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フジロックコンプレックス

フジロックに行けない人が感じる謎のコンプレックスの事である。
フジロックも今や世界のフェスに倣いYoutubeで中継が見れる。
ネット環境と時間があれば誰でも参加できるフェスになった。

フジロックなんて見てない」「フジロックの中継なんて見てる時間が無い」「フジロックに行けなくてごめんなさい」なんてツイートをする時間があるのならば中継を数分、数秒見る事が出来ると言うわけだ。

では何故こんなネガティブなツイートをしてしまう人が居るのだろうか?

それは30代~40代が感じている強烈なフジロックと言うフェスに対してのコンプレックスが原因である。
(本当にお金が無いとか休みが取れない若い世代は別として。)

フジロックが始まった当初は「音楽好きなのにフジロックに行かないの?(笑)」と言う風潮が実際にあった。
今でこそ騒がれるが、マウンティングなんて20年前から存在してる。
個人差はあるにせよ当時の30~40代はまだ10代後半~20代前半でチケットは高額だしバイトは3日間休まないといけないし、それなりのハードルがあり、フェス自体の敷居がかなり高かった。
高額なチケットが買えず、裏から忍び込むなんて人も居たくらいだ。かつてはそこまで観たいものだったとも言える。

何れにせよ、今30~40のそれなりに生活も安定したおじさんが有給とって金土日でフェス行ってきま~す!と言う状況と比較すると当時の方が遥かにハードルが高いのは間違いない。

ラインナップに関しては好みの問題ではあるが、基本的には大手メディアの情報を追っている人が行くものであり、普通の人が楽しめるものである事は間違い無い。

逆に批判的な人々が近々の海外インディのトレンドを追っているかと言われると全くそうでも無いのだ。
寧ろ僕の周りに居るレコード屋さんで海外インディものを収集してる人はフジにも行ってるし楽しめている。

では何故、チケット代も買う経済力と安定した生活もあり、ラインナップも概ね不満を感じるものでは無いにも関わらず、わざわざ参加しない事を自己肯定するような発言をしたり、参加する人を批判する人達が居るのだろうか?

それこそが20年近くの時代と環境の変化と自身の成長の均整が取れない事により生じるコンプレックスなのでは無いだろうかと僕は思う。

先述したように、今は金が無いから忍び込むまでの熱狂的なファンが居ないフェスになってしまった事で、相対的にフジロックの価値が下がったと感じる人、また30歳を過ぎたおじさんになってもライブハウスでならバンドマンを続けられるようになった昨今、自分に余裕が出た事でフジロックへただ一般人として参加するのが嫌と言う人がちょこちょこ居る事も大きいだろう。
こればかりは世間知らずと言うか、残念だが救いようが無い。

とりわけ、特殊な例を除いて多くのコンプレックスを抱えた人達はまだ心のどこかでは自分が10代、20代だと思っているのだ。
普段は音楽の話題をツイート、話をしてるのにどうしてフジロックに行かないんですか?と突っ込まれる事に恐怖と罪悪感を感じるのだろう。

ここで、丁度20年前の1999年のフジのラインナップを見てみよう。

どうだろうか?コンプレックスを持ってる人達は今でもこれらのアーティストの話をしていないだろうか?

さらに1999年から20年遡った洋楽と邦楽のヒット曲がこちら

洋楽
My Sharona / The Knack
Bad Girls / Donna Summer
Le Freak / Chic
Da Ya Think I'm Sexy? / Rod Stewart
Reunited / Peaches & Herb
I Will Survive / Gloria Gaynor
Hot Stuff / Donna Summer
Y.M.C.A. / Village People
Ring My Bell / Anita Ward
Sad Eyes / Robert John
邦楽
渥美二郎『夢追い酒』
ジュディ・オング『魅せられて』
小林幸子『おもいで酒』
さだまさし『関白宣言』
千昌夫『北国の春』
ゴダイゴ『ガンダーラ』
西城秀樹『YOUNG MAN (Y.M.C.A.)』
アリス『チャンピオン』
牧村三枝子『みちづれ』
ピンク・レディー『カメレオン・アーミー』

僕の記憶では1999年に1979年のヒット曲の話をしていた人は居ない。(笑)

そして、特にこの頃の10代20代には年を重ねれば自然とジャズに興味を持つようになって渋い感じになるのだろうなと言う謎の幻想があった気がする。
しかし現実はそうはならないのだ。
何故ならばその世代で言うおじさんはただ「ジャズと言うブーム」を通過しただけで、自分にとってブリットポップ、ベヴィーロック、メロコアやトランスがジャズに相当するものと言う事に全く気が付いていないのである。

つまり、もう20年も経ったのだから、世間の空気感も違い、好きだったアーティストも年を取った。今のフジロックに興味が無くなっても当然なのである。
自分よりも若いバンドが出演しているのは当たり前。何が良いのか理解出来ないバンドが出ていても当たり前と言う現実を受け止めて、あの頃の呪縛から時離れたはどうだろう。
参加云々、話についていけない云々をごちゃごちゃ考えずに、この時期になったら純粋にあの頃好きだった音楽を楽しむ時間にする事を僕は提案する。


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