星々ワークショップ第6回合評会

星々ワークショップ第6回の合評会に参加しました。テーマに沿った創作を参加者が事前に提出して、当日は感想を述べて投票する集まり。作家のほしおさなえ先生と、編集の森潤也先生の評ももらえる。

合評では、ひとりあたりの持ち時間が4分なので、話しきれなかったことがある。というわけで、ここに書いておこう。公開されてないので、著者とタイトルは伏せて番号にて。うちわっぽいんで、うちわ想定で。

01 : UFO、狐憑き、エコロジカルコレクトネスのような無邪気な非科学的世界と、出産や育児のような眼の前にある現実的世界が、背中合わせになっている。主人公である語り部は境界に立ちつつ、自分自身が対峙する苦悩、諦観、覚悟を感じ取れる。情報の出し方の順番が効果的 - いちどにひとつずつ、謎や解決が提示されていくので、読者としてはついていける。最初のUFOをすぐに回収しつつも、よしこちゃんがどう思ったかは謎のまま、最後まで引っ張っているのが効果的。

02 : ハーフバースデイのプレゼントを軸に、周辺人物の気分を描くのが意外性になっていると思う。本音が出るっていうようになる、ささやかな変化が無理がない。

03 : 何が起こるわけでもなく淡々と進む一方で、海外に行くのは意外としんどいのだというのは説得力がある。最後にベッドルームに入って「キスするのが自然なことのように思えた」のあたりも、いい塩梅だと感じた。

04 : コンビニ店員と客の秘密の関係という設定が、日常的な風景が、意外な関係性を作り出せている。

05 : 幻想的なあっちとこっち側の世界設定が、二面性の根拠として成立している。ーーと「」の使い分けで、心の中の独り言と、体外的な発言を分けているので、分かりやすく、方向がなんとなく分かる。

06 : 無邪気で世間知らずっぽい元気な人に、元気づけられるという安心した設定を使いつつも、東京で夢破れているといる登場人物に説得力があり、爽快感がある。次にやるべきことが見つかるという、未来への希望も。自分から見た世界、自分の秘密をぎりぎりまで語らないのは、一人称を活かせている。動悸が徐々に明らかになる構成が淡々としたスリルになっている。

07 : ぬいぐるみに代理として旅行に行ってもらったら、というコンセプトが面白い。勢いが効いている。

08 : シャワールームが平行世界との連絡経路になっているというコンセプトが、主人公の閉塞感と外部との関わりを表現するのに活きている。一人称語りが、状況に合っていて、「深く詮索しない」という行動と一致している。伏線も活きている。

09 : 魔法世界のこちら側と、科学世界のあちら側の2つの世界。ハーフの子どもがいるというのが、主人公の当事者性になっている。何が起こっているかが分かりやすい。登場人物を出すペース、情報を出すペースがいいだろう。説明っぽいところや、意見表明も、一人称での語りが活きている。「子どもを育てることは、いつかその子を自立させることだ」とかは、ずっしりくる。マリさんや、境界としてのそりつき場を出す順番も、抜群にいい。そりつき場の幻想感も効果的。

10 : 清々しさ、読後感のよさ。主人公の影というか過去のネガティブな体験は明らかにはならないまでも、ずっと影を落としている、それをゆるゆるとながらも乗り越えていける感じ。引っ越しや転職を、人生の転機のきっかけになるっていうコンセプトは、ありがちかも知れないけど、共感しやすい。何が起こっているが分かりやすいのは、ひとり語りが効いているからか。

12 : ふたりの一人称視点で語られることで、もどかしさがアップする。何が起こるわけでもないけど、本人たちの不安が伝わってくる。

13 : 表現が魅力的な、幻想もの。詩っぽい。語り部の記憶がとびまくる感じ。個々の表現は魅力的、川野くんと川野の使い分けとか。

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