【はじめに】経験は人に可能性を与える、というお話し。

「知は力なり」という有名な言葉があります。
16世紀〜17世紀にかけて活躍したイギリスの哲学者であるフランシス・ベーコン(美味しそうな名前)の残した言葉で、「実験を通して知識を蓄えることで、いつか自然そのものを支配できる」という意味だそうですが、私はこの「知」とは「経験」と解釈しています。
経験を通して、知った様々な感覚・感情・価値観は何よりも力になると考えているからです。

私は幼い頃から好奇心だけは旺盛で、中学生の将来の夢を考える授業では「少しずついろんな職業を経験したい」と言っていたような気がしますし、47都道府県全ての県に住んでみたいと思っていました。
小学校のときに市のお祭りで見た和太鼓オーケストラがかっこよくて母と妹を無理やり巻き込んで和太鼓を習ってみたり、文化部で人見知りのくせに仲のいい友達に誘われて体育祭の応援団をやったこともあります。

ただ好奇心はあるものの、努力家ではない上に探究心もあまりなかったため「とりあえずやってみよう」という軽い心持ちでチャレンジして大失敗したという経験も数えきれません。
(20歳の時にクラブDJを安請け合いしてDJブースの前に立った時は頭が真っ白になりました…今思い出しても吐きそうです。)


しかし、そんな大失敗の経験も含め「経験したことはどんな良いことも悪いことも自分の財産である」ということに30歳を過ぎたあたりから感じ始めるようになりました。
だって皆さん、全く知識もないくせにろくに練習しないまま盛り上がる観客の前で見様見真似でDJをしたことありますか?ないでしょ?
めちゃくちゃ黒歴史ですが、経験をしたことある私はこの時の心情を事細かく語ることができるので、この経験も立派な財産だと思います。(思うようにしています)



■ 経験が力になると感じたきっかけ


私は先にも書いた通り、好奇心だけは一人前のくせに努力家でもなく探究心もない、その上社会性も欠如しており極め付けに不真面目でした。
努力もせずに「やりたいことだけどやり、好きなように生きたい」と考えていた愚かすぎる学生です。
私が専門学校最終学年の年はリーマンショック真っ只中で、友人が青い顔をしながら就活を進めていく中、私はなにもせず単位ギリギリで卒業し(しかも卒業式までに単位が取れなかったので卒業式当日に卒業証書をもらえないというゴミっぷり。優しい友人が画用紙に私だけの卒業証書を手作りしてくれました)、のらりくらりとアルバイト生活を過ごしていました。


転機が訪れたのは、22歳。


当時アルバイトを始めた雑貨屋が入社2ヶ月で閉店が決まり、その時の店長に「アサイさんはアパレルが向いてると思うよ」と言われたことがきっかけでした。
服飾の専門学校だったのでアパレルにはもちろん興味がありましたが、めちゃくちゃ人見知りですし接客イヤダ…… とクソみたいな理由で迷いましたが、他に興味がわくこともなかったので、極力接客をしなくても良さそうな(しかも楽そうな)イメージのアパレルを選びバイトの面接を受けに行きました。

そこで私は私の人生の価値観を大きく変える上司と出会います。
(※ちなみに、32年ほど生きてきて今までで自分の価値観に大きく影響を与えてくれた方は現時点で3人います。この辺のお話はまた別の機会に。)


さて、話を戻します。
その方は私の3歳年上の女性、レディース部門のフロア長の方でした。私はレディースフロアに配属されたので直属の上司です。

この方がね、怖いんですよ。めちゃくちゃに怖い!!!
これまで甘ったれた生活を送ってきた私には衝撃の厳しさでした。


しかも接客しなくて良いと思って選んだのに、ものすごく接客しろと言われる。
人見知りで今まで店員さんに接客されることを避け続けてきた人生だったのでなんとお客様に声をかけたら良いのかさっぱりわかりません。
しかし個人予算はないものの、全体予算を追わなければならないので接客せざる負えません。迫りくるプレッシャー。出勤するのが憂鬱でした。

この時の私は、お客様に話しかけてどうしたら嫌な気持ちにさせないかわからない、どうやったら買ってくれるかわからない、他の先輩を真似しようにも自分にはあんなコミュニケーション能力はない……。
他の先輩方はどんどん売っていく中声すら満足にかけられなくて途方にくれていた私は、開き直ってローラー作戦を決行することにしました。

ローラー作戦とは。
とりあえずひたすらその日1日お客様に同じ言葉をかけ続け、どんな反応だったかひたすらデータを取っていくのです。
例えば、「よかったらお鏡合わせてみてください」この言葉を必ずファーストアプローチで言う。というかこの言葉しか言わない。
この言葉をかけて何人がどういうリアクションをするか、を休憩中や営業後にノートにまとめていく。これを言葉を変えて何度も何度もやりました。


その結果、どういう人にどういうタイミングでどんな言葉をかければ、お客様が振り向いてくれるのかがわかってきたのです。
上司は成功をきちんと評価してくれる方だったので、経験が自信となりました。

初めて自信がついた私は仕事が楽しくなってきましたし、少しずつこの上司のような人になりたい、と思うようになり、それまでのお気楽アルバイト生活を辞め正社員になることを決めました。アパレル時代の心境の変化などは書くとながーくなってしまうので、またこれも別の機会に。



もしもアパレルで働いていなかったら、
もしも接客ができないと思ってすぐに辞めていたら、
きっと今の私はないと思います。


その時から今で丸10年。
人見知りで「接客をしなくて良さそうだから」と選んだアパレルで働いていた私が、まさか10年後フリーランスで人事・採用のお仕事をしているなんて、想像もつきませんでした。
経験値が増えれば増えるほど、価値観は広がる。「私」という人間が変わったのではなく、経験することで「あぁ、そういうことか」と思えるようになったんだと思います。


■ 「知は力なり」をもっと広めていきたい


経験を得て知る知識や価値観は人の人生を大きく左右します。私は少しでも多くの経験をこれから先もしてみたいし、皆さんにもしてもらいたい。
成功でも失敗でも、良いことも嫌なことも、今まで見えなかったものが見えるようになる。それは必ず自分の糧になるはずです。

今私はあるプロジェクトを進めていこうとしている最中です。
そのプロジェクトの核となるのがこの「経験」というワード。
まだ小さな小さな種ですが、これが芽がでて花が咲き、やがて実となる日が来るように、2021年は精一杯頑張る年にしたいと思います。

このnoteでは私が今まで経験してきた様々なこと(経歴)や、価値観、趣味や特技など自分の履歴書の代わりとして綴っていきたいと思います。
それぞれタグでまとめて見れるようにしていこうと思いますので、興味のある分野だけでも見ていただけると幸いです。そして誰かの何かの気づきになることができれば……こんな嬉しいことはないでしょう。


2021年1月22日(カレーの日)
アサイハルカ


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