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送料無料問題で窮地 楽天に残された選択肢

リスク回避の3つの手段

公正取引委員は2月28日、楽天が3月18日に実施する予定の「共通の送料込みライン(送料込み施策)」に対して、東京地方裁判所に緊急停止命令の申し立てを行いました。

公取委がカードを切ったことで、楽天は「送料込み施策」を断念するかと思いましたが、楽天は同日、「法令上問題ない」との見解を改めて表明しました。当初の計画通り、3月18日に「送料込み施策」を実施する予定のようです。

楽天が公取委の緊急停止命令にも動じない(ほんとは動じている?)のはなぜなのでしょうか?楽天ほどの大企業であれば、無策で行政と衝突するはずはなく、さまざまなシミュレーションに基づき、リスク回避や方針を貫くためのプランニングをしているはずです。本当のところは分かりませんが、個人的に楽天に残された3つの方法について勝手にまとめてみたいと思います。

プラン①強制移行を停止

一部の店舗が「送料込み施策」に猛烈に反対しているのは、全店(一部例外あり)が強制的に新しい送料規定に従わなくてはいけないからです。

全店強制移行を停止すれば公取委の指摘する「相当数の出店者の自由かつ自主的な判断による取引を阻害し、自由な競争基盤に悪影響を及ぼす状況が続くことになる」に該当しなくなるので、問題を回避できます。

プラン②店舗の経済補填

送料込みにより経済的に不利益を被る店舗に対して資金的な補填を行うことで、楽天の「送料込み施策で店舗にメリットがある」という主張をより強固なものにできます。

楽天が「送料込み施策」の参考にした南米のECモール「メルカドリブレ」も自社の物流サービスを利用している出店者に送料の補助をしていました。期間などは設けると思いますが、経済的なサポートを行うことで店舗に一方的に不利益を押し付けているという状況を回避できます。

プラン③「送料込み施策」の中止(延期)

究極の選択は「送料込み施策」の中止または延期の決定です。公取委が過去に緊急停止命令を申し立てた案件では、対象の企業が指摘された取り組みを中止または改善して、申し立てを取り下げさせたという事例があります。

楽天も「送料込み施策」を中止することで公取委の指摘を回避できます。もしくは公取委の理解を得られる形に改善するため、導入を延期して再調整する可能性もあると思います。

法廷闘争は避けるのでは

楽天が自身の正当性を強気の姿勢で主張していることから、このまま楽天が緊急停止命令を不服として、法廷闘争に持ち込むという見方もあります。ただ、サービスのイメージダウン、店舗への影響、そして4月から本格スタートするモバイルへの影響を考慮した場合、決着するまで時間のかかる法廷闘争には持ち込まないのではないかなと個人的には見ています。

三木谷社長がどのような決断を下すのか。もう猶予はありません。これからも注視していきたいと思います。

EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います