花火

毎週金曜日の20時から沖縄県のRBCという放送局にてオンエアされているラジオ番組「シンカの学校」に投稿したラジオドラマの話です。どこかに記録しようと思い、ここに書き出した次第です。短いので軽く読めると思います。


題名「花火」
あれは小学生の頃の話だ。毎年恒例の神社での花火大会を家族と見終わっての帰り道、急に目の前が明るくなり、とても大きい花火が上がった。
私が「今の凄いね!綺麗だね!」と言うと、隣にいた母に「何を言ってるの?もう花火は終わったよ」と言われた。翌日、学校でクラスメイトに話しても誰も信じてくれなかった。
誰も信じてくれなかったが、ただ1人、祖母に話すと彼女はこう言った。「見えないものが見えたなら、次の月の同じ日、同じ時間に同じ場所でもう一度見てごらん。そしたら長生きするよ」以前から不思議な事を言う祖母だったが、何故かその言葉が頭から離れなかった。
翌月の夜、僕は家を抜け出し、神社に立った。
するとどうだろう。誰もいないのに花火が盛大に打ち上がった。時間にすれば1分もなかったそれは鮮やかに夜空を彩った。
僕は興奮して帰宅して、やはり家族に叱られた。
次の日、学校へ行くと大騒ぎになっていた。昨夜の花火を目撃した生徒が大勢いたのだ。しかし見たのが子供だけだったので、集団催眠か何かで片付けられてしまい、いつしか忘れ去られてしまった。
何とも不思議な体験だったが、一つだけハッキリしていることがある。
私は今年120歳になった。
祖母の言ったことは本当だった。

おわり

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