修習生向け弁護修習アドバイス1ー予めメモを作るメリット

この記事を投稿する2週間後くらいには71期の実務修習が始まるとのことなので,今回は修習生向けに記事を投稿しようと思います。
今回のテーマは,弁護修習の際に予めメモを作るメリットです。

1.予めメモを作るメリット
弁護士になって私が痛感するのは,「弁護士って,準備がとても大切。」ということです。
私は修習生のとき,弁護修習で起案を一生懸命やっていました。
起案も大事だと思うけれど,私が弁護士になって一番苦しんでいるのは準備です。
裁判官も,メモを作った上で期日に臨んでいる方が散見されます。
修習生の皆様も,打ち合わせや期日に入る前に,予めどんなことをするか,相手がこう来たらどう返すか,を想定してメモを作って臨むと,実務に出た後かなり捗るのではないでしょうか。
知識の整備及び習得というメリットもあるのですが,準備することを今から習慣化することも,弁護士をやる上で大きなメリットだと思います。

2.メモのサンプル
とはいえ,いきなりメモと言われても,どうしたらいいか分からないかもしれません。
一例として,私が刑事事件のときに作っている期日のメモのサンプルを示します。
ただし,これはあくまで私が作ったサンプルです。
もっと有能な弁護士が作った,もっと有能なサンプルがあると思います。
修習先など色々な弁護士から,どういう準備をしているかという情報を集めた方がいいでしょう。

以下は,検察官が余罪に言及してくるであろう事件で1回結審を求めるという架空の事例で,私が作成するであろうメモです。
私なりに,「検察官や裁判官がこう来たらこうしよう。」と考えているのが伝わると幸いです。

・冒頭手続
・罪状認否
  A=間違いありません
  B=公訴事実に争いはありません。

・冒頭陳述
※検察官が余罪について言及していたら,「余罪を立証しようとするものであり,許されない。」と異議出す。

・証拠意見  ※意見書3通持参
 ・乙●号証(調書)につき,322条で請求されたら,「犯罪事実の外についての記載であるから,「不利益な事実」に該当せず,また特に信用すべき情況の下にされたものではないから,要件を満たさない。」と述べる。
 ・乙●号証(前科の判決)につき,323条1号で請求されたら,「323条1号該当性は争わないが,前科の存在は前科調書で足りるから,必要性がない。」と述べる。

・書証取調べ
・弁号証請求
 ・弁●号証については「●●により業務の通常の過程において作成された書面であるといえるので,323条2号で請求します。」と述べる。
・要旨の告知
・AQ
・論告,弁論,最終意見陳述 ※弁論4通持参
 322で供述調書採用されてしまったら,規則207条での排除も求める。

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