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楽天とZOZOTOWNでは消費増税への対応が異なる⁉︎

ネット通販企業の消費増税対策の大筋が見えてきました。消費者が中小店舗でキャッシュレス決済した際のポイント還元策(キャッシュレス還元)では、EC サイトでのクレジットカード決済などが対象になるそうです。

キャッシュ決済というとPayPayやLINE Payのような店頭で利用できるスマホのQRコード決済のイメージですが、ネット通販のカード決済やキャリア決済などもキャッシュレスなのでしっかり対象となります。

ただ気をつけておきたいのは、楽天市場やZOZOTOWNなど販売するモールによってキャッシュレス還元の対象になるケースとならないケースに分かれそうなこと。敏感な消費者の購買行動にも影響が出るかもしれない

キャッシュレス還元の基本

キャッシュレス還元の対象となる中小企業の基準はまだ明確には発表されていません。ただ、基本的には中小企業法が定めた小売業における(1)資本金5000万円以下(2)従業員50人以下--という基準がそのまま採用される見通し。ただ、売り上げ規模や納税額が大きい「みなし大企業」は対象から外れることになります。

キャッシュレス還元の期間は、増税が始まる19年10月1日から20年6月30日までの9カ月間。ポイント還元率は基本的に5%だが、コンビニなどの中小企業のフランチャイズ加盟店は2%となります。

ネット通販でもコンビニ払いや代金引換、口座振替などは対象となりません。

申請受付は夏頃か

 キャッシュレス決済のポイント還元は、決済代行会社やカード会社などの決済事業者が実施します。3月中旬に決済事業者の第1次の申請受け付けを行い、100社超が手を挙げたそうです。キャッシュレス還元を適用させたい中小企業は、取引先の決済事業者が登録事業であることを確認し、決済事業者に申請する必要があります。

経産省が対象事業者などの枠組みを固め、決済事業者の登録が正式に完了した後、中小企業は申請が可能になる見通し。4月には枠組みを固めると経産省は出していたので、そこから決済事業者が準備を進めるとして、早くても夏頃からの募集になりそう。

モールごとに異なる理由

冒頭に書いた通り、楽天市場とZOZOTOWNではキャッシュレス還元の対応が異なる可能性があります。その違いは販売形態。楽天市場は出店店舗が顧客と売買契約を結ぶ形態ですが、ZOZOTOWNはブランドのアイテムの販売を委託され、顧客にはZOZOTOWNが販売している形態になっています。

そのため中小企業がZOZOTOWNを通して販売しても、顧客は大企業であるZOZOTOWNからかっているため、キャッシュレス還元の恩恵を受けることはできません。ブランドのゾゾ離れは進んでいますが、消費増税によって加速するかもしれないですね。

楽天市場が適用かはまだ不明

ただ、楽天市場で中小企業の店舗がキャッシュレス還元を適用できるかどうかは、まだわかりません。楽天は「詳細が固まってから対応方法を検討する」と言っています。楽天市場にはたくさんの店舗が出ていて、大企業も中小企業もありますし、システム面や運用面でも個別対応は大変そうです。ここは楽天の判断を待つしかなさそうです。

10月に訪れる消費増税は、軽減税率やキャッシュレス還元など複雑な仕組みとなっています。増税対応は大変ですが、増税によって節約志向が高まると価格比較しやすいネット通販に顧客が流れてくる可能性は高いと言えます。しっかり準備をして、10月を迎えるのが賢明でしょう。

EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います