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韓国の「コウモリ外交」って何?

6月1日と2日のzakzakで興味深い記事を見つけたので、それをベースにこの問題について考えてみたいと思います。

トランプ大統領が、いよいよ「対中包囲網」の構築に乗り出そうとしているようです。5月30日、アメリカの大統領専用機(エアフォースワン)の機中で、6月末に米国での開催を目指していた先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)を9月に延期し、G7のほかに数か国を招待する考えをあきらかにしたようです。

理由は明白です。

世界全体で37万人以上が犠牲となった新型コロナウイルスの初動対応に失敗し、さらには香港の「高度な自治」を形骸化した習近平国家主席率いる中国に対して、「自由・民主」「基本的人権」「法の支配」という価値観を共有する諸国の結束を図り、対中包囲網拡大を狙ったものと言えそうです。
 
トランプ氏は、大統領専用機内で記者団の前で、「(現行のG7の枠組みは)世界の状況を適切に反映しているとは思えず、国のグループとして極めて時代遅れとの見方を示し、「G10またはG11」に拡大したい意向を表明したとのことです。

具体的には、G7サミットの枠組みを拡大し、韓国に加え、ロシアやインド、オーストラリアの4カ国首脳を招き、さらにブラジルも加えた形での「G11やG12という新たな枠組みの構築を模索している模様です。

トランプ大統領は当初、新型コロナウイルスで打撃を受けた世界経済の早期回復を目指して、ホワイトハウスにG7首脳を集めて「正常化」をアピールする考えだったんですが、ドイツのメルケル首相らが参加辞退の意向を表明したので、中途半端な開催を強行するより、時期を先延ばしにして、G7の枠組みを拡大し、対中戦略の強化を狙ったものとみられます。

拡大する国のうち、オーストラリアは、新型コロナウイルス危機を受けた国内の反中感情の激化を受け、中国との貿易関係の見直しを進めている。
インドも、国境紛争などで中国と対立する立場から、G7の後ろ盾を得ながら、中国を牽制(けんせい)することは国益にかなうと考えているでしょうね。

ロシアはかつて主要8カ国(G8)の一員だったんですが、2014年のクリミア併合で非難を受けて追放されました。しかしトランプ大統領は昨年のフランス・ビアリッツG7サミットでは「次回からロシアを復帰させたい」と提案していたそうですよ。このころから、対中包囲網の構築を模索していたということでしょう。

ただ、ロシアの軍事的脅威に直接さらされているイギリス、フランス、ドイツは復帰に難色を示すでしょうし、プーチン大統領自身も「中国が入らないサミットは意味がない」との見方を示し、中国に配慮する姿勢を見せているので、ロシアの参加が実現することは難しいかもしれませんね。

最も問題となりそうなのは、米国と同盟関係にありながら、経済では中国に大きく依存している韓国です。

韓国という国は、米中に対してこれまで微妙なバランス外交を展開してきたんですよ。

記憶に新しいところでは、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備を受け入れながらも、中国には「3つのNO」を約束してトランプ政権を激怒させたという経緯があります。

3つのNOとは、

①「THAADを追加配備しない」

②「米国のミサイル防衛体制に参加しない」

③「日米韓の3国同盟に発展させない」

というものです。

韓国にしてみれば、表向きは日米に協力する形はとるけど、中国さんにもきちんと配慮するから怒らないでねといった感じでしょうかね。

そのどっちつかずの二股的姿勢に、トランプさんが激怒するのもわかります。

トランプ大統領は「文大統領嫌い」とも言われていますが、あえて拡大G7に招き入れる姿勢を示して、韓国に米中いずれの陣営につくのか明確にするよう「踏み絵」を迫ったとの見方もあります。

結局煮え切らない韓国にしびれを切らしたトランプ大統領は6月1日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に直接、電話会談を申し入れ、9月に米国で予定する先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)に招待するから

「来いや!」

と迫ったんでしょうね。

このような事実上の「踏み絵」を迫られ、ムン大統領はどうしたか。。。

実は、なんと「快諾」したとのことです。

ムン氏は「適切な措置だ」「G7サミットへの招待に喜んで応じる。防疫と経済の両面で韓国ができる役割を果たしたい」と応じ、「適切な時期に、対面での会議を成功できれば、世界が正常な状況と経済に突入したというサインにもなる」と語ったとのことです。

このムン大統領の判断をどう見るべきでしょうか?

6月2日付のzakzakによれば、韓国事情に詳しいジャーナリスト、室谷克実氏は

「文氏が『喜んでサミットに行く』と語ったこと自体が『コウモリ外交』の一環だ。『踏み絵』も、表向き踏んだに過ぎない。」

とみています。

コウモリ外交とは、イソップ物語にちなんだもので、昔むかし、鳥の一族と獣の一族が争っているときにコウモリが表れて、鳥の一族が優勢になると、「私たちは羽があるから鳥を応援します」と言って鳥の側につき、逆に獣の一族が優勢になると、「私たちはネズミのような灰色の毛皮と鋭い牙を持っているので獣の仲間です」と言って獣の側についたというんですね。

しかし、やがて鳥の一族と獣の一族が和解すると、それまで両方にいい顔をしてその都度優勢な側に寝返ったコウモリは鳥の一族からも獣の一族からも嫌われ、結局、暗い洞窟に住むことを強いられたという話です。

室谷氏は今の韓国がまさにそのような外交を展開しているというんですね。

室谷氏はそのうえで、

「ムン氏は今後、中国のご機嫌取りの工作に走るはず。『中国は新型コロナウイルス感染を終息させた』と習主席をヨイショし、早期の訪韓を求める動きを強めるだろう。トランプ氏も、見せかけだと分かったうえで『あまりレッドチームに深入りするな!』と中韓関係に傷を付けようとしたのだ」

と語っています。

トランプ政権が、対中包囲網の拡大と強化のため、中韓関係にくさびを打ち込もうとしていることは明らかでしょう。

しかし、韓国は昔から地政学的には米中ロ日、といった強い国に囲まれた比較的弱い国なので、「事大主義」に基づき、コウモリ外交を続けざるを得ないでしょうね。これから、軍事面ではアメリカに依存し、経済面では中国に依存せざるを得ない韓国がどのような外交を展開するのか、見ものですね。

ぜひこれから注視していきたいと思います。


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