見出し画像

Forbes JAPAN副編集長から学ぶ、これからのキャリア論/ U-29 Career FESレポ

U-29(ユニーク)とは、独創的な価値観を持つ29歳以下の若者をターゲットとしたコミュニティ。もうすぐ30歳を迎える私ですが、代表の西村さんとの出会いがきっかけでお世話になっています。昨年12月に開催されたU-29 Career FESは、Forbes JAPANの副編集長である谷本有香さんのトークイベント。

新卒で入社した企業が倒産、その後は経済キャスターという独自の肩書を作り出し、フリーランスとして活躍する谷本さんのキャリア論、人生観に関するお話を聞くことができました。20代の方はもちろん、すべての世代に響くメッセージ。レポとしてお届けします。

これまでのキャリアストーリー

谷本さんが学生の頃、世間は就職氷河期と呼ばれる90年代半ば。

「パワハラやセクハラは当たり前、というより『ハラスメント』という言葉さえなかったんです。そんな中で『感じがいいな』という印象を受けたある会社に入社を決めました。」

それが金融業界のトップの一角、山一証券だったそう。

しかし1997年、山一證券は倒産。その様子は『しんがり』というドラマで再現されています。単なる企業の汚職という話ではなく、メディアの報道とそれにつられる株主の行動、いろいろなことが重なった結果だったようです。

「父親が山一證券の社員である、という理由でいじめられる子どもがいる、泣きついてくる株主もいる。会社の影響力のすごさを感じました。またメディアの報道がこんなにも公平でないのか、とも。」

「メディアを変えな変えればいけない、と思いました。そして、もう企業に頼るのはやめよう。そして、なぜ山一証券は倒産しなければいけなかったのか、自分で検証したいと思った。」

社内アナウンサーという経験から、金融とキャスターというタグをつなぎ合わせ、経済キャスターになろうと決めた谷本さん。

Bloomberg TVで金融経済アンカーの経験を積まれ、その後は日経CNBCキャスターやコメンテーターとして活躍。3,000人を超える世界のトップリーダーたちへのインタビューという実績を持ちます。

現在はForbes JAPAN副編集長という肩書をもちますが、フリーランスという立場にこだわり、個人事業主契約という形をとっているそうです。

他にも大学講師や社外取締役、レギュラー番組を5個ほど抱える超多忙な存在。そんな谷本さんが考える20代とは、どのような時間なのでしょうか。

20代は大事な助走

「20代でしか、脳にしみこまない事がある。だから、20代の助走が重要。誰と出会うか、どこに所属しているか、どのように時間を使うか、意識して過ごしてほしい。」

20代の大事な要素を伺いました。

・最低ラインを知ること
 会社の倒産という経験から谷本さんに自分の使命が見えたように、大変なことが起きると人は変わっていきます。

「大きく変わる、で大変と読みますよね。大変なことがないと人って変われないんです。」

・キーパーソンを見つける
「初めて会った時はそうは思わなくても、あとからキーパーソンだと気づくこともあります。というより自分でキーパーソンにしていくんです。」

会う人が、最初からキーパーソンであるとは限りません。その後の自分の行動によって、その人をキーパーソンに変えることができる、と教わりました。

・自己分析
「私の人生は、子どもの頃から、人の心を読む人生だった。人の中に入れない、分析家、内心目立ちたがり屋という性格で。だからインタビューするときは、その人の最近の経歴だけではなく、ライフストーリーまでなぞるようにしています。相手の心を自分にインストールして、他の人では取り出せないアンサーを取ろう!という意気込みで臨んでいます。」

・タグをつなぐ
 谷本さんが「金融」と「キャスター」をつなげて「経済キャスター」をつくり上げたように、自分の要素(タグ)をつなげて唯一無二のオンリーワンをめざすことが大事だという意味です。

・スポンサーを見つける(メンターではない!)
「こいつは只者ではない、と思わせるんです。私の場合は、他のキャスターとは異なり、独自の"分析"を徹底しました。それを発信していくうちにコメンテーターの仕事も貰うようになりました。」

自分にしかできない形を見つけるには、自己分析やどんな人に出会うかも重要。すべての要素が絡み合うことで、自分らしいキャリアを気付くことができるんだなと感じました。

10代で育まれるもの

もっとも大切だと思うものはEQだ、と谷本さんは言います。
EQとは心の知能指数(Emotional Intelligence Quotient)の略で、他者や自分の心を理解して感情をコントロールする知能を意味します。

「EQは生まれてから10代に出来上がるといいます。そしてトップリーダーはEQが高いんです。」

20代でも、感性を豊かにできること

10代を終えてしまっていても、何歳からでもできることを伺いました。

・苦労、弱い立場になる
 最低ラインを知るということにも似ています。どん底を経験すると人は変われるということですね。

・本
 いろいろな本を読んで感性を豊かにしたいと思います。

・大切な「誰か」
 パートナーや子ども。親や兄弟以外に大切な人ができるって、やはり力があるんだなと思います。

・想像を超える現場
 海外に行って日本とは違う貧しい暮らしを経験するとか、触れたことのない世界に行くという意味です。確かに行ったことにない国に行くと、人生観が広がる、と私も思います。

これからのリーダーとは

世界著名人3000人インタビューという実績、リーダー研究がライフワークという谷本さんは「リーダーは時代の写し鏡だ」と言います。

「その時代が求めているものを体現しているのが『評価されているリーダー』です。そして、求められるリーダーの姿は変わってきています。昔は
トップダウン型の組織が一般的だったのが、協調型にシフトしている。合わせてリーダーの雰囲気も変貌しています。」

「ミッションがある方が起業家であり、ミッションの大きさ、どんなことがあっても諦めないというクライテリアがあるか、それがこれからのリーダーに求められていることです。」

ミッションを見つけた人の行動力や、直球力はとにかくすごいと思います。そんな素敵な起業家、憧れます。

サリム・イスマイルさんの言葉「投資の基準は7回以上失敗した人」も教えていただき、失敗は恐れてはいけないと改めて感じました。

社会起業家はいなくなる?

4年ほど前から、いろいろな起業家が「私は起業家ではない社会起業家だ」と発言し始めたそうです。社会のためになる事業を起こしている人を表す、社会起業家。でも最近、変化が起きているそう。

「社会起業家という言葉さえ使わなくなったんですよ。目の前に課題があったら、それを解決したくなる、アクションを起こさざるを得ない人、それが『起業家』であるという風潮になっているんです。」

起業家(=社会起業家)は、利益だけではなく、より良い社会を目指す人。とても素敵な考え方だなと、温かい気持ちになりました。

これから目指すもの、フリーランスの覚悟

「日本は金融に弱いと思います。個人に金融リテラシーが少ない。」

新しい経済メディアを目指し『きれいなお金リテラシー』を人々に伝えていきたいと谷本さんは話します。


また、フリーランスとして生きる上では、自己分析が欠かせないといいます。

「毎日が自分との壁打ちです。今日の自分の投稿は、昨日の自分よりもイケているか?!これは最先端か?!と問い続けるんです。」

たくさんの実績がある谷本さんでも、常に成長し続けている、そう意識していると聞いて、自分が恥ずかしくなりました。昨日よりも今日はイケているか、なんて考えたことがありませんでした。

「周りの人はミラー。人って鏡ですよ。今、自分が誰と過ごしているかは意識した方がいいです。」

納得しました。この人のようになりたい、と思う人と一緒にいようとする、その人のレベルまで自分を引き上げようとすることが大事ですよね。

インタビュー術は『アクティブリスニング』で

「アメリカでは、インタビューの時間はたった15分。部屋に入ってから出るまでが15分です。だから私は、擬似的に、既視感をつくります。初めて会う人であったとしても、2回目だよねって自分で思い込むんです。そして共通項を言う、相手の名前を言うようにします。そして『球を投げる』。きわどいことを笑いながら言う。こいつは只者ではないぞ、と思わせて、身構えてもらうようにします。(分析力も活かして)仮説をぶつけます。」

なるほど、と思いつつ自分にも同じこと、できるかなと思ってしまいました。そう簡単にはいかなそうです。

谷本さんのインタビューの力を凝縮した著書『アクティブリスニング』を読んでみたいと思います。

最後に

谷本さんのキャリアストーリーや人生観に引き込まれたのはもちろん、軽快で勢いのある素敵なスピーキングに聞き惚れた時間でした。

内向的で人の気持ちを感じ取るのが得意、という面は少し私も似ているかもと感じます。

勉強しているNLP(心理学)または他の分野で活かす場所を見つけたいな、と想像が膨らみました。

途中、気候変動などのビッグ・イシューがこれからのビジネストレンドでは、という話もありました。温暖化は、私も子どもの頃から興味をもっているテーマ。

何か私にできることはないか、タグをつなぎ合わせて唯一無二の「自分」をつくっていきたいな、と思います。

素敵なU-29 Career FES。今年も参加していきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?