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段階的学習構造

脳科学などなかった室町時代初期。世阿弥のことばは凄い!の一言に尽きる。

『風姿花伝』の第一章を、「年来稽古条々」といいます。この本来の趣旨は、年齢に応じた稽古の仕方を示すもので、年齢に応じた対処の仕方や、歳を経ていく自らについて、後世に伝えるものですが、教育者として、親として、どのように子ども(若年者)に対応していったら良いのかという観点や、年齢を経ていくことにも言及しており、世阿弥の教育論、人生論としても示唆に富んだ内容となっています。

幼年期(7歳頃)「能では、7歳ごろから稽古を始める。この年頃の稽古は、自然にやることの中に風情があるので、稽古でも自然に出てくるものを尊重して、子どもの心の赴むくままにさせたほうが良い。良い、悪いとか、厳しく怒ったりすると、やる気をなくしてしまう。」

世阿弥は、親は子どもの自発的な動きに方向性だけを与え、導くのが良いという考え方を示しています。親があまりにも子どもを縛ると、親のコピーを作るだけで、親を超えていく子どもにはなれない、という世阿弥のことばには含蓄があります。

少年前期(12〜13歳より)12〜13歳の少年は、稚児の姿といい、声といい、それだけで幽玄を体現して美しい、と、この年代の少年には、最大級の賛辞を贈っています。しかし、それはその時だけの「時分の花」であり、本当の花ではない。だから、どんなにその時が良いからといって、生涯のことがそこで決まるわけではない、と警告もしています。少年期の華やかな美しさに惑わされることなく、しっかり稽古することが肝心なのです。     世阿弥のことば 7段階の人生論より

バルシューレのコンセプトに「発達段階に即した学習内容であること」がある。

能の世界では約600年前に、子どもにどのように教えればよいか、年齢に応じた対処の方法があることを認識している。子どもの発育には順序がある。つまり発達段階に即した学習をすることは理にかなっているのだ。スポーツを指導する者は、まずこのことの理解を深めて、取り組むと良い思います。

ボールスポーツの段階的学習構造をモデル化したのがバルシューレです。ドイツでの発展構造を図に示したものが下の画像です。一般から専門への各段階の年齢はあくまでも目安となります。それまでにどれだけの運動体験を積んできたかによって、その子どもに適した学習段階は変わります。運動経験が豊富な子どもはスキルの習得が早まるので、小さい時から様々な運動を数多く経験することは重要なのです。

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この構造からも分かるように、日本では学校、スポーツ少年団、競技団体と地域がどのように連携体制を組んでいくのかが大切です。バルシューレに参加した子どもたちが、自分の選んだスポーツを継続的に続けられる環境整備が普及拡大のポイントとなるからです。

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