転生の石①
もうこんな毎日は、ウンザリだ。
高校1年半年経過、中学では常に日陰者だった僕"いつか・桃園"は、高校デビューを淡く期待した1人の高校生だった。
時間の歩くスピードに今だ入学式の桜舞い散る想いを馳せながら窓際後部座席・忍耐族から空を見上げ、フーっとため息をついていた。
だが、初年度の半ばから、この窓際族の突破口を見いだすアプローチが全く無いと言う事に既にふるい分けが終わり、日々うっすらと開いている窓のすき間風を身体にヒシヒシと馴染ませ肌寒さを感じていた。
そもそも、なぜこうなったかというのも、桃園は勉強はそこそこできても、コミュニケーションの初めに踏むコンタクト = 接触と言うファーストステップを義務教育の過程の中で1度も挑戦して来なかったのだ。
桃園「……授業ダリ。」
空に浮かぶソフトクリーム…とは形容しがたい脱脂綿の様な雲に桃園は、愚痴を止めどなくボソボソと飾り立てていた。
放課後、1人で自宅への方角の帰路に立ち、自分の目の前を走り抜けていく数人のクラスメイトの男子の顔がパアっと明るく咲くのを目の当たりした時、桃園はいつもやるせない虚無感に襲われるのであった。
桃園「…友達…。」
学校からの帰り道、桃園が肩を落として公園の空き地の前を通ると、遠くの公園のベンチから何故か眩い光りを照らす石の様な物体を見つてしまった。
桃園「うっ…眩しい。」
桃園が片腕で目を塞ぎながら、眩く光る石に近づくと石は桃園に共鳴するかごとく更に光りを強めて行った。
ピカーーーー!!!!
石の光りが彼の身体を包むがごとく、色彩がプリズム色になる刹那…。
桃園は「(そういえば窓際忍耐族の水仙さんにも話した事無かったな〜。)」
と、ひとしずくの心残りをぼんやり心の中に想い、桃園はプリズムの光りの中に身体を包まれるのであった。
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