【自分用】Periostin Activation of Integrin Receptors on Sensory Neurons Induces Allergic Itch

Santosh K Mishra et al., Cell Rep, 2020

【Introduction】
・ADのメカニズムは複雑
・重要なサイトカインはIL-4, IL-13, TSLP
・NPPBを発現するDRGニューロンは炎症性のかゆみニューロンであり、ソマトスタチンSST)発現DRGニューロンではほぼ全てがNPPBを分泌
・ペリオスチンは細胞外マトリックスECM)であり、TGF-βやTh2サイトカインであるIL-4, IL-13, などによる様々な刺激後、線維芽細胞上皮細胞内皮細胞から分泌
・ヘテロダイマーであるαvβ3αvβ5αllbβ3に結合する
・皮膚では線維芽細胞はrichなため、ペリオスチンは高度で発現し、表皮真皮結合部で最も強い免疫染色が見られる
・ペリオスチンは、線維芽細胞の分化と移動ケラチノサイトの増殖を促進するため、リモデリングに重要である可能性
・AD患者では皮膚におけるペリオスチンが増加
・ペリオスチンはケラチノサイトにおいてTSLPが促進するTh2サイトカインの分泌を誘導するため、悪循環(ペリオスチン→TSLP→Th2サイトカイン→ペリオスチン)を引き起こし、皮膚リモデリングおよび表皮肥厚形成に寄与する可能性

よってペリオスチンがADによる慢性皮膚病変だけではなく、自身が掻痒を誘発するプレイヤーである仮説を立て、本研究に着手した。
【Results】
・ペリオスチンは痛み行動を引き起こさずに痒み行動を誘発した
・マスト細胞、T細胞・B細胞、T細胞・B細胞・NK細胞欠損マウスではそれぞれペリオスチン誘発性掻痒は起こらなかったので、おそらく直接感覚ニューロンに作用
・インテグリン受容体の各サブユニニットのDRGにおける発現を調べると、αv, β3, β5全て発現していたがSSTと共発現していたのはβ3であったので、SST+ニューロンにおけるペリオスチンのターゲットはαvβ3とした
・カルシウムイメージングを行うと、DRGにおいてTRPA1またはTRPV1アゴニストでカルシウム応答を示した細胞で、ペリオスチンによるカルシウム応答が見られ、細胞外カルシウムを除去するとその応答は消失した
・さらに詳しく解析するために電気生理学的な解析を試みた。SST+DRGニューロンからパッチクランプするとペリオスチンに応答した内向き電流を観測した。
・薬理学的なCa2+流入の阻害について検討した。ペリオスチンに応答したCa2+流入はインテグリン受容体アンタゴニストによってブロックされた。しかし、TRPA1, V1アゴニストによる流入はアンタゴニストによりブロックされなかった。TRPチャネルの活性化はインテグリン受容体の下流であることが言えるだろう。
・TRPV1+ニューロンのβ3を特異的に除去したコンベンショナルKOマウスを作製し、β3とTRPV1の関連性を検証した。このマウスにペリオスチンを注射すると掻き動作はコントロールに比べ減少し、DRGニューロンのカルシウム応答性も減少した。また、ヒスタミン、クロロカイン誘発の掻き動作には変化はなかった。
・TRPV1, TRPA1, TRPV1+TRPV1 KOマウスを作製すると、ペリオスチンに対するカルシウム応答性はほぼ消失した。ペリオスチン誘発の掻き動作も減少したが、完全には抑制されない模様。
・NPPB KOマウスを作製し、同様にペリオスチンを打つと、掻き動作は減少したが、これも完全な消失ではなさそう。
・最後に、ELISAによりTSLPがケラチノサイトのペリオスチン放出を誘導することを確かめた。また、その誘導はSTAT3阻害剤、JAK2阻害剤でキャンセルされる。
・上記の系をvivoで確かめるとTSLPs.c.部位ではペリオスチンおよびpSTAT3の発現増大が見られた。
・MC903塗布モデルマウスの皮膚でもペリオスチンは増加し、TRPV1特異的β3コンベンショナルKOマウスでは表皮肥厚および掻き動作は抑制された。
【Discussion】(一部抜粋)
・NPPBはIL-31および化学物質誘発性のかゆみに関連している。最近の報告では、TRPA1はDRGにおいてNPPBニューロンと共局在していない。 

・放出されたTSLPはオートクリンまたはパラクリンによってケラチノサイトを活性化させる可能性がある

・ヒトに対しては、抗TSLPモノクローナル抗体であるテゼペルマブはAD皮膚病変に対し中程度の効果しか示さないため、ペリオスチンがTSLPによる痒みの主な要因だとすれば、治療薬として代替手段になる可能性がある。


【追記】
・NP3ニューロンは痒みに幅広く関与している。特にリンパ球由来IL-31に感受性があること、HTR2およびHTR7を介したセロトニン作動性の痒みに大きく関与している。そんな中、近年さらにNP3にユニークな痒み因子が同定された。一つはCYSLTR2を介した好塩基球由来LTC4作動性の痒み、そしてもう一つがインテグリン受容体を介したペリオスチンである。

・NPニューロン意外にも、IL7Rα/TSLPRを発現するC線維とTLR5を発現するLTMRを含むサブセットもかゆみを伝える。

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