【自分用】一次体性感覚野アストロサイトによるシナプス再編と神経障害性疼痛

2021.12.11 小泉 修一 先生
疼痛学会シンポジウムより


反応性アストロサイトは様々な機能を有するが、それら機能の一つにシナプス再編成がある。

PSL処置を行うと、S1領域のスパインが新しくできたり、逆に消失されることが観察されるようになる。

Kim et AL., J Neurosci, 2011
S1のシナプス再編はPSLによる神経障害性疼痛の主に痛み形成期(0-6 days)で起こる。また、アストロサイトのCa2+シグナルもこの時期に起こる。

そこで、このアストロサイトのカルシウムシグナルが痛みに関係しているか調べた。

Kim et al., J Clin Invest, 2016
Kim et al., GLIA, 2017

このカルシウムシグナルは、IP3受容体のIP3R2を介しているので、それをKOさせたり薬理学的に阻害させてみた。すると、痛みが有意に抑制された。

また、このカルシウムシグナルにより、TSP1を産生することによりアストロサイトがシナプス再編能を有するようになることも見出した。

そこで、次なる疑問はこのカルシウムシグナルを増大させている因子はなんだということである。

Kim et al., J Clin Invest, 2016
Kim et al., GLIA, 2017
Morizawa et al., Nat Commun, 2017
Danjo et al., JEM, under ervision

結果として、mGluR5(グループⅠ、Gq)がS1アストロサイトで発現亢進していることが分かった。

また、これをKOすることでカルシウムシグナルが減少し、TSP1も減少し、シナプス再編も起こらなくなり、アロディニアも消失した。
Sun et al., Science, 2013
mGluR5はアダルトの正常アストロサイトには発現しない

ただ、様々な病態において、mGluR5が再び発現してくることが言われている。


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