年の5月ぐらいから状況が変わりました。
学習者の数が、だいたい10倍ぐらいに増えたような実感があります。

また、2020年に学習者が増えてそれで終わり、というわけではなく、その後も、新しくタイ語を学びたいという人の数は、増え続けています。


例えば、

昔は、本屋さんに行くと、タイ語関連の書籍なんて2,3冊も置いてあればいい方で、1冊も置いてないことも多かったんですが、

今は、タイ語の本がすごくたくさん出ていて、タイ語専用のコーナーが設けられているところもあります。


また、日本には、タイ語のコースを持っている大学もいくつかあります。

これまでは、定員50人で定員割れをすることも多かったんみたいなんですが、
今年は、50人の定員に対して270人も集まったっていうツイートがあり、話題になっていました。

タイ語の授業が選べる大学では、どこも受講希望者が殺到しているようです

この状態がつまり、タイ語ブーム、ということです。


● きっかけは2gether?


日本でなぜタイ語がこんなにもブームになったのか。

これには、たくさんの要因があるとは思いますが、
僕が考える一番直接の要因は、やっぱりタイドラマの2getherだと思います。


2getherが放送されたのは、2020年の2月から5月までの3ヶ月間ですが、
日本でタイ語の学習者が急増したのも、ちょうどこの時期なんです。

僕は、オンラインでタイ文字を教える講座を運営しているんですが、
ちょうど2020年の春ぐらいから、受講の問い合わせが殺到しました。

これまで、問い合わせは月に4,5人も来ればいい方だったのに、何十人も来るようになった。

その多くが、2getherを始めとする、タイドラマがきっかけでタイ語に興味を持った人たちです。


タイドラマを見てタイの俳優さんのファンになって、俳優さんのSNSなどをフォローするようになって、それで、「もっとタイ語を知りたい!」と考える人が増えた、

ということです。


当時、日本でタイ語のオンライン教材を作っている人はほとんどいなかったので、
タイ語に興味を持った人の多くが、うちの講座に来てくれたんです。

あのときは、本当に嬉しかったですね。


● 伝説のタイ航空コマーシャル


タイ語ブームで生徒が増えて、僕は本当に嬉しかったんですが、
1つ、すごく不思議なことがありました

それは、なぜ2getherだけが、タイ語学習者の急増につながったのか、ということです。

実は、これまでからも、タイのコンテンツが日本でヒットしたことは、何度もありました。


例えば、

日本のスターの長瀬智也君が出演していた、タイ航空のコマーシャルです。

この時のキャッチコピーは、「若いうちはタイに行け」。

まさしく、伝説のコマーシャルで、おそらく、今の40代以上の日本人の多くは、これをよく覚えていると思います。

「若いうちはタイに行け」というフレーズは、それぐらいインパクトがあった。
多くの人の心に刺さったんです。


長瀬君は日本で大人気のスターですから、この時、日本ではタイに興味を持つ人が本当に増えました。

でも、長瀬くんのおかげで、タイの人気は上がったけれども、タイ語学習者の増加には繋がらなかったんです。

タイに興味を持つ人が増えても、タイ語を学ぶ人は増えない。

日本では、この状態が20年以上も続きます。


例えば、

以前タイで、オカマちゃんのバレーボールの映画がありました。

สตรีเหล็กという映画で、日本でも大ヒットしました。

しかし、สตรีเหล็กを見る人は増えても、タイ語学習者は増えなかった。


● BNK48が大ヒット


そして、2017年、

タイのアイドルグループ、
BNK48が大ヒットしました

BNKは、日本のテレビにも出演しましたから、当時は日本でもBNKのファンはかなり多かったと思います。

実際、僕のところにも、「BNKがきっかけでタイ語を学びました」という人がちらほら来てくれるようにはなりました。

しかし、それでも、学習者が急増したというほどではなかった。


このように、タイのコンテンツ自体は、これまでからも、決して弱くはなかったんです。
日本では、ちょくちょくヒットしている。

しかしタイのコンテンツがいくらヒットしても、
タイ語の学習者はそれほど増えない、という状況が、ずっと続いていました。


この状況を変えたのが、2020年のタイドラマ、2getherです。

2getherのファンが増えるのに比例して、タイ語学習者の数も増えていきました。


また2getherのヒットをきっかけにして、他のタイドラマも、どんどん日本で見られるようになりました。

すると、ますます、タイドラマのファンが増えて、新しいファンがまたタイ語を学習する、という感じで、タイ語ブームが、より定着していったのだと思います。


● SNS


またTwitterやInstagramなどのSNSの存在も大きいと思います。

昔は、俳優さんとファンが直接つながるなんてことは考えられなかったんですが、今はSNSを通じて、俳優さんのつぶやきや画像などを毎日チェックすることができます。

ドラマのファンになった人は、俳優さんのSNSもフォローします。

そうするとファンは、俳優さんのツイートを毎日見ることができるようになりますから、ファンにとってはとても嬉しいことですよね。


しかし、タイ語から日本語へのグーグル翻訳は、精度があまり高くありません。

そうなるとせっかくの俳優さんのツイートが見れても、翻訳の精度が低いと、正しく読めないということになります。

そこで、

「俳優さんのツイートを読めるようになりたい」「俳優さんの投稿を直接理解したい」

という理由から、タイ語の勉強を始める、というケースも、かなり多かったと思います。


● 女子が多い


今回のタイ語ブームの最大の特徴の一つは、女性の学習者が多いことです。

これは、現在日本でヒットしているタイドラマの多くが、女性をターゲットにしているからですが、

もしも、これが男性向けのコンテンツで、男性のファンだけが増えている状況だったら、どうなっていたでしょうか。

おそらく、これほどのタイ語ブームにはなっていなかったと思います

なぜなら、女性には自分が良いと思ったものを友達にも勧めて、友達を誘うという特性があるからです。

これは、女性特有の行動です。


つまり、タイドラマを好きになってタイ語を学び始めた女性は、自分の友達にもタイ語を勧めるケースが多い、ということです

こうして、学習者の友達、またその友達がタイ語を学んでいくことで、タイ語ブームがどんどん加速していくわけです。


しかし、男性だとこうはいかない。

男性の多くは、自分がいいと思っても、それを特に人に勧めたりしないからです。

僕の生徒も、女性は割と「友人の紹介で」と言ってくれる人が多いんですが、男性でそのような挨拶をする人は、めったに見たことがありません。


なので、タイ語ブームとは言っても、じつは、男性学習者の増加率は、これまでとほとんど変わっていないと思います。

現在のタイ語ブームの担い手は、完全に女性がメインで、女性の学習者が、ずっと増え続けている、ということです。


● 年齢層


また、日本では、タイドラマのファンの年齢層が幅広い、という特徴もあります。

タイでは、俳優さんのイベントとかへ行くと、わりと若いお客さんが多い印象があります。

つまりタイでは、BLドラマのブームは、どちらかというと若者を中心とした流行、という感じです。


しかし、これに対し、日本のタイドラマのファンは、年齢層がかなり幅広い。

若者だけでなく、40代50代のファンの人も大勢います。

これはおそらく、日本では、かなり昔から推し活の文化が根付いているからだと思います。

今回のタイドラマのブームも、日本では、若者の間だけの流行りではなく、
40代50代のファンの人たちも、若い人と同じように推し活に加わって、ブームの担い手になっています。

結果的に、タイ語も、幅広い年齢層の人に学ばれるようになった、ということです


● まとめ


タイ語ブームについての話は、以上です

このテーマは実はすごく深いテーマで、今回お話しした以外にも、様々な要因があります。

たとえば、タイのBL映画のミウの歌(Love of Siam)や、日本のBLドラマ、「おっさんずラブ」の存在なども、重要なファクターですが、今回は、時間の都合で省略しました。


そういった細かい要素をいったん置いておいて、大まかな流れをまとめると、次のようになると思います。

1.
2getherがヒットした

2.
タイの俳優さんのファンが増え、俳優さんのSNSをフォローするようになった

3.
俳優さんの言葉を知りたい、タイ語のSNSを読みたい、という思いから、タイ語を学習者が増えた

4.
ドラマはその後も観られ続け、新規のファンが増え続ける

5.
ファンの多くは女性なので、友人をタイ語に誘うことが多く、学習者がどんどん増えていった

・・・と、こんな感じになるかと思います。


とにかく、今の日本は、歴史始まって以来の最大のタイ語ブームなので、日本とタイはより一層、距離が近くなっていくと思います。

これからも、タイの皆さんには、日本のタイ語ブームを温かく見守っていただければと思います

以上です、ありがとうございました!!


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