妻と僕の小規模な育児 第129話を読んで開いた箱の話

こんばんは。これはある育児エッセイ漫画に描かれた内容を読んだことで、しまい込んでいた幼いころのイヤな記憶の蓋がイヤな感じで開いてしまい、
開いてしまったものは仕方ない、少しでも多くの人間にトラウマ開示したるで!と思い至った、精神が露出狂の女が書いたものです。

掲題の「妻と僕の小規模な育児」は、漫画家である福満しげゆき先生の作品で、先生自身の育児体験を元にしたエッセイ漫画です。
これを書いている私は、今年で35歳・独身であり、育児のイの字も知らないバナナが好きな半ゴリラです。
ちなみに私と福満しげゆき先生の作品との出会いは二十歳のころ、「僕の小規模な失敗」という作品を今はなき千葉パルコのヴィレッジヴァンガードで購入、
なんてすばらしい漫画なんだ!と感激して勢いで先生のホームページにアクセスしクソ長文の感想メールを送り付けたというキモ行為から始まり、
それ以来先生の漫画は(限定版で入手不可なものを除き)すべて購入しているので、温度的にはファンといって差し支えないかなと思います。
先生の著作はエッセイ漫画の割合が多いので、そこで描かれる先生の思想や行動に対して「えっ」となることもゼロではなかったものの、そこはエンタメとして割り切っていました。
それを差し引いてもユニークな表現が多くあり面白い漫画なので、WEBでの更新や単行本の発売をいつも楽しみにしていました。

2021年11月7日、「妻と僕の小規模な育児」第129話 勉強させるパパ が公開されました。
https://comic-days.com/episode/3269754496442207259

読んで血の気が引きました。何故かというと、私が親にされて死ぬほどイヤだったことと同じようなことを、先生が次男に対して行っていたからです。
漫画自体は上のリンクからしばらく読めると思いますが、無料公開が終了したときのためにざっくりした話の流れを以下にまとめます。

・家族で大きめのスーパーに買い物に行く道すがら、次男が「コストコに行ってみたい」と発言する
・先生(父親)は次男が目的地のスーパーを知らないため、「このスーパーがコストコだよ」と嘘をつく
・次男は一瞬納得しかけるも、すぐに「嘘だ」と否定し嘘をつくのを止めるように言うが、先生は長男と一緒にニヤニヤしながら嘘をつき続ける
・嘘をつかれたことに憤慨した次男は機嫌を損ねてしまい、先生の奥さんがなだめるも収拾がつかなくなり買い物せずに帰宅
・帰宅後、先生は次男を「機嫌が悪くなったからといってみんなの予定を乱すのは許さない」と叱る※
・日頃から次男の成績が悪く、また勉強をサボりゲーム三昧なことを持ち出し、「今後は勉強をさせる、ゲームも没収する」と宣言
・次男が叱られているのを見てうれしそうな長男が「僕ばかり勉強させられて次男はズルいと思ってた」と発言
・※で叱ったついでに、長男と同様今後は勉強をさせることにした と締めくくる

ああああああああああああああああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!
いいいいいいいいいいい~~~~~~~~~~!!!!!おおおおえええおええええ!!!!!!!!!


母音しか出なくなりました。私も小さいころ、母と兄に嘘をつかれて、私がそのことに泣いて怒ってもニヤニヤするだけで止めてくれないという経験がありました。
嘘の内容は、母が私の目の前に黄色いタオルを差し出して「これ何色に見える?」と聞くので「黄色」と答えると、「え?青色だよ?」と言われ、兄も
「どう見ても青。これが黄色に見えるなんておかしい」と加勢してきて、「嘘だ!黄色だ!」と言ってもニヤニヤして認めず、私がどれだけ怒っても、怒りのあまりボロボロ泣いても笑うだけ…というものでした。記憶だとこのように嘘でからかわれたのは一度ではないものの、まぁ片手で数えられる程度だったかなと思います。
私が何歳のころかは記憶があいまいですが、5歳上の兄と母と三人で一緒に風呂に入っていたときにやられたので、せいぜい3~4歳ぐらいかなと。
ちなみに母含め私の両親はいわゆる「毒親」などとカテゴライズされるタイプの人たちではないです。この話以外は非常に真っ当な対応をしてもらったと思っています。
兄との関係もまぁ歳が離れてるんで仲良し☆とは言えない感じですが、盆や正月に顔を合わせれば会話もするし、引っ越し祝いにいい肉を800グラムくれたので好きです。

上の経験、イヤな記憶すぎてずーっと封印してて若いころは思い出すことなかったんですが、ここ数年ときどき思い出しては嫌な気分になってました。
今回、よりによって愛読していた漫画に再度封印を引っぺがされ、感想をツイッターで書き散らかしたところ、想定以上の反応をいただきました。
そのことでいろんな方のご意見に触れたので、まとめて思ったことを書きたいと思ったんですよね。
うーん、言いたいことが色々ありすぎて何から話そうかって感じなんですけど、まずはこれですかね。

なんでそんなことすんの?笑


私は嘘をついて相手が騙された様子を見て面白いという発想がないし、されたら相手も十中八九不快になるだろうし、やろうと思いません。
嘘も方便とはいいますが、相手をからかう目的で嘘をつく人間が信用されるはずがないし、何よりそんなことをする意味が分からない。
少なくとも信頼関係を結びたい相手に対してはそんなことはできないというのが、大抵の真っ当な人間の考え方だと信じています。

幼い私は母と兄が結託して明らかな嘘をつき、私のことをからかって笑ったことが、本当に本当にショックでした。
親の庇護下にある子どもにとって母親から愛されなくなることはほぼ「死」です。お母さんは私のことが嫌いだから、私が嫌がることをわざとするのかな?
泣いて怒ってもやめてくれず、楽しそうに笑ってるのはなんでなんだろう?また、母がついた嘘に兄が便乗したのは兄が空気が読める子だった可能性が高いですが、
私は当時「こういう嘘をついて私のことをからかうから合わせるように」と、二人が事前に相談していたのかもしれないと思っていました。
計画性を持って二人が私の嫌がることをしているのかもと考えると、悲しくて不安で仕方がありませんでした。

兄弟姉妹がいる子供によくあることなのか分かりませんが、私は当時母に対して頻繁に「兄と私のどちらが大切か」という質問を繰り返してた覚えがあります。
「どっちも同じぐらい大切だ」と返してくれてましたが、あまりにしつこくしすぎたせいで「その質問はするな」と言われて止めました。

上にも少し書きましたが、このことで母や兄のことを嫌いになったわけでもなく、基本的には肉親としての信頼を寄せています。
だからこそ、この経験だけがいつまでも消えない負の記憶になって残ってしまい、30年以上経った今でもずっと忘れられずにいるんです。
ちなみにこの話をいまさら本人たちに「どういうつもりだったのか」と確認することは怖すぎてできません。
だって、多分(特に兄は)覚えてないし、覚えてたとしてもきっと大した理由なんて無いのが分かり切っているので。
そのことを確認してしまったら、「その程度」のことでこんなにダメージ受けてる自分が…なんていうか…おしまいじゃないですか?(語彙)

とにかく言いたいのは、こういう風にからかい半分でやったことが十数年経過しても消えない…何かになって相手に残る可能性があることを分かってほしいということ。
これは子育て(親子間)だけの問題ではなく、普通の人間関係でも通じることだと思います。

言いたいことの二つ目。
この漫画を読んだ人の感想を見て、子供のころに漫画と同じような経験をしたことがある人が案外いるってことが分かりました。
親からつかれた意味のない嘘(●●にビルを立てるとか、お菓子あげると言って空箱渡されたりとか)を根に持ってる人がいて、一人じゃないんだ…と思った。(完)
そして意味のない嘘とセットになっているのが「嘘をつかれたことを怒ると、冗談を真に受けて怒るなんておかしいと逆に叱責される」ことです。
おかしくない?絶対おかしいよね???お前が?????お前がいらん嘘ついてくるからそういうことすんなって指摘したら??????お前が????
もう訳が分かりません。疲れました。そのような経験のある方は、今でも親に対して不信感を抱いているケースも多々あるようです。
嘘をついたのは冗談だったから許せっていう言い訳、もうね、いじめっ子のそれなのよ。怖いのよ。自分の子供いじめて楽しい?ねぇ?鬼なの?
それにしても親からいらん嘘つかれてからかわれた経験がある人がそれなりにいるの、もしかして育児本かなんかに書いてあるんですか?
「育児のストレス発散に子供に嘘ついてからかってリアクションを楽しみましょう」みたいな???怖!ヒトコワ!

嘘の内容が冗談のつもりだったとか、どうでもいいんです。嘘ついてからかおうとしたってこと、バカにしてることをこっちは怒ってるんです。
人のこと怒らせといて謝るどころか逆ギレですか?どうなってるんですか?頭おかしいんですか????ねぇ???????答えてくださいよ!!!!!!!!
お前が頭おかしいってことは俺は頭がおかしいお前の産物ってことになるが???????頭がおかしい?????????(バグった)


これ以上続けてもバグるだけなので、言いたいこと三つ目。漫画に描かれた次男への対応が誤りで満ちているということ。
まず、エッセイということで実話をベースにしてはいるものの、漫画として読ませるためにある程度のフィクション要素はあると考えています。
なので、大きな流れ(嘘つかれて怒った次男を帰宅後にゲームだの勉強だの持ち出して叱った)については事実であろうという推測のもと、
「それは絶対に子供に対してよくないだろ…」と思ったことを書きます。

第一に、「子供が怒って収拾つかなくなり、予定をキャンセルせざるを得ないような態度を取ったこと」をなぜそんなに軽く見ているのだろうと思います。
例えば怒ったきっかけが、おもちゃを買ってもらえなくて…とか、そういうくだらない勝手な理由ならまだ叱るのも分かります。
でも、明確に「嘘をつかれたことと、やめろと言っても聞き入れてもらえなかったこと」に対して怒っている子供に対して、それって正しいのでしょうか。
先生は怒る次男に対して「男社会ではあんな態度は通用しない」などと言い断固として戦う姿勢を取りますが、その理屈が謎です。
長男が「パパの発言は冗談なので、冗談でそんなに怒るのはおかしいことだ」と諭していますが、出た!冗談を真に受ける方が悪い説!それはいじめっ子の理論!
(長男くん、学校や塾でのからかいやイジメで苦労した経験があるのに、冗談を真に受けて怒るなと弟に言ってるのがなんとも…)

「機嫌を損ねたことを態度で示して周りに気を遣わせるのは不機嫌ハラスメントでは?」みたいなご意見もあるようですが、
それは明確に相手が不機嫌になる引き金を大した理由もなく引いた人間が言えることではないのでは。謝れや。
(もしかしたら漫画に描かれていないだけで謝罪の言葉はあったのかもしれませんが…)
そもそも、止めろと言っているのに止めなかった相手に対してこれ以上言葉で何を言っても無駄と態度で示すのがそんなにおかしなことだとは思いません。

第二に、「仮定の話で怒っている」こともよくないと考えます。
今日機嫌を損ねて予定を狂わせたお前は、例えばハワイに旅行に行くことになってもお前の機嫌を理由にキャンセルになる可能性があるということだと次男を叱る先生。
これまでに今回のようなことがあったのかなかったのか不明ですが、今回は明確に嘘をついてからかわれたことが不機嫌からの帰宅になった原因なのだから、
あるかどうかも分からない未来の家族旅行の場で「同じことをする可能性がある」と叱られても、理不尽な叱責にしかならないですよね。
(漫画内でも変な怒り方だとツッコまれていますが、叱られた側の気持ちを考えると不憫)

第三、怒ったついでに厳しくすると決意&宣言。どないやねん(めんどくさくなってきた)
既刊を読むと分かるんですが、先生はどちらかというと子供を甘やかす立場(奥さんが厳しくするため、フォローに回る)だったんですね。
子供にこっそりジュースやおやつを与えたり、長時間ゲームするのを容認したり。そのこと自体は各ご家庭の方針だと思うのでどうでもいいんですけど、
これまで寛容な態度を取ってきた親が理不尽に嘘をつき、反発すると理不尽に怒り、理不尽に厳しくなるの、多分良くないと思います。一貫性がないので。
一貫性がない上に理不尽な叱責、嘘、無関係な成績やゲームの話で責められる。どないやねん。(圧倒的ボキャ貧)


もちろんこの話には続きがありますから、この先の展開で非を認めて謝罪するとか、そういうのもあるかもしれないし、ないかもしれない。なさそう(偏見)
まぁ私は子育ての経験がないので偉そうにあーだこーだ言える立場でもないんですけど、そんな私でも絶対あかんやろってことがたくさん描いてあって…
「(次男の)反応がかわいいですね」みたいな感想もけっこうあって驚いてひっくり返っちゃった。マジで????
「冗談が通じないと心配だし自分の機嫌でみんなを振り回すのはよくない」というご意見もありました。なるほど!分からん(完)
一方でやはり「嘘をついたことはお子さんに謝罪してあげてほしい」「そのうえでコストコに連れて行ってあげて」なんてご意見も。分かる。
コストコのクソデカティラミス食べさせてあげてほしい。


好きな漫画にトラウマ掘り起こされた結果、こんな長文を書き散らかしてしまった。長すぎる。
あと、129話を紹介するコミックデイズのツイート見てひっくり返っちゃった。さっきもひっくり返ってたから、元の位置に戻りました。よかったね。
https://twitter.com/comicdays_team/status/1457181012279054342?s=20

「自分勝手な下の子の態度ーーーついに父の逆鱗に触れる!?」だそうです。
はい。もう何も言えることがなくなってしまった。この話はおしまいですね。これが「自分勝手」と呼ばれるなら、私は自分勝手で構わないと思います。


最後にまとめ
・冗談を真に受けるのが悪いといういじめっ子の理論に惑わされないでほしい。
・特に理由なくついた嘘でも、その内容がどんなものでも、「嘘をつかれたこと」そのものに深く傷つく人間がいることを分かってほしい。
・子供に限らず相手が激しい怒り、拒絶を示した場合は頭ごなしに否定や無視をせず、寄り添う姿勢を持ってほしい。
・そもそも人をからかう目的で嘘をつくのは最低のゴミカス人間がすることだと頭に入れておいてほしい。
・そういう人間に傷つけられてきた皆さんのこれからが明るいものでありますように。
・わたしは元気です。あなたもきっと元気です。


読んでくれてありがとうございました。

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