【自分用】ストレスとミクログリア
2021.12.11 古屋敷 智之 先生
疼痛学会シンポジウムより
Tanaka et al., J Neuro Sci, 2012
プロスタグランジンE受容体EP1は慢性社会ストレスによる社会忌避行動に必須である。
Nie X et al., Sci Rep, 2019
Shinohara R et al., Mol Psychiatry, 2018
Numa C et al., Sci Rep, 2019
1. 慢性社会ストレスに暴露されると、脳内では神経活動依存的なエンドカンナビノイド(2-AG)が産生される
2. Monoacylglycerol lipaseによる遊離アラキドン酸の産生がされる
3. ミクログリアのcox1によるPGE2産生
4. 抑制性シナプスのEP1活性化によるドパミン細胞の抑制
ただし、脳内のEPを抑制しても抗うつは誘導できるが、不安は抑制できない。
→不安には、末梢におけるEPが関与しているのでは??
また、ストレスがかかった時に脳内ミクログリアがどのように変化しているか調べられている論文はほとんどなかったので、調べることにした。
Nie X, Kitaoka S et al., Neuron, 2018
TLR2/TLR4欠損マウスの前頭前皮質では慢性社会ストレス群で見られていたミクログリアの活性化が見られなくなった。
また、TLR2/TLR4をKDさせるとマウスは社会的忌避行動を示さなくなった。
※今回は詳しく述べていないが、TLR2/4の活性化にはおそらくHMGB1が関わっている
では、ミクログリア活性化のメカニズムはどうなっているのであろうか。
Nie X, Kitaoka S et al., Neuron, 2018
慢性社会ストレスによるミクログリアの活性化は脳領域特異的であった(側坐核では起こっていなかった)
また、急性期では弱くて遅い活性化だったのが、慢性化すると早くて強くなる。
ここで、エピゲノム解析を行った。
すると、ミクログリアの遺伝子発現における脳領域とストレス感受性の選択性は慢性ストレスにより現れることがわかった
また、クラスター解析を行うと、
面白いことに、ストレス感受性に相関している遺伝子発現は、脳領域特異的に変化する遺伝子に存在することが分かった(それまでは脳内の何かのシグナルにストレス感受性の要因があるのではないかと考えていた)脳領域特異的に変化する遺伝子発現にはストレス感受性に対する選択性はなかったことになる。つまり、ストレス感受性をコードしているシグナルとストレスによる脳領域特異性をコードしているシグナルは違うと考えられる。
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