辺野古強行(1)/2018年に本土リベラル政治は何をすべきか

 2014年夏に辺野古新基地工事が着手されてから、四年間が経過しようとしている。これまで明らかになってきた新基地建設の無法性も、米軍による度重なる事件・事故も、沖縄県政や運動の抵抗も、この間けっきょくは「国と県の対立」の構図に矮小化され、日本の国民世論を二分する問題とはなってこなかった。なぜだろうか。

 それは、かつて「辺野古是か非か」を国政の争点に押し上げた民主党/民進党系のリベラル勢力が、2010年以降辺野古反対の戦線から完全に脱落してしまい、かつ脱落したままでいるからである。このまま民主党系リベラルが「辺野古反対」から脱落したまま、沖縄に連帯する本土の共闘が見られない状況で、今年の夏を迎えれば、辺野古新基地をめぐる抵抗は、今以上に難しい立場に追い込まれることになる。

 2018年、在日米軍・海兵隊の辺野古新基地問題(普天間基地の「辺野古移設」問題)は大きな転機を迎える。第一に、工事が本格的な埋め立てに入ると見られる。昨年から続いている護岸工事は6月頃までに部分的に完成する見込みだ。護岸が「ギロチン」状に閉じ切り、埋め立て予定区域の一部分とはいえ、その内部を埋め立てることが可能になる。

 第二に、11月に沖縄県知事選挙が予定されている。工事を加速したい政府にとって翁長雄志知事は「目の上のたんこぶ」であり、名護市長選に続いて自民系の候補を当選させるべく準備を進めている。

 第三に、夏の本格埋め立て着手?から秋の選挙戦までの期間に、翁長知事が公有水面埋立許可の「撤回」に踏み切ることである。知事は「自身の責任における撤回」を何度も明言しているので、埋め立て開始とのかねあいで撤回のカードを切ることはまず間違いない。つまり今年の6月から11月頃にかけて、辺野古新基地反対の運動は大きな山場を連続して迎えることになる。まるで「夏の陣」「秋の陣」だという人もいる。

 知事による「撤回」の効果は楽観できない。撤回の有効性は司法で争われることになるが、国寄りの判決を出す裁判所の傾向は明らかだ。また、この三年半「撤回」に備えてきた防衛省は、さまざまな措置で対抗するだろう。そして、仮に「撤回」によって工事が中断しても、11月の知事選で知事をすげ替えればすむ話である。

 けっきょく、沖縄の県政にも運動にも、いまは建設工事を完全に阻止する手段はない。辺野古新基地を止めるには、工事主体である日本政府が「主体的に」工事を中止を決定するしかない。安倍政権がすすんで中止しないなら、辺野古断念をコンセンサスとした勢力で政権交代をせねばならないということになる。もし民主党系リベラル勢力が、今からでもふたたび「辺野古反対」を掲げて共産党や社民党といった左派と連携すれば、夏以降の状況の推移に呼応して、国民の世論を喚起することは可能ではないかと、筆者は考える。新基地建設の現場で行われていることは、本来それほどまでに無法なものなのだ。

 だから、2018年の「夏の陣」「秋の陣」を迎えるにあたって、リベラルと左派の共闘をめざす本土市民がすべきことは、民主党系リベラル野党、はっきり言えば立憲民主党を、一日でもはやく「辺野古反対」の戦線に引き上げることである。

 立憲民主党は今年一月にすでに、普天間移設先を「ゼロベースで再検証する」PTを福山幹事長を座長として立ち上げている。大局的には辺野古反対に回帰することを志向しており、「辺野古に明確に反対しろ」と迫ることはけっして難しいスジではないと筆者はみている。しかし上述してきたような、今年夏以降の切迫した状況をよく理解できているかどうかは疑わしい。

 立憲民主党に「辺野古反対」の結論を急がせるために、まずは本土の市民が草の根から声をあげる。議員に働きかけ、街頭で声を上げる。秋までに、ほとんど時間は残されていない。

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