【自分用】脊髄における触覚刺激による痒みの抑制

2021.12.11 穐山 祐 先生
疼痛学会シンポジウムより


cotton でも細いブラシでもなく、太いブラシでの刺激が、クロロカイン誘発の脊髄ニューロンの発火頻度を減少させた。

では、どのfiberを介しているのか?
触刺激に応答する線維は大きく3つに分類できるが、今回はC-LTMRsVGUT3がマーカー、低閾値機械受容線維)をターゲットに実験を行った。
tdTomatoで標識したマウスを用いると、NFHマーカー)が一部mergeした。
また、次はC-LTMRsにハロロドプシンを発現させ、このニューロンを抑制したときの脊髄ニューロンの応答を調べた。すると、太いブラシによるクロロカイン誘発性の発火頻度の減少は、光を当てることでキャンセルされた。

次はAβ-LTMRsを抑制したときにどうなるか、検討した。
Aβ-LTMRsの特定にはTLR5に注目した。
TLR5はAβに発現していて、アゴニストが結合するとGqなのでなんらかのイオンチャネルを開口させる。
QX-341という局所麻酔薬は普段は透過性が小さいためNaチャネルの結合部位に到達しないが、TLR5により開口されたなんらかのチャネルを通り細胞内に侵入することにより作用を発揮できるようになる。
そこで上記と同様に太いブラシを用いて抑制されるクロロカイン誘発性脊髄ニューロン発火へのQX-314の影響を検討したが、キャンセルされることはなかったため、おそらくこのニューロンは触刺激による痒み抑制には関与していないことが示唆される。

次はVGLUt3+をチャネルロドプシンで活性化させれば、クロロカイン誘発の発火は抑制されるのではないか、検討した。
するとクロロカイン、セロトニン、ヒスタミンにおいて発火頻度は抑制された。また、ビヘイビアーでも掻き動作が抑制されることを確かめた。
しかし、その時の痛みの閾値はvonfrey、hargreavesによって検討したが変化は見られなかった。

ここで生まれてくる疑問は、C-LTMR+ニューロンは掻き動作によって興奮されるのではないかということである。
そこで今度は太いブラシではなく掻き動作様イベントを与えて同様な実験を行った。するとスクラッチで抑制されたクロロカイン誘発脊髄ニューロン発火は、ハロロドで抑制しながらスクラッチを行うと抑制度合いが少し減少した。


よって、このニューロンを活性化させることが出来れば、イッチスクラッチサイクルにおいて掻き動作による皮膚炎の悪化を惹起することなくかゆみを抑制することに繋がる可能性がある。

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