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2026年W杯アジア2次予選 グループC第6節 タイ対シンガポール観戦記


まえがき


どうも、きーきあっです。

このまえがきは試合の前日の夜に書いているのですが、今から緊張というか、期待と不安でもうドキドキが止まりません。
というか、ここ数日この試合のことばかり考えています。

よく考えてみると、W杯アジア予選でこんな気持ちになるのはもう随分と前なんじゃないかなと。
いや、本当にヤバいかも、W杯に行けないかもって不安になったのは、日本が初出場を果たした98年のフランスワールドカップ大会以来じゃないかと。

しかし、日本が強くなったのとW杯のアジア枠が広がったのとで、日本がW杯に出場できないかもって心配することはもう一生ないでしょう。

今の若い人たちはW杯は出て当たり前、本戦からが勝負と思いながら日本代表を見ているわけで、我々の年代からしてみたら何とも信じられない気持ちでいっぱいです。
まあ、僕達よりも上の人達からしてみたら、W杯に日本が出場していること自体が驚きなんでしょうけど。

と、話は逸れましたが、僕がドキドキしているのは日本代表ではなく、タイ代表についてです。

2026年W杯2次予選、タイはC組に入り、同じ組には韓国、中国、シンガポールがいます。
5試合を消化した時点で、タイは1勝2敗2分けの勝ち点5。現在3位につけています。
3次予選に進めるのはグループの2位までですから、このままでは2次予選敗退です。

しかし!2位の中国とは勝ち点3差、そしてその中国の最終節の相手は韓国。しかもアウェイでの対戦となります。

一方タイはというと、最終節はホームで最下位のシンガポールとの対戦。

もし中国が韓国に敗れ、タイがシンガポールに勝つと勝ち点8で並びます。
あとは得失点差になるのですが、現時点では3差です。
単純に言うと、中国が韓国に2点差で敗れ、タイがシンガポールに2点差をつけて勝てば、逆転で2位に滑り込み、3次予選突破となります。

とはいえ、韓国は既に1位での突破を決めていますし、無理に勝ちにこないのでは?メンバーを落とすのでは?
そんな事を思う人もいるかもしれません。

しかし、韓国はこの試合を全力で勝ちに行かなければならない理由があります。
それはFIFAランキングが関係してきます。
というのも、現在韓国は日本、イランに次いでアジア3位。4位のオーストラリアとのポイント差はわずか。
もし最終節に韓国が引き分けたり負けたりし、オーストラリアが勝つと、3位と4位が入れ替わります。

FIFAランキングなんてどうでもいいんじゃない?そう思った人はここからをよく読んでください。

3次予選は3つのグループに分かれて戦うのですが、ここでFIFAランキングでアジア1~3位の国は自動的にポット1に入ります。
ここで韓国が3位になれば、日本とイランと別のグループに入ります。
しかし4位になってしまうと、ポット2となり、抽選の結果次第では日本やイランと同組になってしまう可能性があるわけです。

韓国がW杯本戦に出場するためには、当然日本やイランとは別組に入りたいはずですから、そりゃあポット1位を狙いにいくわけで。
そうなると、最終節は何としても勝たなければいけないって話です。
しかもホームですしね。あと中国ともあまり仲がよろしくないですし。

さて、そんな韓国の助けが必要ではありますが、タイも当然シンガポールに出来るだけ点差をつけて勝たなければなりません。
せっかく韓国が中国に勝っても、タイが勝たなければ意味がないです。
という訳で今回は、

2026年W杯アジア2次予選 グループC第6節 タイ対シンガポール

の観戦記です!

ここまでW杯2次予選はホームで2試合行っていますがいずれも敗戦。
最終節こそ勝って、そして3次予選へ進みたいところ。

果たしてこの後の観戦記はどんなテンションで書いているのか。
この時点では分かりません。

どうかノリノリで書いていますように!

スタジアムへGO!


軽く腹ごしらえをしてから、ラジャマンガラスタジアムへと向かいました。
この日もチケットは完売。まだキックオフまで時間はありますが、スタジアム周辺は凄い人でした。

スタジアム周辺にはたくさんの屋台が並んでいました。
食事を済ませてきたのが惜しまれます。

屋台だけでなく、このような撮影スポットもいくつかありました。
写真大好きなタイ人には欠かせませんね。

そんな賑やかなところを素通りし、スタジアムへと向かいます。

前回は少し遅めに行ったため、スタンド上層部に座る羽目になったので、少しでも早く、少しでも良い席に座りたいのでタイ代表ユニフォームのサプライヤー、WARRIXのブースも素通り。

こちらが入場ゲートです。

ラジャマンガラスタジアムです。

入場ゲートでプレーヤーカードを渡されます。
僕が受け取ったのはティティパン。
以前大分トリニータでプレーした事もありますが、現在はバンコク・ユナイテッドでプレーしています。
って、今回ティティパンは代表に選ばれていません。それなのに何故ティティパン・・・。

それはさておき、今回びっくりしたのは、入場ゲートを抜けた後に売店が並んでいたこと。

今まではスタジアムの中にドリンクの売店があるだけだったのですが、ドリンクだけでなくピザや韓国風フライドチキンなどが売っていました。

お陰でスタジアムの中のドリンク売り場に行列はできておらず、水もスムーズに買うことができました。

いざ、観戦!

さっそくスタジアムの中に入りました。
今回もメインスタンド上部に陣取ります。

前回の韓国戦よりも早い時間に着いたので、前回よりは良い席に座れましたが、それでも上の方になりました。

それではここで、きーきあっ式タイ代表のスタメン紹介です。

まずはGK。1番パティワット。バンコク・ユナイテッド所属。
今シーズン、リーグ最少失点となったバンコク・ユナイテッドの守護神です。
派手さはないものの堅実なプレーが特徴的。

右サイドバックは21番スパナン。ポートFC所属。
レギュラーの座を掴んだミケルソンが負傷し代表から外れたことでスタメンのチャンスが回ってきました。

守備は少し不安がありますが、それを補って余りある攻撃力が武器。

左サイドバックは3番ティーラトン。ブリーラム・ユナイテッド所属。
ご存知ブンちゃん。タイ代表のキャプテンです。

視野の広さと正確な左足から放たれるパスやクロスは健在ですが、スピードなどフィジカルは少し落ちてきた感があります。
個人的にはサイドバックよりもボランチの方が良い気がしますが・・・。

センターバックは4番エリアス。バリ・ユナイテッド所属。
スウェーデン生まれで196cmの長身を誇ります。

恵まれた体格を活かした堅実な守備・・・とは言い難く、タールア時代からポカが多かった選手です。
それでもどうしても期待しちゃう選手です。

もう1人のセンターバック、5番クリサダ。BGパトゥム・ユナイテッド所属。
タイ代表No.1の悪人顔。ただ、顔に似合わず意外とテクニシャン。

先日の中国戦ではペナルティーエリアでハンドの反則を犯し、苦笑いの後にこの世の終わりみたいな顔をしていましたが、相手選手がPKを外した時にはホッとした笑顔を見せていました。
ちなみに、笑うと意外とかわいいです。

ボランチは6番サラー。BGパトゥム・ユナイテッド所属。
いぶし銀という言葉がピッタリの選手。
中盤で非常に「効いた」プレーをしてくれます。
そんなサラーも気が付けばもう32歳。これが最後のワールドカップになるのか?

ボランチのもう1人、22番ウィーラテップ。バンコク・ユナイテッド所属。
恵まれた体格と左足から繰り出す長短のパスが武器。

・・・なんですが、今シーズン途中でムアントンからバンコク・ユナイテッドに電撃移籍をしサポーターを驚かせたものの、残念ながらプレーでは移籍のニュース以上の驚きを見せられませんでした。

というか、だんだんスケールが小さくなっていってるというか、思い描いていた成長曲線から大きく下回っているというか・・・。
今シーズンのムアントンのユニには彼の名前と背番号をマーキングしたくらい好きな選手なだけに、そこが非常に歯痒いです。

トップ下には18番チャナティップ。BGパトゥム・ユナイテッド所属。
日本のサッカーファンにもお馴染みのチャナティップです。
今シーズンからタイリーグに復帰しましたが、完全復活とは言い難い活躍でした。

それでもところどころでさすがだと思わせるプレーを見せてくれました。
あの輝いていた頃のプレーを代表でも見せてほしいです。

右ウイングは17番スパナット。OHルーヴェン(ベルギー)所属。
将来のタイ代表のエースです。
今シーズン途中からベルギーリーグに移籍したのですが、まず思ったのが身体が一回り大きくなったということ。

身長は173cmとそれほど大きくないのですが、身体の厚みが全然違う気がします。
このままタイ代表を引っ張る存在になってほしいです。
ちなみにこの後紹介するスパチョークの弟です。

左ウイングは7番スパチョーク。北海道コンサドーレ札幌所属。
コンササポの皆さん、あなた達のスパチョークですよ。
札幌ではどうなんでしょう?人気はありますか?

彼もJリーグでプレーするようになってから、フィジカルが強くなりました。それにプレーにも自信や余裕が見られます。
この調子で更に素晴らしい選手に育ててください。

そしてトップは9番スパチャイ。ブリーラム・ユナイテッド所属。
今シーズンのT1(タイの1部リーグ)得点王です。

シュート、ラストパス、ポストプレーと全て高いレベルでこなす万能型FWです。
リーグ戦のようなプレーをこの試合でも見せてほしい!

以上、きーきあっ式タイ代表スタメン紹介でした。
それともう1人紹介しなければいけません。

タイ代表を率いる石井正忠監督です。
このW杯2次予選の第2節が終わったタイミングで代表監督の座に就くと、アジアカップではベスト16に入り、そしてこの2次予選もここまで3位と予選突破の可能性を残し最終節を迎えました。

石井監督が紹介された際に、タイのサポーターから選手に負けないくらいの拍手と声援が送られたのが、彼らに支持されている何よりの証拠。

この声援を聞いた時は本当嬉しくて涙が出そうになりました。

さて、両チームの選手が入場してきました。

タイの国歌斉唱の際には、両ゴール裏とバックスタンドから巨大な国旗が登場しました。

更に国旗の後にはこんなビッグフラッグも出してました。

さあ、キックオフです!

この時点で韓国対中国戦が1-0で韓国の勝利に終わっています。
つまりこの試合、タイは3点差以上の勝利で3次予選突破が決まります。

何としても早いうちに先制点が欲しいタイですが、攻めはするものの決定力を欠き、イライラが募ります。
そんな中でようやく先制点。左サイドのグラウンダーを17番スパナットがうまく合わせゴール。

これにはスタンドも大盛り上がり!

その後にも何度もチャンスが訪れますが、追加点を奪うことができずそのまま1-0でハーフタイムを迎えました。

願わくばもう1点欲しかったところですが、ここまでは悪くないです。

さあ運命の後半。残り45分でなんとしても2点以上取らなければ終わります。

前半同様タイはシンガポールのゴールへと襲い掛かりますが、何度も何度も決定的チャンスを逃してしまいます。

そんな事をしている間にシンガポールのカウンターが徐々にハマり出します。
そしてそんな57分、シンガポールに得点が生まれます。
決めたのは9番イクサン・ファンディです。
皮肉にも彼はBGパトゥム・ユナイテッドでプレーする選手なんです。

タールアも彼にはよくゴールを決められるのでとっても憎い選手なのですが、まさかこんなところでも決めてしまうとは。

この日の入場者数は39,404人。
チケット完売のはずなのに5万人収容のスタジアムで4万人を切っているのはきっとダフ屋のせい。

残り30分で3点を取らなければならなくなりましたが、ここから意地を見せます。
まず11番ポラメットが左サイドから、素晴らしいシュートを決めると、続いては13番ジャルンサックもゴールを奪いました。
ちなみに2人とも途中出場でどちらもムアントン所属の選手です。
今シーズン後半絶好調だったムアントンの勢いそのままに2人が決め、これで3-1。あと1点です。

その後も猛攻を仕掛け、あわやというシーンが何度もありながら、あと1ゴールが遠く・・・。
結局3-1で試合終了。タイ代表は1点に泣き、2次予選敗退となりました。

試合の感想なぞ・・・

試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、選手に向かってサポーターは拍手をしたんです。
ブーイングは全く聞こえませんでした。

恐らくなんですけど、この結果だったら、多くの国のサポーターはブーイングを浴びせると思うんですよね。
それが良いかどうかは別として。それがサポーターの感情だと思うんです。

でもタイのサポーターは違うんですよ。これは代表の試合に限らず、クラブの試合でも同じです。

この光景を見て、タイに住み始めた頃だったら
『何てぬるいサポーターなんだ。こんなんだから予選突破できないんだよ。』
そう思ってしまっていたでしょう。

いや、今でも若干その思いはあります。それはちょっと優しすぎませんかって。
でもその一方で、それがタイのサポーターなんだ、それがタイのサポーターの良さなんだっていう理解もあります。
そしてそのまま変わらずにタイも強くなっていったら素晴らしいなあって思っています。

その一方で僕はというと、試合が終わった瞬間は放心状態となりましたし、帰り道も悔しくて悲しくてもうどうしようもない気持ちになりました。
そしてこの記事を書いている試合翌日の現在でも、どんよりした気持ちは収まりません。

今年の1月にカタールで日本がイラクに敗れた試合を観戦したのですが、その時もショックだったものの、ここまで落ち込むことはありませんでしたし、その後帰って来てから自宅のテレビで観たイランに敗れた試合の時も悔しいし怒りもありましたが、ここまでではありませんでした。

W杯予選でこんな沈んだ気持ちになったのは、ドーハの悲劇まで遡らないとないんじゃないかな。
って、あれはもう30年以上前じゃん。

それだけタイ代表を真剣に応援しているってことですし、3次予選突破を本気で信じていたってことです。

でもこれがサッカーなんです。サッカーを観ている以上、こういう思いは代表でも応援するクラブでもいくらでも味わうことになるんですよね。
だからこそ勝った時、タイトルを勝ち取った時の喜びは大きいってことです。
分かってます。分かっているんです。だけど・・・。

と、愚痴や嘆きはこのくらいにしておきまして、冷静に振り返るとやはりタイの勝負弱さ、修羅場をくぐり抜けてきたという経験値の少なさがここにきて露呈したってことですね。

本当に数えきれないくらい決定的なチャンスがありましたし、普段だったら決めていただろうなって思いますが、それを決められないところに焦りやプレッシャーがあったんでしょう。

日本代表のドーハの悲劇のように、この試合を糧にし、これから更に強いタイ代表になってもらいたいし、そうしないとこの敗戦が無駄になってしまいます。

まずは今年の11月に東南アジア最強を決める三菱電機カップがありますから、そこでの優勝をノルマにしてほしいです。

その三菱電機カップですが、個人的にはチャナティップ、ティーラシン、ティーラトンといったベテラン組は代表から退いてもらい、次のアジアカップ、W杯予選に備え若手を抜擢してほしいと思っています。
上に挙げた3人は正直この日も良いプレーをしたとは言えませんし、もう彼らにいつまでも頼っていられないと思います。

それと、この敗退を理由にまさかとは思いますが石井監督解任とかならないですよね。

協会が石井さんに責任を押し付け知らん顔をしないことを願ってます。
そもそも初戦で中国に負けたのが一番の原因だと思ってますし、もっと早く動いて最初から石井さんが監督になっていれば変わったかもしれませんし。
まあ、日本人ということで贔屓目はあるかもしれませんけども。

とにかく、石井さんが続投になった際にも、協会は余計な口出しをせず出来る限り石井さんのやりやすい環境を整えてほしいです。
余計な口出しは厳禁ですよ。マダム・ペーンとネーウィンさん。

ということで、日本がシリアに5-0で勝ったことなんてどうでもいい(いや嬉しいですけども)って思ってしまうくらいショックが大きいですが、それでもタイ代表をこれからも応援していきます。

そして次のW杯こそ出場を果たしてほしいです。そのために代表もクラブも観続けていきます。

頑張れ、タイ代表!

以上、きーきあっがお伝えしました。
それではまたまた!





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