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「一期一会」4年 鵜養修平

茜紹介ありがとう!
茜はとても親しみやすかった。お互い、いじられ者同士だし。
実習もそうだし、練習前後で他愛もない話をするのがとても楽しかったです!これからもオオカミシリーズ見ましょう!
4年間お疲れ様!蹴球部を支えてくれてありがとう!


本日の卒業ダイアリーを担当します、4年SBの鵜養修平です。
4年間、部員ブログ係として活動してきましたが、卒業ダイアリーを載せる側から載せられる側になったことに、時の流れの早さを強く感じています。

本日からトップチーム11名のダイアリーが始まりますので、是非ご覧になってください。


それでは、卒業ダイアリーを書きます。
Bチームのみんな、スタッフのみんなのダイアリーを読んで、今まで知らなかったみんなの苦悩や葛藤を知ることができ、とても感動しました。ありのままの自分、素直な自分の思いを綴るのが良いと改めて思ったので、包み隠さず本音を書きたいと思います。多少言い方が悪いところもあるかもしれないので、先に謝罪しておきます。




2021年10月30日、関東リーグ最終節、中央大学戦。

この試合を、今シーズンのベストゲームに挙げる人は多いのではないだろうか。また、4年間でこの試合が1番印象に残ったという同期のみんなも沢山いた。

3位になるために、他会場の結果が全て上手くいった上で、勝利がする必要があったこの試合。有観客で多くの方々が見つめる中、最後はアディショナルタイムに劇的決勝点。奇跡の参入プレーオフ進出が決まった。

いつぶりかも忘れるくらい、久しぶりにビバ学芸をやって、みんなが笑顔に包まれていた。

学芸に関わる人で、誰一人としてネガティブな感情を持った人はいなかっただろう。

多分、僕以外で。

この試合の20人のメンバーに入れなかった僕は、試合前日に事実上の引退を受け入れ、スタンドから試合を観戦していた。

この試合後の僕の本音は、「嬉しさ」よりも「悔しさ」や「辛さ」といった、ネガティブなものだった。

お前チーム愛無くない?って思われるかもしれないけど、これが本音だった。

普通なら、チームが勝ったこと、プレーオフに進むことができたことに喜ぶだろう。劇的な展開に痺れるだろう。そして、長く辛いリハビリを乗り越えて大怪我から復帰したあらこうのアシストから、ずっと一緒にトレーニングを積んできたテツがゴールを決めたことに対して感動するだろう。でも素直に心の底からは喜べなかった。いや、正直全然喜べなかった。

嬉しさも少しはあった。ただ、悔しさとか辛さの方が圧倒的に勝ってしまったのが本音。

ピッチの上で輝くみんなが羨ましかったし、そこに何も関われない自分が情けなくてたまらなかった。悔しかった。今までの努力が報われるみんなと、報われない自分。理想と現実。目の前に映し出される、この明らかな差。今までの待遇や扱いの差。苛立ち、嫉妬、葛藤。もちろん実力不足なのは分かっていたけど。思えばずっとこんなことばかり考えていた。毎日が挫折で、心の底からサッカーを楽しめたことなんてなかった。苦しすぎたし辛すぎた。

この試合が、ある意味僕の大学サッカーを象徴していた。

あらこうはこの試合の前の第21節、日体大戦からベンチ入りした。こんなこと誰も気にしてないと思うけど、あらこうが帰ってきたことでベンチ外に追いやられたのは僕だ。確かにあらこうはスーパーな選手で、何の文句もない。すごいよあらこう。でも、コンディションが万全ではなく、実戦から2年ほど離れていたあらこうに、あっさりと負けてしまう自分の無力さ。今までの積み重ねは何だったのか。

中大戦の後、「復活のアラドーナ」の横断幕
を掲げてみんなで写真を撮った。笑顔を作るのが大変だった。

そして何より辛かったのが、あと1ヶ月、燃え尽きかけた僕が勝ち目のない勝負(スタメン奪取)をしなければいけないことだった。勿論100%の力でプレーするし、後悔だけはしたくなかった。でもこの1ヶ月でいくら良いプレーをしようと、信頼されていない僕が1ヶ月後の参入戦に出れるはずがないと思ってしまっていた。1番頼るべき自分自身を信じることができなくなるくらい、心はボロボロだった。情けない。

みんなの力によって、引退が1ヶ月延びることになった。
その翌日にはすでに試合が組まれており、どのようにこの1ヶ月を終えようかなんて考える暇も無く、ラスト1ヶ月が始まった。




でも、ラスト1ヶ月をやり終えた今、この1ヶ月があって良かったなと素直に思える。

中大戦の次の日、ジュニアリーグで遅すぎる大学サッカー初ゴールを決めた。それも、サイドから中央に侵入していって。上下動しかできなかった僕らしからぬゴールだった。ポコナイス落としだった。試合には負けた。監督からはいつも通りしっかり怒られた。でも、やっぱりサッカー最高じゃん、ゴール決めるの最高じゃんって思った。あと1ヶ月やりきろうと誓った。

その次の週の練習試合では、スタメン組の同期と一緒にプレーすることができた。将や一翔、稜太はいなかったけど、貴重な時間だった。みんなとプレーするのは楽しかったし、上手い人とプレーすると自分も少し上手くなっている気がして尚更楽しかった。でも本音はもっと一緒にやりたかった。実力不足だから仕方ないけど。

参入戦前、最後の試合は新人戦に出た。これからの学芸を背負うみんなと一緒にプレーすることができた。苦しい時に支え合ってきた諒也のゴールは最高に嬉しかった。ラストシーズン本当に頑張れ。真鍋も。そして、この試合でも僕らしからぬインナーラップから竹内のゴールをアシストすることができた。竹内はワンツーを返してくれなかったけど、素晴らしいゴールだったから許そうかな。でも渾身の左足クロスを外した五十嵐功は許しません。結果的に引退試合となったこの試合を3-2の逆転勝利で飾ることができた。とても良い時間だった。少しはプレーの幅も広がったなと実感できた。僕は立場的に下級生とプレーすることが多くて、みんなには沢山迷惑をかけたと思う。ヤスとかコウジとか後ろの選手は特に。でも一緒にプレーできてとても楽しかったです。仲良くしてくれてありがとう。やりやすい雰囲気をつくってくれてありがとう。あと、トキ(一応雄斗もだけど)、練習前に一緒にトイレに行ってくれてありがとう。練習モードに切り替わるスイッチだったし、大切なルーティンだった。


中大に勝って、1ヶ月も大学サッカーが延びたことに、その時は辛いなと思っていたけれど、結局振り返ればそうなって良かったと思えている。中大に勝てていなかったら、この1ヶ月の間に起こった出来事に巡り会えていなかったのだから。ここまで連れてきてくれたみんなに感謝したい。「人生の全てに意味がある」ってよく言うけれど、まさしくそうだなと思う。


2年生の頃、初めて捻挫をした時は、ケアや日々の過ごし方の重要性を学んだ。それからいくつか細かい怪我はしたけど、長期離脱をすることはなくなった。常に良いコンディションでサッカーをすることが当たり前になった。トレーニングメニューやリハビリメニューの考案、コンディションチェックや筋肉量の計測等、多大なるサポートをしてくださったトレーナーの方々には本当に感謝したい。ありがとうございました。


去年からはコロナ禍でとても難しい時期が続いた。でも自分には何が足りないのかを冷静に考える良い機会だった。筋トレを継続できるようになったのもコロナ禍になってから。当たり前の日々がどれだけ恵まれているかに気づいた。


今年は原因不明で手の指を骨折し、人生で初めて手術もした。関東リーグが開幕した直後だったし、落ち込んだ。復帰しようとした矢先にBチームに落ちた。その時は最悪だと思った。悔しさを通り越して呆れていた。でも、2ヶ月弱のBチームでの活動は僕にとって大きな財産になった。試合に出て、本気で嬉しさや悔しさを味わえる喜びを感じることができたから。2試合連続ラストプレーで失点したことも、ピッチにいたからこそ本気で悔しがれた。試合に出られず、勝っても嬉しくない、負けても悔しくない、そんな感情ばかり味わってきた僕にとってはむしろ最高だった。また、今まであまり一緒にプレーできなかった下級生と一緒にプレーできたのも良かった。単純に仲良くなれたのもそうだし、みんなから学ぶことはピッチ内外で多々あった。今でも鮮明に覚えているのは、6月30日水曜日の練習中、ぬるいプレーをした僕に小菅が厳しく指摘してきたことだ。その時、一瞬「お前のミスからやん」って生意気な態度をとっていたけど、他人のミスをミスじゃなくしてこそ僕のあるべき姿だったし、この時の自分が情けない。立場とか学年関係なく、意見を主張できる彼の姿勢は見習うべきものだった。トップの試合で活躍してる姿が見たいな。リクト、ライセイ、ダイ、カッコいいプラシャツ着て頑張って!りんたろう、早く復帰して躍動して!栃木の底上げは任せた!そして何より、Bチームの同期のみんなと久しぶりにサッカーができたのが楽しくてしょうがなかった。創太がいない時には人生で初めてキャプテンマークも巻いた。とにかく濃い時間だった。

トップに戻ってからは、ベンチに入ったり入らなかったりを繰り返した。遠方まで行ってもアップをするだけで、メインは試合後のボトル洗いや片付け。早く来て会場設営をし、みんなの試合を担架の横で見つめることしかできない。緊張感、ワクワク感、充実感がない行き帰りのバスのあまりの退屈さ。これらのことは正直とても辛かった。4年にもなって何をしているんだろうって。でも、ピッチの上で戦う選手はもちろん、文句一つ言わず、当たり前のように仕事をこなしながら、本気で喜び悔しがるマネージャー・トレーナー・学連・審判のみんなを見て、純粋に凄いなと思った。みんなのことを心から尊敬している。その姿を見る度に、もっと頑張らないとって思わされたし、僕にももっとできたことがあったはず。僕もいつかみんなのように、人のために尽力できる人、人の成功や活躍を本気で喜び、失敗や挫折に寄り添える人になりたい。


4年間を振り返って、良くも悪くもいくつかのターニングポイントがあったけど、どれもあって良かったなと思えるし、全てが成長や学びにつながっている。過去の出来事、目の前の出来事は全部、結局のところ繋がっていて、今の自分を形成してくれる価値あるものだと気づいた。


話は戻って、11月27日の参入戦。サッカー人生最後の日。1ヶ月前スタンドにいた僕は、ベンチからこの試合を見つめていた。決して実力で勝ち取ったわけではなく、ヒカルの怪我によるメンバー入りだったけど、試合後、負けて本気で悔しがるみんなを間近で見ることができた。僕も少し涙が出たけど、みんなほどは悔しがれなかった。やっぱりピッチに立った人にしか分からない悔しさがあったと思う。僕自身、最後までピッチに立てなかった悔しさも少しあったが、気持ちは何となくだがスッキリしていた。あれだけ悔しがるみんなの今後がとても輝かしいものになると想像できたから。そして、その悔しささえ味わえない悔しさを最後の最後で強く感じることができたから。

最後運良くベンチ入りできたこと、後一歩で昇格できなかったことにも何かしらの意味があると思っている。それは僕だけの話ではなく、このチーム、このメンバーにとっても。

後半途中でベンチに下がり、試合終了後には誰よりも悔しがっていた音王。正直あんなに悔しがれるのは僕からしたら羨ましいくらい。彼の今後の覚悟や活躍がとても楽しみだし、これ以上ない悔しさを味わった新チームのこれからの躍進にはとても期待している。
健太と柊哉の左サイドは本当に嫌だった。紅白戦は地獄でしかなかった。持ち方も利き足も違う2人と対峙したことで、ちょっとは守備力も向上したかな。数え切れないくらいやられたけど。紅白戦の2本目とかで俺が左サイドに来て健太から逃れたと思ったら、健太も右サイドにポジションチェンジすることがたまにあって、ホント勘弁してくれって思ったりもしたのはここだけの話。健太はJ1。勝手にスプリント回数と走行距離も稼がせてもらった。アピールなんてとてもじゃないけどさせてもらえなかった。2人とも来年は今年以上に活躍してください。
そして、来年からJリーグの舞台で躍動する同期の熱いプレーを見れば、この悔しすぎる敗戦が持つ意味を理解することができるだろう。僕は幸いなことに、多くのJリーガーに囲まれてサッカーをしていたことになる。みんなとの差なんて数え切れないほどあったけど、1番は覚悟だ。もっと上手くなりたい、強くなりたい、サッカーで飯を食っていきたい、這い上がっていきたい、こういった覚悟の差が実力の差そのものだった。シンプルだけど、強い覚悟を持つこと、それを持ち続けることがいかに大変で重要なことかが分かった。みんな本当に頑張れ。僕もみんなくらい悔しがれなかったという悔しさを抱えながら、また新たな道で精進するだけだ。あの試合終了後の冷たい空気感、涙する仲間達の姿、感じた思い、ピッチから見えた景色は一生忘れない。こんなにも素敵な経験をさせていただいた、東京学芸大学蹴球部には本当に感謝している。

この最終戦で味わった悔しい思いはもちろん、この1年、毎日のように怒られて苦しすぎた日々が、「あって良かった」と思える日がいつ来るかなんて分からないし、もしかしたら来ないのかもしれない。でも、今の自分にできることを全力でこなしていたら、きっといつしかその意味が分かるのだと思う。

プレースタイルは真逆だが、僕は中村憲剛さんが大好きだ。プレーはもちろん、人間性も。そんな彼が初めてタイトルを獲ったのはつい4年前だ。あのレベルの選手でさえ、プロ生活を10年以上続けても中々タイトルが獲れなかった。2014年のブラジルW杯のメンバーからも落選した。引退する1年前、39歳の時には前十字靭帯を損傷した。けど、彼の選手キャリアとその後、今の川崎フロンターレを見れば、「人生の全てに意味がある」ことがよく分かる。人生って面白いなと思う。
これから先、どんなことが起ころうと、どんな人に出会おうと、全てに意味があるって思えたら、自信を持って前向きに今を生きていけるはず。

でも、今まで書いたのは決して負け惜しみでも美化でもない。このチームで競争に負け続けたこと、悔しい思いばかりを味わったことは偽りのない事実だ。この悔しさ、屈辱は絶対忘れない。というより忘れちゃいけない。


鹿島アントラーズのクォンスンテ選手。正GKの座を奪われても、スタメンGKの選手へのアドバイス、サポートを欠かさない姿勢。そして、巡ってきた出場の機会で素晴らしいパフォーマンスを発揮。今シーズン、公式戦出場13試合負けなし。
川崎フロンターレのレアンドロダミアン選手。今シーズン23点で得点王。MVP。ライバルであるはずの小林悠選手が活躍したときの満面の笑み。ライバルの活躍すら喜べる人間性。高め合う関係性。
浦和レッズの宇賀神友弥選手。今年は若手の台頭もあり、彼はスタメンを外されるどころか、ベンチにすら入れないこともあった。今年で契約満了も告げられた。それでも先日の天皇杯でスタメンを勝ち取り、ゴールという結果で生き様を示した。
苦しい時に踏ん張る力、他人の活躍を妬むのではなく、共に高め合おうとする姿勢、そして結果で示すカッコ良さ。これらはプロ選手のほんの一例だけど、僕がこの4年間でできなかったこと。逆にだからこそ、苦しい時に踏ん張る大変さ、他人の活躍を心から喜ぶことができる寛大さ、悔しい思いをバネに結果を出す難しさが身に染みて分かる。そして、彼らのような人間を心から尊敬するし、僕もそう在りたいと強く思う。この悔しい経験をそのままにせず、今後の人生で常に持ち続け、いつか「この経験があったから」と言えるようにしたい。


あと、このブログが書き終わって更新日までの間で、かつてのチームメイトがSNSで文章を綴っていた。彼もまた大怪我を負いながら、苦しいリハビリを乗り越えてピッチの上に戻ってきた強い男。悔しい思いや苦しい経験が今の彼を作っていることが強く伝わってきた。まさに痛み無くして得るものなし。俺もここから頑張ろうと思わされた。この場を借りて、ありがとう。


最後に、僕の1番好きな言葉に「一期一会」という言葉がある。
今までは「人との出会いを大切にする」という意味で好きだった。でもこの言葉には、「ものや出来事との出会いを大切にする」という意味も込められているそう。
この4年間で学んだように、目の前の一つ一つの出会いを大切にし、どれも自分に必要な貴重な出会いだと捉えながら生きていこうと思う。



以上をもって、東京学芸大学蹴球部を卒部させていただきます。本当にありがとうございました。

2021年12月17日 鵜養修平



明日は魔王こと矢口達仁です!
彼とは同じカテゴリーにいることが多くて、一緒に試合に出ることも多かったけど、お互い苦しい思いをすることも多かったです。
一緒にビデオ撮ったり、ドライブあげたりしたのが懐かしい。
そんな彼のダイアリーを1番楽しみにしているのは僕かもしれません。
期待してます!

#紫志尊々  #jufa #大学サッカー

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